一般的に、虫歯治療は歯を削って虫歯に感染している部分を除去しますが、近年では、虫歯を溶かして除去するカリエスプロという治療方法も登場しています。
歯を削る音をほとんど耳にすることなく、また痛みをほとんど感じずに治療できる治療方法ですが、「本当に虫歯が治るの?」と不安に思う人もいるかもしれません。
カリエスプロのメリットとデメリットについて、解説します。
カリエスプロのメリット
カリエスプロは、歯を削らず溶かして除去することで虫歯を治療するという治療方法です。
カリエスプロには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
カリエスプロの最大のメリットは、健康な歯を削らず残すことができるという点です。
通常、虫歯に感染している歯を削る場合、感染している部分の周辺にある健康な歯も多少削らなければなりませんが、カリエスプロにはその必要はありません。
カリエスプロは、虫歯を溶かす成分の次亜塩酸ナトリウムと、健康な歯を守る3種類のアミノ酸で構成されています。
虫歯に注入した時、虫歯にだけ作用して健康な歯は守られるため、誤って溶かされるといったことはないのです。
一般的な虫歯の治療では、タービンという器具を使用して歯を削りますが、微調整が困難です。
ゆえに、虫歯に感染している部分だけではなく、周辺の健康な部分も削ってしまいます。
同じ場所に虫歯が再発するたびに、健康な歯がどんどん削られていくことになりますが、カリエスプロであれば健康な歯が削られる心配はありません。
また、歯を削る治療とは違い、痛みが少ないのもメリットです。
タービンで歯を削る時は、麻酔をしていても神経に刺激が伝わって痛くなることがあります。
しかし、カリエスプロであれば刺激がないため、麻酔を使わなくても痛くありません。
歯医者が苦手な人の理由として、「歯を削る時の痛みだけでなく、タービンで歯を削る音が苦手」という人も少なくないでしょう。
カリエスプロなら痛みが少ないうえに、タービンが苦手でも安心して治療できます。
さらに、神経を残せる可能性が高いという点もメリットです。
カリエスプロの治療では、虫歯になっている部分だけを取り除くことができ、神経まで影響は及びません。
虫歯の原因となる細菌が神経まで到達している場合、神経の除去が必要です。
しかし、神経の近くまでで進行が止まっている場合、歯を削る治療では神経を除去しなければならなくても、カリエスプロなら神経を残せます。
カリエスプロのデメリット
カリエスプロには多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。
カリエスプロにはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
カリエスプロのデメリットとしてまず挙げられるのが、どのような虫歯にも対応できるわけではない、ということです。
カリエスプロが対応している虫歯の範囲は限られているため、対応できないケースもあります。
基本的に対応できる虫歯の範囲は、C1とC2の2段階です。
C1とは虫歯がエナメル質まで、C2は象牙質まで進行している状態を指します。
神経に達してしまうC3以降は、カリエスプロで治療することはできません。
また、カリエスプロは保険適用外であることもデメリットです。
カリエスプロは、治療に用いる薬剤が保険の適用されないものなので、自由診療となります。
費用は統一されておらず、歯科医院によって料金は異なります。
治療費の目安としては、1本につき5千円から1万円ほどですが、あくまでも虫歯の感染部分を除去するための料金です。
虫歯治療では、他にも詰めものや検査などが必要となるでしょう。
詰めものの費用は、素材によって大きく異なります。
銀歯なら保険診療で比較的安く治療できますが、見た目を気にする場合にはセラミックなどを選ぶ必要があります。
さらに、カリエスプロには一回の治療にかかる時間が長いというデメリットもあります。
タービンで虫歯を削る従来の治療はシンプルで、治療後は詰めものを着けるだけなので治療にかかる時間も短くて済みます。
しかし、カリエスプロの治療はまず虫歯に薬剤を注入してしばらく待たなければなりません。
虫歯に感染している部分が柔らかくなってから専用器具で取り除き、詰めものを装着することになるため、治療には時間がかかります。
虫歯の程度によって治療にかかる時間は異なりますが、シンプルな治療であれば、通常の歯を削る治療の2倍ほどの時間がかかると考えてください。
状況次第では、もっと時間がかかる可能性を念頭に置く必要があります。
治療時間が長いため、受診する際は時間が空いている時でなければ難しいでしょう。
後の予定がないかよく確認してから予約が必要です。
まとめ
カリエスプロを使用した治療は、健康な歯を削る心配もなく、虫歯に感染している部分の歯だけを溶かすことができます。
従来の歯を削る治療と比べると、神経を残すことができるケースは多いでしょう。
しかし、対応できる虫歯の種類はC1とC2だけと少なく、治療費も自由診療なので歯を削るより高くなります。
また、治療に時間がかかるため、時間に余裕がある時に治療を受けましょう。