
女性は、妊娠すると体にさまざまな変化が起こります。
特に目立つのはお腹が大きくなっていくことです。
それだけでなく、見えないところでも変化は起こっているのです。
特に、歯の主な成分でもあるカルシウム不足には注意しましょう。
妊娠中のカルシウム不足に備えるにはどうしたらいいのか解説します。
妊娠中にカルシウムが不足する原因は?
妊娠中にカルシウムが不足することがあります。
カルシウムが不足すると、骨が脆くなるということはよく知られていますが、歯もカルシウムが主成分なので、不足すると健康を損なってしまいます。
カルシウムが不足するのは、お腹の中の子どもが成長するために必要となるからです。
子どもの骨や歯を形成するために、お母さんの体からカルシウムを吸収するため、カルシウムが不足してしまうのです。
日本人のカルシウム摂取量は、元々不足しているといわれています。
成人男性の推奨摂取量が1日650~800mg、女性が650mgであり、妊娠中は900mg、授乳の時期は1100mg摂取することが推奨されています。
しかし、ほとんどの人は400~500mgしか摂取できていません。
2018年のデータでは、20代女性の1日のカルシウム摂取量の中央値が356mg、30代女性が391mgしかありませんでした。
また、妊娠中の摂取量も普段と変わらず、362mgしかありません。
カルシウムは水にも含まれていますが、カルシウムが多く含まれているのは硬水という水です。
しかし、日本の水は一部を除き、基本的に軟水と呼ばれるものです。
水に含まれる硬水と軟水は、硬度として示されます。
日本の水道水に使用されるのは、硬度が1リットル当たり10mgから100mgまでの水です。
ごく狭い範囲で、おいしい水としての基準となっています。
また、飲料水以外では1リットル当たり300mgまでの水が認められています。
300mgという数字の基準は、石鹸を使用した際の泡立ちによるものです。
300mg以上になると泡立ちが悪くなるのです。
硬水と軟水の大きな違いとして、軟水は水道管を腐食させやすく、硬水はスケールを付着させやすいということが挙げられます。
スケールとは、電気ポットなどの中に残りやすい白い水垢のことです。
水道水に含まれるミネラルが原因で、硬度が高いほど付着しやすくなるのです。
ミネラルウォーターの中には硬水があり、さまざまな種類があります。
ミネラルウォーターの中でも特にカルシウムが多く含まれている硬水を妊娠中に飲むようにすると、カルシウムを摂取しやすくなるでしょう。
おすすめのカルシウム摂取の方法
普段のカルシウム摂取量が少ない場合には、日常生活の一部を変更する必要があるでしょう。
どのような点に気をつけると、カルシウムを摂取しやすくなるでしょうか?
気を付けるべき点として挙げられるのは、摂取する食品です。
カルシウムを摂取する方法として、多くの人は牛乳を思い浮かべるでしょう。
一般的な牛乳には200mlで約227mgのカルシウムが含まれていて、中にはおよそ3倍ものカルシウムが含まれている牛乳もあります。
牛乳を飲むとき、脂肪分やカロリーを気にする人もいますが、1日400ml程度なら飲んでもほとんど影響はありません。
妊娠中であれば、500mlが摂取の目安です。
他にも、チーズやヨーグルトなどの乳製品を摂取することをおすすめします。
中には、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするという人もいるでしょう。
その場合、乳製品なら問題なく摂取できるため、一度試してみてください。
日本で古くから摂取されているカルシウムといえば、骨ごと食べられる小魚です。
シラスやイワシなどの小魚などにはカルシウムが豊富に含まれていて、手軽に食べられます。
また、桜エビなどの殻ごと食べられるエビなどもおすすめです。
豆腐や納豆、油揚げなどの大豆製品にも、カルシウムは豊富に含まれています。
牛乳などと比べるとカルシウムの量は少ないものの、頻繁に食べやすい食材なので豊富に摂取できるでしょう。
チンゲン菜や小松菜などの野菜にも、カルシウムが多く含まれています。
中でも、モロヘイヤや水菜など、葉物野菜の多くにカルシウムが豊富に含まれています。
ゆでたり加熱したりすることで、嵩を減らしてたくさん食べることができるでしょう。
ヒジキは、カルシウムと一緒に鉄分も豊富に含まれているので、特におすすめです。
大豆製品はカルシウムが豊富で、食べやすいものも多いでしょう。
つわりがあると食べられるものは限られるので、無理をせずに摂取できるものを選んでください。
なお、カルシウムは、食材によって吸収率が異なります。
牛乳が最も吸収率が高いのですが、乳製品も同等の吸収率なので、牛乳が苦手な方は乳製品を食べるのがおすすめです。
豆腐や油揚げなどは、乳製品に次いで吸収率が高い食べ物で、たんぱく質も同時に摂取できます。
魚介類や野菜、海藻などの吸収率はあまり高くありませんが、他の食材と組み合わせやすいでしょう。
カルシウムを摂取するときは、ビタミンDが吸収を助けてくれます。
食品にはあまり含まれていませんが、日光浴によって体内で生成されるので、1日15分は日光浴をしてください。
まとめ
妊娠中は、お腹の中で子どもが形成されるときにお母さんからカルシウムを吸収するため、妊婦はカルシウム不足になりがちです。
カルシウムは歯の健康にもかかわるため、歯を大切にするためにもカルシウムを多く摂取しましょう。
牛乳などカルシウムが豊富な食品を多く摂取して、吸収を助けるビタミンDを生成するために日光浴をしてください。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。