寝ているとき、無意識に歯をぶつけあったり、こすらせたりしている人は少なくありません。
歯ぎしりといわれる癖ですが、歯ぎしりには4つの種類があります。
歯ぎしりの種類によって、原因や具体的な症状、対処方法などは異なります。
歯ぎしりの種類別の症状や原因などについて、解説します。
グラインディング
歯ぎしりというと、どのようなことを思い浮かべるでしょうか?
多くの人は、寝ているときに歯から「ギリギリ」「ギシギシ」という音がしている状態を思い浮かべるでしょう。
一般的にイメージされる歯ぎしりは、グラインディングといいます。
歯をこすり合わせることが、グラインディング(研ぐ、摩擦)のような印象を与えるため、この名称がついています。
グラインディングは歯をこすり合わせることで音が鳴るため、周囲の人が気づいて指摘することが多いでしょう。
グラインディングは主に、眠っているときに起こるものです。
しかし、起きているときにも歯を強く噛んでこすり合わせる癖がある人も多いのが特徴です。
強く噛んだ状態で横に動かすようにしてこすり合わせるため、歯に与えるダメージも大きく、歯が大きく削れてすり減ってしまい、だんだん平らになっていきます。
音が鳴りやすい種類の歯ぎしりですが、中には音がしないような歯ぎしりをする人もいるため、静かならグラインディングではない、とも言いきれません。
クレンチング
2つ目の種類はクレンチングです。
クレンチングは強く歯を噛み締めるものをいいます。
強く歯を噛み締めるという点はグラインディングと同じですが、グラインディングとは違い、歯を横にすり合わせず、ただ噛み締めるタイプであることが特徴です。
日中でも、歯を強く噛み締めることはあります。
主に力仕事のときやスポーツのとき、あるいは痛みを我慢するときなどに噛み締めることが多いでしょう。
日中に強く噛み締めることが多いと、噛み締め癖がついてしまいます。
やがて、寝ているときも噛み締めるようになってしまうのです。
クレンチングは音が出ないため、自分で気が付く人はあまりなく周囲にも気づかれにくい点が特徴です。
しかし、強く噛むことで歯が痛んだり、顎の筋肉が張ったり痛んだりすることがあるため、「もしかしたら」と思うことはあるかもしれません。
食事の際や発声のときなどは、上下の歯を噛み合わせて力を入れることもありますが、上下の歯が噛み合わせられる時間は1日の中で、合計5~20分ほどしかないといわれています。
通常の場合、何もしていないときは上下の歯が当たらずわずかな隙間が開いている安静位空隙と言われる状態になっています。
しかし、クレンチングになっていると、通常の状態よりも上下の歯が接する時間が大幅に増えるうえに、強い力が加わるのです。
タッピング
歯ぎしりには、上下の歯がカチカチと噛み合うタッピングといわれるものがあります。
歯ぎしりの中でもあまり見られないタイプで、歯を小刻みにぶつけることで小さい音が起こります。
軽く噛み合わせるような動きであるため、他の歯ぎしりのタイプよりも歯や顎にかかる負担が小さいのが特徴です。
タッピングは、自覚できることはめったにありません。
一緒に寝ている人の指摘によって気が付くケースがほとんどです。
ナッシング
歯ぎしりは歯全体でこすり合わせることもありますが、一部の歯だけをこすり合わせることもあります。
歯の特定部分でこすり合わせる歯ぎしりは、ナッシングタイプといいます。
就寝時に、キリキリやキシキシなどのきしむような音がすることが特徴です。
全体ではなく一部の歯だけをこすり合わせるので、こすり合わせている歯だけがどんどんすり減ってしまいます。
以上のとおり、歯ぎしりのタイプは複数ありますが、歯ぎしりをする人の中には、複数種類の歯ぎしりが起こる人もいます。
また、歯ぎしりの種類だけではなく、歯ぎしりが起こるタイミングによる違いもあります。
歯ぎしりをするタイミングは、睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムがあります。
この2つには、どのような違いがあるのでしょうか?
睡眠時ブラキシズムとは、眠っている間に起こる歯ぎしりのことをいいます。
眠っている間なので、基本的には無意識の行動です。
覚醒時ブラキシズムは起きているときに起こっている歯ぎしりですが、やはり無意識であることが多く、癖となっているケースが多いでしょう。
どちらの場合もほとんど自覚がないという点では同じであるため、自分で意識して防ぐことは難しいでしょう。
まとめ
歯ぎしりには、大きく分けて4つの種類があります。
歯をこすり合わせるグラインディング、歯を強く噛み締めるクレンチング、上下の歯をカチカチとぶつけるタッピング、一部の歯だけをこすり合わせるナッシングという種類があり、1つの歯ぎしりだけではなく複数の歯ぎしりが起こることもあるのです。
また、睡眠時と覚醒時のどちらに起こるかによっても分けられますが、どちらであってもほぼ無意識で起こるという点は共通しています。