歯周病は世界一感染者数が多い感染症であり、日本でもその発症率は極めて高いです。
それにもかかわらず、虫歯と比べて予防や治療の意識が低いのが現状です。
歯周病とおぼしき症状がある方は、必ず歯科クリニックで歯周病治療を受けなければいけません。
今回は、歯周病治療に関するよくある質問にお答えします。
歯周病治療とは?
歯周病治療は、歯周病の進行度に応じて行われる治療です。
一般的には、歯周基本治療のことを指しています。
歯周基本治療は、名前の通り歯周病治療の基本であり、すべての歯周病患者さんに適用されます。
具体的にはスケーリングやルートプレーニング、ブラッシング指導などが該当します。
スケーリングは、歯の表面や歯周ポケットに付着した歯石を、専用の器具で除去します。
ルートプレーニングは、スケーリングだけでは届かない歯周ポケットの深部にある歯石や感染した根面の汚れを取り除き、歯根面を滑らかにします。
さらにブラッシング指導は、患者さん自身が毎日行うセルフケアでプラークを除去できるように、適切なブラッシング方法を指導します。
ちなみに、歯周基本治療では歯周病でグラついた歯の噛み合わせを調整し、歯への負担を減らすこともあります。
歯周病治療に関するよくある質問10選
歯周病治療に関しては、以下のような質問がよくあります。
・歯周病治療の期間は?
・重度の歯周病でも治せる?
・歯周病治療は痛い?
・歯周病にかかったら治らない?
・歯周病の治療費は?
・歯周病治療を受ければ口臭も改善する?
・セルフケアだけで歯周病は治る?
・歯周病治療を受けないと全身の健康に影響する?
・歯周病治療で抜歯をすることはある?
・歯周病治療後の再発防止策は?
各質問に順番にお答えします。
歯周病治療の期間は?
治療期間は歯周病の進行度合い(歯肉炎、軽度、中等度、重度)によって大きく異なります。
初期段階であれば比較的短期間で済みますが、重度になると数ヶ月以上にわたることもあります。
また痛みが少なく慢性的に進行する病気であるため、1回の治療で終わることは稀で、根気よく通院する必要があります。
重度の歯周病でも治せる?
重度の場合、溶けてしまった顎の骨などを自己治癒力だけで回復させるのは困難です。
しかし、適切な治療(歯周外科治療や再生療法など)によって骨の再生を促すことで、回復の可能性は十分にあります。
歯周病治療は痛い?
歯石除去などの基本的な治療は通常、麻酔なしで行われますが、痛みに敏感な方や処置内容によっては局所麻酔を使用して痛みを最小限に抑えることが可能です。
多くの歯科クリニックでは、痛みの少ない治療を心がけています。
歯周病にかかったら治らない?
歯周病は慢性疾患であるため、完治という完治は存在しません。
しかし適切な治療と日々の正しいセルフケア、定期的な歯科クリニックでのメインテナンスによって進行を止め、健康な状態を維持することは可能です。
歯周病の治療費は?
治療内容の大部分は保険診療でカバーされますが、歯周組織再生療法などの高度な治療や、セラミックなどの審美的な被せ物を選ぶ場合は自費診療となり、費用は異なります。
詳細は各歯科クリニックにご確認ください。
歯周病治療を受ければ口臭も改善する?
口臭の主な原因の一つは、歯周ポケットに溜まったプラーク歯垢や歯石、そこから発生するガスです。
治療によってこれらを取り除き、歯周病を改善することで口臭は大幅に軽減または解消されます。
セルフケアだけで歯周病は治る?
毎日の丁寧なブラッシングは非常に重要ですが、歯周ポケットの奥深くにある歯石やプラークは自分では完全に除去できません。
そのため、歯科クリニックでの専門的なクリーニング(PMTC)が不可欠です。
歯周病治療を受けないと全身の健康に影響する?
歯周病は、全身の健康に強く関連しています。
具体的には歯周病菌が血流に乗って全身に運ばれることで、糖尿病や心疾患、脳梗塞、認知症などのさまざまな全身疾患のリスクを高めることが知られています。
そのため、歯周病治療は必ず受けなければいけません。
歯周病治療で抜歯をすることはある?
歯周病治療では、基本的には歯を残すための治療を最優先に行います。
しかし歯周病が極端に進行して歯を支える骨がほとんどなくなり、保存が不可能と判断された場合は、他の健康な歯への影響を考慮して抜歯が必要になることがあります。
歯周病治療後の再発防止策は?
歯周病治療後も歯周病を再発させないためには、歯科クリニックでの定期的な検診とプロフェッショナルなクリーニングがもっとも重要です。
また定期検診では、正しいブラッシング方法や生活習慣の改善に関するアドバイスも受けられます。
まとめ
歯周病=治療をするという考えがあまりない方は、この機会にぜひ歯周病治療を受けることを検討していただきたいと思います。
また歯周病を発症していない方も、定期的に歯科クリニックに通い、歯茎などの状態を診てもらうことが大切です。
もちろん、定期検診の際には、歯科医師にデンタルケアなどに関する気になることを遠慮せずに質問しましょう。
