歯周病は世界一感染者数が多い感染症であり、知名度も極めて高いです。
そのため、誰しも歯周病と聞くとイメージできる症状がいくつかあるはずです。
また歯周病には、実際発症した方以外にはあまり知られていない症状もいくつかあります。
今回は、歯周病の意外な症状を中心に解説します。
歯周病の一般的な症状
歯周病と聞いて多くの方がイメージするのは、おそらく以下のような症状でしょう。
・歯茎の腫れ
・出血
・歯の動揺(ぐらつき)
・膿が出る
・口臭
歯周病を発症すると、歯の根元部分の歯茎が赤く腫れたり、ブラッシングや食事のときに出血しやすくなったりします。
また中程度~重度にまで進行すると、歯がグラグラと動くようになり、上下に動く場合は抜歯のリスクが極めて高くなります。
さらに重度の歯周病では歯茎から膿が出始め、こちらが口内のネバツキや異味につながることがあります。
もちろん、膿は強い口臭を引き起こし、自身だけでなく周囲の方にも悪影響を及ぼします。
歯周病の意外な症状6選
上記以外にも、歯周病には以下のような意外な症状があります。
・硬いものが噛みにくい
・歯茎のかゆみ
・頭痛
・発熱
・黒い歯石の形成
・食べ物が挟まりやすい
各項目について詳しく説明します。
硬いものが噛みにくい
歯周病を発症した方は、以前よりも硬いものが噛みにくくなることがあります。
こちらは、歯を支える歯槽骨と呼ばれる骨が溶けてしまい、噛みにくさを感じるというものです。
場合によっては、噛んだときに痛みが出ることもあります。
そのため煎餅やフランスパンなどの硬いもの、スルメなどの噛み切りにくいものが噛みにくくなったという方は、他の症状も出ていないかどうか再度確認すべきです。
歯茎のかゆみ
歯茎の炎症や出血についてはよく知られていますが、実は歯周病を発症すると歯茎がかゆくなることもあります。
歯茎の腫れと同じようなタイミングでかゆみを感じるケースが多く、気になって舌で頻繁に触ってしまう方も少なくありません。
またかゆみのある部分を指で触る方もいますが、指で触ると細菌が入り込み、歯茎の状態がより悪化してしまうことがあります。
さらに歯茎のかゆさを感じたとき、強くブラッシングをしようとする方も少なくありませんが、こちらは非常に危険です。
歯茎を強く擦ると傷が付いてしまいます。
頭痛
慢性的な頭痛に悩まされるようになったという場合、歯周病が原因で発症したものかもしれません。
こちらは三叉神経の働きが関係しています。
三叉神経は、顔の皮膚や口の中の粘膜、歯や歯茎の感覚を司る神経です。
また歯周病によってこちらの神経が刺激され、緊張性頭痛を引き起こすことがあります。
緊張性頭痛は一般的な頭痛の中でもっとも頻度が高いものであり、なかなか歯周病が原因であることに気付くのは難しいです。
ただし、ある日を境に原因不明の頭痛が起こるようになったという場合、歯周病から来る緊張性頭痛を発症しているかもしれません。
発熱
歯周病が原因で歯茎が炎症している場合、それが発熱につながることも考えられます。
また歯周病菌の影響で免疫力が低下することで、風邪などの疾患にかかりやすくなり、歯周病菌がさらに増殖して発熱のリスクが高まることもあります。
ちなみに体温が38℃以上の場合、細菌が口の中から全身を巡っている可能性が高いです。
こちらは重大な疾患を引き起こしかねないため、早急に医療機関を受診しなければいけません。
黒い歯石の形成
歯周病を発症している方は、歯茎の中に黒い歯石が形成されることがあります。
こちらは、歯周ポケット内に付着した縁下歯石である可能性が高いです。
縁下歯石は、歯周病にかかっている歯茎内に生息するP.G.菌という歯周病菌が分泌する色素、出血で付着した血液の鉄の色素が原因で黒く見えます。
通常の歯石は天然歯に近い色をしているため、縁下歯石がある場合は非常に目立ちます。
また縁下歯石は通常の歯石と同様、自宅でブラッシングをしても除去することはできません。
放置するとさらに歯周病が悪化するおそれがあるため、早めに歯科クリニックで除去するべきです。
食べ物が挟まりやすい
食事をしているとき、食べ物が挟まりやすくなったと感じる場合も、歯周病が進行している可能性があります。
歯周病がある程度進行すると、歯周ポケットが深くなるため、食べ物が挟まりやすくなります。
また歯茎が弱くなっていることから、歯がぐらつきやすく、こちらも挟まりやすくなる要因の一つです。
もちろん、歯周ポケットなどに挟まった食べカスを取り除かずにいると、やがては歯石が形成されます。
まとめ
歯茎の腫れや出血といった症状は知っていても、前述したような症状は知らなかったという方は少なくないでしょう。
また歯周病は、これらの症状が出たときに治療すれば良いわけではありません。
症状が出ているということは、すでにある程度歯周病が進行しているということです。
本当に大切なのは、自覚症状がないうちから歯科クリニックに通い、定期検診を受けて歯周病の発症を防ぐことです。