虫歯の自覚症状があったり、明らかに虫歯で歯がボロボロになっていたりする場合でも、なかなか歯科クリニックに通えないという方がいます。
このような方は、歯科恐怖症を患っている可能性があります。
今回は、歯科恐怖症の概要と、発症する意外な原因を中心に解説します。
歯科恐怖症の概要
歯科恐怖症は、虫歯治療ひいては歯科クリニックに対し、強い恐怖心や不安を抱く精神障害です。
主な症状としては動悸やめまい、発汗や過呼吸などが挙げられます。
また歯科恐怖症の重症度については個人差があります。
例えば、歯科クリニックには通えるものの、治療中は汗が止まらないという方がいます。
このようなケースは、通院ができている分まだ軽度だと言えます。
一方重度の方は、自身が虫歯治療を受けているのを想像しただけで気分が悪くなったり、汗や動悸が止まらなくなったりすることがあります。
つまり、そもそも通院できそうにないということです。
ちなみに、歯科恐怖症は主に過去の治療によるトラウマが原因で発症します。
具体的には、子どもの頃の虫歯治療がとても痛かったことや、歯科医師に叱責されたことなどが原因になることが多いです。
しかし、このような経験がないにもかかわらず、いつの間にか歯科恐怖症を発症しているというケースもあります。
歯科恐怖症の意外な原因4選
過去に虫歯治療で嫌な思いをしたことがないにもかかわらず、歯科恐怖症を患っている方は、以下のようなことが原因で発症につながっていることが考えられます。
・両親から与えられたイメージ
・過去の治療における説明不足
・家族が歯で大変な思いをしていた
・メディアの影響
各項目について詳しく説明します。
両親から与えられたイメージ
子どもの頃両親に与えられたイメージにより、虫歯治療や歯科クリニックに苦手意識を持ってしまうというケースがあります。
親御さんには、子どもの歯の健康を守るという重要な役割があります。
そのため、場合によっては“虫歯治療=怖い”というイメージを植え付けてしまうことが考えられます。
例えばブラッシングをしない子どもに対し、「そのようなことをしていたら、歯医者さんで痛い思いをするよ」といった言葉で叱責するようなケースです。
子どもの頃にこのような言葉をかけられた方は、歯科クリニックで虫歯治療を受けていなくても、怖いものというイメージを持ってしまいます。
ちなみに日本歯科医師会では、このような歯科恐怖症につながる事例を避けるため、“歯科クリニック=怖いもの”というイメージを植え付けない教育が推奨されています。
過去の治療における説明不足
過去に歯科クリニックで虫歯治療を受けた方の中には、特に強い痛みなどもなく治療を終えた方も大勢いるでしょう。
それにもかかわらず歯科恐怖症を患っている方は、過去の治療において歯科医師からの説明が不足していた可能性があります。
通常、歯科クリニックで虫歯治療を行うときは、これからどのような処置を行うのかについて細かい説明があるものです。
しかし一昔前の歯科クリニックでは、このような説明が不足していたケースも散見されました。
また十分な説明を受けなかった患者さんは、これから何が行われるのかがわからず、恐怖心や不安が大きくなってしまいます。
このときの気持ちが心の奥底にあることで、いまだに虫歯治療や歯科クリニックに対して苦手意識を持っているということも考えられます。
家族が歯で大変な思いをしていた
家族が歯に関する大変な思いをしていたのを間近で見ていた場合、知らず知らずのうちに歯科クリニックが苦手になってしまうことがあります。
例えば子どもの頃、両親が虫歯の痛みでイライラしていた場面や、満足に食事を摂れない場面を見ていた場合などが該当します。
また祖父母が入れ歯だった場合、総入れ歯が合わなかったことが理由で何度も通院したり、噛みやすいように別のおかずをつくったりするシーンを見ることもあります。
このように、歯に関する大変な思いをしている家族を見たことで、子どもながらに“歯科クリニック=怖いところ”という認識を持ちやすくなります。
メディアの影響
テレビなどのメディアで虫歯、歯科クリニックに関する番組を観たことで、歯科恐怖症に近い症状を患うというケースもあります。
現在は減りましたが、一時期医療系の番組が多く放送されている時期がありました。
このとき、インプラント治療の失敗なども頻繫に取り上げられていました。
テレビ番組では、視聴率を取るために少し過剰な演出をすることもありますが、このような番組を見て歯科クリニックに苦手意識を持ったという方も少なくありません。
まとめ
過去の虫歯治療でトラウマを受け付けられていなくても、歯科恐怖症を発症することはあります。
また原因はどうであれ、歯科恐怖症の状態を放っておくと、虫歯を患っている部分はどんどん症状が悪化していきます。
そのため、歯科恐怖症ということを伝えた上で、一度歯科クリニックのカウンセリングを受けることをおすすめします。