「虫歯になれば歯が痛くなるからわかる」と思っている人も多いのですが、実は痛みが無くても虫歯と診断されることがあります。
歯の痛みがないのに虫歯といわれても納得できないかもしれませんが、虫歯になっても痛みがないケースはそう珍しいことではありません。
虫歯なのに歯が痛くないのはどのようなケースがあり得るのか解説します。
虫歯で歯が痛む原因は?
虫歯になると歯が痛くなるというイメージがあります。
実際に痛みで虫歯を自覚する人も多いのですが、そもそもなぜ痛むのでしょうか?
歯の構造は、外側に硬い層があり、内側に象牙質の層があり、さらに内側には歯髄という神経や血管が含まれている組織があります。
一番外側にある硬いエナメル質が、柔らかい象牙質やさらに内側の歯髄を刺激から守っているのです。
例えば、熱いものや冷たいものを食べたり飲んだりした際は、象牙質がむき出しになっていると、かなり強い刺激を受けることになります。
そのため、強い痛みを感じることもあるのです。
しかし、実際はエナメル質が外側を守っているため、象牙質まで刺激が届かず、痛みを感じることもありません。
虫歯の場合、外側のエナメル質を溶かして象牙質まで感染したとき、初めて痛みが生じるようになります。
象牙質まで進行すると、エナメル質が溶かされているために、熱さや冷たさが象牙質まで直接届くようになってしまうのです。
もちろん、虫歯の原因菌が炎症を起こしていくことでも痛みが生じるますが、最初に感じる痛みは強い刺激が原因となっています。
歯が痛まない虫歯は?
虫歯になると基本的に歯は痛みますが、虫歯になったにも関わらず歯が痛まないのはどのようなケースなのでしょうか?
1つ目のケースが、初期の虫歯です。
虫歯は最初にエナメル質を溶かしてから象牙質まで届くため、初期段階では痛みが生じにくくなっています。
痛みがほとんどなく、他に自覚症状もないためなかなか気づくことができませんが、初期段階であれば歯のダメージを最小限にして治療できるでしょう。
2つ目のケースとして挙げられるのが、重症化した虫歯です。
ただし、重症化した虫歯のなかでも、神経が死んでしまったケースが該当します。
虫歯が重症化して神経が死ぬと、痛みを感じることがありません。
虫歯は、象牙質のさらに奥にある歯髄まで進行することもありますが、歯髄の中の神経は虫歯の原因菌に感染すると激しい痛みを生じさせます。
しばらく我慢していると痛みは無くなりますが、それは神経が死んでしまったということです。
3つ目のケースは、神経を失った歯が再び虫歯になる二次虫歯、二次う蝕といわれる状態です。
治療や虫歯の進行によって既に神経が失われた歯は、再び虫歯になったとしても痛みを感じることはありません。
以上のように、初期段階の虫歯も二次虫歯も自覚はできないため、虫歯の治療が遅くなる可能性があります。
定期検診を受ける重要性
虫歯になっても痛みを感じないことがある以上、痛みがあるかないかで歯の健康は判断できないということがわかります。
現在は歯の痛みがなくても、すでに虫歯が発症している可能性は十分にあるでしょう。
歯の健康状態を把握するために必要なのは、歯科医院で定期検診を受けて確認しておくことです。
定期検診では、歯科医が口内の健康状態を確認するため、歯が健康かどうかを正確に判断できます。
また、もし痛みがない初期虫歯や二次虫歯があったとしても、発見して治療してもらうことができるのです。
定期検診を受けて歯をクリーニングすることで、歯石やプラークを徹底的に除去することができ、ブラッシング指導でセルフケアもしっかり行えるようになります。
生活習慣の改善とともに、プラークコントロールの精度を高めることにつながり、虫歯の予防にもなるのです。
歯が痛くなった時には手遅れ
虫歯になって歯が痛くなってから歯科医院で治療を受けた場合は、もうかなり虫歯が進行しているため手遅れといえます。
すでに象牙質まで感染しているため、治療をするとしても溶かされた歯は元通りにはなりません。
歯が痛くなったということは、虫歯を治療するタイミングとしてはすでに手遅れといえるでしょう。
そのため、できれば歯が痛くなる前の初期虫歯の段階で治療することが大切です。
しかし、歯が痛くなる前に虫歯だと気づくのは困難であるため、定期検診を受けて定期的にチェックしてもらうのがおすすめです。
まとめ
虫歯になると歯が痛くなるものだと思われがちですが、実際には初期段階の虫歯では痛みがなく、歯の神経が死んでしまったり除去したりした歯も痛みを感じることはありません。
虫歯になって歯が痛むのは、外側のエナメル質が溶けて象牙質まで虫歯が進行した場合で、エナメル質だけ溶かされていても痛みはありません。
なるべく初期段階で虫歯を発見し、治療してもらえるように、定期検診を受けることをおすすめします。