歯周病は、老若男女問わず発症する可能性のある疾患です。
例えば40~50代の中高年といわれる年齢に差し掛かってから発症することもありますし、早ければ10代の学生の頃から症状が現れることも考えられます。
今回は、学生のうちに歯周病を発症することの主なデメリットを中心に解説します。
学生における歯周病のデメリット4選
10代の学生が歯周病を発症することのデメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
・歯の喪失リスクの上昇
・全身疾患リスクの早期化
・集中力の低下
・対人関係への影響
各デメリットについて詳しく説明します。
歯の喪失リスクの上昇
学生が歯周病を発症することにより、若くして歯の喪失リスクが上昇します。
学生が患う歯周病は、主に若年性歯周炎と呼ばれるものです。
こちらは侵襲性歯周炎ともいい、10~30代の若年層に発症し、歯周組織や骨が急速に破壊されるという特徴を持っています。
また歯周病で一度溶けてしまった歯の骨、下がってしまった歯茎については、手術を受けなければ元に戻すことができません。
若い時期から失われた組織は、将来的にさらに大きな問題を引き起こす可能性があります。
ちなみに、若年性歯周炎はプラークの付着量とは関係なく、遺伝子要因や特定の細菌の関与が示唆されています。
適切なブラッシングに加え、歯科クリニックでの専門的な治療が不可欠です。
全身疾患リスクの早期化
学生が歯周病を患うことのデメリットとしては、全身疾患リスクの早期化も挙げられます。
歯周病は口内だけで完結する疾患ではありません。
症状が進行しているにもかかわらず、治療せずに放置していると、その影響は全身にまで及びます。
歯周病菌は、血流に乗って身体のさまざまな組織に攻撃をしかけるため、非常に危険です。
また学生のうちから歯周病を発症すると、将来的な動脈硬化や心臓病、糖尿病などの全身疾患リスクを早い段階から抱えることになります。
これらの全身疾患は、場合によっては命を落とす危険性もあるため、できる限り発症のリスクを下げなければいけません。
集中力の低下
集中力が低下することも、学生が歯周病を発症することのデメリットです。
学生生活では、集中しなければいけない場面が数多くあります。
例えば勉学に励んでいるときや、部活動を行っているときなどは、高い集中力が必要です。
しかし、歯周病を患うと歯茎が腫れたり、痛みが強くなったりすることがあります。
このような状況が続くと、勉強や運動の妨げになり、充実した学生生活を送ることができません。
対人関係への影響
学生生活を送るにあたって、友達や先生などとの対人関係はとても重要です。
しかし歯周病を発症すると、円滑な対人関係にまで影響が出てしまいます。
こちらは主に見た目の悪化や口臭が原因です。
歯周病を発症すると歯茎が赤く変色したり腫れたりするため、口元を見られたとき相手の印象が悪くなるおそれがあります。
具体的には「不潔」「自己管理ができない」というイメージを与えてしまい、コミュニケーションが希薄になるおそれがあります。
また歯周病が進行すると、産生されるガスの影響によって口臭が強くなることも考えられます。
こちらの口臭はとても強烈であり、ゴミのようなニオイに例えられることもあります。
学生が常にこのような口臭を発している場合、友人や恋人との会話、面接といった対人関係において大きなマイナスになります。
ちなみに学生は思春期であり、このような対人関係の悪化による精神的ダメージが大きくなりやすいです。
場合によってはふさぎ込んでしまい、通学するのも難しい状態になりかねません。
学生の一人暮らしにおける歯周病のリスクについて
学生の中には、進学をきっかけに一人暮らしを始める方も多いです。
しかし岡山大学の研究によると、一人暮らしを始めた大学生が歯科検診に行かなくなり、歯周病のリスクが高まることが報告されています。
こちらは一人になったことにより、通院の判断が自己に委ねられるようになるのが主な理由です。
また生活リズムが不規則になり、ついつい通院を後回しにしてしまうことも、歯周病のリスクが高まる原因です。
歯周病が進行しやすくなる学生生活の要因
学生は外食やコンビニ食が多くなる傾向にあり、こちらは糖分や炭水化物の摂取量が増え、歯周病菌が繁殖しやすくなる原因です。
また受験勉強や対人関係のストレスは、免疫力を低下させ、歯周病を悪化させることがあります。
さらに「忙しい」「面倒臭い」といった理由でブラッシングを怠ったり、フロスや歯間ブラシを使用しなかったりした場合も、歯周病は確実に進行します。
まとめ
歯周病という疾患に対し、若い頃から危機感を持って予防をしている方は、残念ながら多くはありません。
しかし将来のことを考えると、若い学生の方こそ歯周病予防を強く意識すべきだと言えます。
また学生の歯周病はかなり進行スピードが早いため、歯科クリニックに通院するタイミングを間違えてはいけません。
取り返しのつかないことになる前に、定期検診を受ける習慣をつけておくべきです。