虫歯予防の方法の一つに、キシリトール配合のガムを噛むことが挙げられます。
キシリトールは、虫歯の発生や進行を防ぎ、なおかつ唾液の分泌も促進してくれます。
しかし、いくら虫歯予防法だからといって、ガムを過剰に噛むのは禁物です。
今回は、ガムを噛みすぎることによる主なデメリットについて解説します。
ガムを嚙みすぎることによるデメリット8選
虫歯予防だからといって、頻繁にガムを噛みすぎてはいけません。
噛みすぎには以下のようなデメリットがあります。
・顎関節症のリスク増加
・腹部の膨張感
・下痢
・消化酵素の空回り
・詰め物や被せ物の損傷
・歯のエナメル質の摩耗
・メタルタトゥー
・消化管の閉塞
各デメリットについて詳しく説明します。
顎関節症のリスク増加
ガムを噛んでばかりいると、顎関節症のリスクが上昇します。
顎関節症は、顎の関節やその周辺の筋肉に異常をきたす疾患です。
主に顎がうまく開閉できなくなったり、開閉時に異常な音が鳴ったりするようになります。
また顎関節症は慢性的な疾患であるため、ナイトガードなどの治療を受けなければ、自然に治癒することはありません。
腹部の膨張感
キシリトールガムを噛みすぎることのデメリットとしては、腹部の膨張感が現れることも挙げられます。
会話をしながら大量のガムを噛むなどしたときには、余分な空気を飲み込むことにより、腹部の膨張感やガスが発生することがあります。
またこちらの影響は、特に過敏性腸症候群の方に現れやすいです。
過敏性腸症候群は、大腸に炎症や潰瘍などの明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的な下痢や腹痛が続く疾患です。
つまり、普段よくお腹を壊す方は、ガムを噛みすぎると症状が悪化しやすくなるということです。
下痢
先ほどガムを噛みすぎるデメリットとして、腹部の膨張感について解説しました。
またお腹が緩い方は特にその影響を受けやすいという風に言いましたが、ガムの噛みすぎは単純に下痢を引き起こす可能性も高くなります。
ガムに含まれるキシリトール矢ソルビトールといった糖アルコールを大量に摂取すると、消化不良を引き起こし、下痢の原因となることがあります。
消化酵素の空回り
消化酵素の空回りも、キシリトールガムを噛みすぎることのデメリットです。
ガムを噛むことにより、身体は食べ物が入っていると思い、消化酵素と胃酸を分泌します。
しかし、ガムは他の食べ物とは違い、実際には体内には入ってこない特殊な食べ物です。
そのため、単純に胃に負担がかかりやすいです。
またガムを噛めば噛むほど、消化酵素と胃酸が分泌される回数も多くなり、胃が荒れてしまいます。
詰め物や被せ物の損傷
詰め物や被せ物がある状態でガムを大量に摂取する場合も、デメリットが生じます。
詰め物、被せ物はしっかり歯に密着するように装着されていますが、100%外れないというわけではありません。
特に銀歯などの保険診療の詰め物については、ガムを噛み続けることで緩んだり、損傷したりする可能性が高いです。
歯のエナメル質の摩耗
キシリトールガムだからといって、あまりに大量に噛んだり長時間噛みすぎたりすると、歯のエナメル質が摩耗しやすくなります。
歯の表面には、エナメル質と呼ばれる硬い層があります。
こちらは人の身体の中でもっとも硬い組織ですが、咀嚼時間が長すぎると少しずつ摩耗していきます。
またエナメル質が摩耗した状態だと、歯が熱いものや冷たいものに対して敏感になります。
このような知覚過敏の症状は、食事だけでなくブラッシングなどの習慣にも悪影響を及ぼします。
メタルタトゥー
メタルタトゥーも、キシリトールガムを噛みすぎることのデメリットです。
メタルタトゥーは、金属素材の影響により、歯茎が黒く染まってしまう現象です。
黒い着色がタトゥーのように見えることからこう呼ばれています。
口内にアマルガムという水銀を含む歯科用充填剤の詰め物がある場合、ガムを噛むことで水銀が口内や体内に放出されることがあります。
その結果、水銀が歯茎に金属イオンとして流れ出てしまい、メタルタトゥーを引き起こします。
消化管の閉塞
ごく稀なケースではありますが、ガムを噛みすぎると消化管が閉塞する危険性もあります。
消化管の閉塞は、何らかの原因で胃や小腸、大腸などの通過が妨げられる状態です。
発症すると、軽いもしくは強い腹痛が現れたり、吐き気や嘔吐、便秘や発熱などを引き起こしたりすることがあります。
また大量のガムを噛み、誤って飲み込んでしまった場合、それが消化管の閉塞につながることが考えられます。
特に子どもの場合は注意が必要です。
まとめ
キシリトールガムを噛むのは、口内の健康を維持するにあたって良いことです。
しかし、何事も適度に行うことが大事だと考えておきましょう。
ちなみにキシリトールガムの摂取量の目安は、1日5~10gです。
こちらを3~4回に分けて食後に噛むことで、虫歯や歯周病の予防効果を最大限に引き出すことができます。
またキシリトールガムを噛むだけでなく、ブラッシングやフッ素の使用も併用すべきです。
