虫歯ができているにもかかわらず、なかなか歯科クリニックに通う勇気が出ないという方の中には、嘔吐反射が強い方もいるでしょう。
嘔吐反射は、口内や喉の奥に異物が触れたとき、反射的に吐き気を催す生理的な反応です。
今回は、嘔吐反射が強い方が虫歯治療を受ける際に注意すべきことを解説します。
嘔吐反射が強い方が虫歯治療を受けるときに注意したいこと7選
人よりも嘔吐反射が出やすいという方は、虫歯治療を受けるとき以下の点に注意しなければいけません。
・バキュームを口に入れる
・綿を口に入れる
・麻酔液が喉に流れてくる
・歯科医師の指やグローブのニオイ
・ミラーを口に入れる
・診察台の角度
・型取り
各項目について詳しく説明します。
バキュームを口に入れる
虫歯治療を行う際は、患者さんの唾液や削った歯の破片などを吸い込むために、バキュームという機器を使用します。
治療中患者さんは常に上を向いている状態のため、唾液を吸いながら治療を行うのは大切なことですが、嘔吐反射がある方はこちらが口に入ると症状が出やすいです。
バキュームは喉の近くにまで入れ、唾液を吸うこともあるため、どうしても口内の異物感は強くなってしまいます。
綿を口に入れる
虫歯治療を行う際には、口内の頬側に綿を入れることがあります。
こちらは唾液を染み込ませて口内を見やすくしたり、止血や消毒を行ったりするために用いられるものです。
しかし嘔吐反射が強い方は、口内に綿を入れられただけでも吐き気を催すこともあります。
虫歯治療で使用される綿は、口内の異物感が苦手な方にとって、少し大きく感じるかもしれません。
このような大きな異物が入ると、たとえやわらかい綿のようなものでも、嘔吐反射を避けるのは難しくなることがあります。
麻酔液が喉に流れてくる
虫歯治療で歯を削る場合、そのままの状態では痛みが強くなるため、麻酔を施します。
こちらの麻酔液が喉に流れてきてしまうことが原因で、嘔吐反射を引き起こすこともあります。
また虫歯治療で使用される麻酔は、局所麻酔が一般的ですが、その前に針を指す痛みをなくすための表面麻酔が使用されるケースも多いです。
表面麻酔は、歯茎に塗布するように施すものですが、嘔吐反射が強い方はこちらの作業でも吐き気を催しやすいです。
歯科医師の指やグローブのニオイ
歯科医師や歯科衛生士は、患者さんの口内を施術する際、場合によっては指を入れることがあります。
このとき「他人の指が口内に入っている」という感覚が強い方は、当然嘔吐反射が出やすくなります。
また歯科医師や歯科衛生士は、衛生面に考慮して必ずゴムのグローブを装着しています。
口内に指が入るということは、こちらのグローブが入るということであり、ゴム特有のニオイで吐き気を催す可能性もあります。
ミラーを口に入れる
虫歯治療の際、口内には小さなミラーを入れることもあります。
こちらはデンタルミラーと呼ばれるもので、細い棒状の金属の先に、丸く小さい鏡がついています。
口内を明るくし、歯や歯茎の細部を確認するために用いられます。
しかしデンタルミラーには金属特有のニオイがあり、なおかつ歯を削るタービンやバキュームと違って全体が硬い器具です。
そのため、決して大きな器具ではないものの、気持ち悪さを感じる方は多いかと思います。
診察台の角度
歯科クリニックに設置された診察台は、虫歯治療を行いやすくするために角度や高さを調整することができます。
しかし、このとき角度を間違えると、嘔吐反射が起こりやすくなります。
具体的には診察台を倒しすぎたり、治療の際に頭が下がりすぎていたりすると、吐き気がする場合があります。
型取り
無事に虫歯治療を終えた後は、治療箇所に装着する詰め物や被せ物の作製を行います。
またこれらを作製するために欠かせないのが型取りです。
型取りは、患者さんの歯の形状を反映させた詰め物や被せ物を作製するための工程です。
しかし、舌の根元や喉に型取りの材料が触れると、嘔吐反射が起こる可能性が高いです。
また型取りの材料を口に含むことで呼吸がしづらくなり、気分が悪くなることも考えられます。
嘔吐反射が強いことは事前に伝えておくべき
歯科クリニックで虫歯治療を受ける際は、歯科医師に対し事前に嘔吐反射が強いということを伝えておくべきです。
もちろん、歯科医師は患者さんが気持ち良く治療を受けられるように工夫しています。
それでも嘔吐反射が強い方は、普通の方であれば耐えられるくらいの異物感であっても、耐えられない可能性があります。
そのまま治療を続けることは、患者さんにとっても歯科医師にとっても良くないことであるため、遠慮なく相談してください。
まとめ
嘔吐反射が強い方は、日頃から生活において不便な点が多くなります。
例えばブラッシングはもちろん、食べ物であっても少しサイズが大きい程度でえずいてしまうことが考えられます。
またそのような状況で虫歯治療を受けるのは大変ですが、虫歯を放置しても良い理由にはならないため、歯科医師とコミュニケーションを取りながら治療を進めていきましょう。