口内で発生する問題や疾患といえば、虫歯や歯周病が代表的ですが、それらと同じくらい厄介なものに知覚過敏が挙げられます。
知覚過敏は、冷たいものなどの刺激に敏感になり、頻繁に痛みを生じるというものです。
今回は知覚過敏の仕組みや、こちらの症状に効く知覚過敏ケア歯磨き粉に関することを解説します。
知覚過敏のメカニズム
知覚過敏は、主に以下のようなことが原因で発症します。
・エナメル質の摩耗
・歯茎の退縮
・酸蝕症
歯の表面には、エナメル質という人の身体の中でもっとも硬い組織があります。
こちらは通常歯を守るように形成されていますが、ブラッシングの力が強すぎたり、歯ぎしりや食いしばりをしていたりすると削られることがあります。
これにより、知覚過敏のリスクが高まります。
また歯周病などを発症したことにより、歯茎が通常よりも下がってしまうと、歯の根元にある象牙質という組織が露出します。
象牙質はエナメル質と比べて非常に敏感な組織であり、象牙細管と呼ばれる歯の神経につながる無数の小さな無数の管が通っています。
こちらに刺激が加わると、管を通じて刺激が神経に直接伝わり、知覚過敏の症状を引き起こします。
さらに、酸性の食べ物を頻繁に摂取することで、エナメル質が溶かされてしまうことも、知覚過敏を発症する原因です。
知覚過敏ケアができる歯磨き粉の効果
知覚過敏を発症した場合、そのケアに特化した歯磨き粉を使用するのがおすすめです。
知覚過敏ケア歯磨き粉には、主に以下のような効果が期待できます。
・痛みの軽減
・刺激の伝達の鈍化
・象牙質の露出予防
各項目について詳しく説明します。
痛みの軽減
知覚過敏ケア歯磨き粉を使用すれば、知覚過敏によって発生する痛みをある程度軽減できます。
こちらは硝酸カリウムという成分の働きによるものです。
硝酸カリウムのカリウムイオンが歯の神経の周りにバリアをつくり、刺激の伝達を弱くすることにより、痛みがブロックされます。
また硝酸カリウムの効果は、比較的即効性があるとされています。
そのため、知覚過敏ケア歯磨き粉を使用すれば、すぐに細かい刺激は気にならなくなる可能性が高いです。
刺激の伝達の鈍化
知覚過敏ケア歯磨き粉には、乳酸アルミニウムという成分が含まれていることもあります。
こちらの成分は、象牙細管という組織の入口を物理的に封鎖します。
これにより、食事やブラッシングなど、外部からの刺激が神経に伝わるのを防ぎます。
また乳酸アルミニウムには、継続的な効果が期待できるという特徴もあります。
つまり知覚過敏ケア歯磨き粉を使用し続けていれば、刺激の伝達は鈍化し続けるということです。
象牙質の露出予防
知覚過敏ケア歯磨き粉には、フッ素が含まれているケースも多いです。
フッ素は歯を強化する成分の代表格であり、歯科クリニックでは直接歯に塗布する施術も採用されています。
具体的には、歯の再石灰化を促して歯質を強化することで、象牙質が露出するのを防ぎ、知覚過敏の症状を緩和します。
ちなみに知覚過敏ケア歯磨き粉の場合、多くの製品に高濃度フッ素(1,450ppm)が配合されています。
代表的な知覚過敏ケア歯磨き粉
知覚過敏ケア歯磨き粉として代表的な製品には、主に以下のものがあります。
・シュミテクト
・システマ
・デントヘルス
シュミテクトは、使用したことがない方でも名前は聞いたことがあるかと思います。
こちらは知覚過敏ケア歯磨き粉の代表的なブランドであり、さまざまな種類のものが販売されています。
『シュミテクト コンプリートワンEXプレミアム』は、知覚過敏予防に効果的な硝酸カリウムが配合されています。
『シュミテクト 歯周病ケア』は知覚過敏と歯周病を同時にケアすることができ、『シュミテクト プラチナプロテクトEX』は硝酸カリウムと乳酸アルミニウムを含んでいます。
またシステマについても、非常に有名なオーラルケアブランドです。
こちらはライオンが販売するもので、『システマ センシティブ』や『システマ ハグキプラスプレミアム』などの製品があります。
前者は硝酸カリウムが、歯がしみる症状を軽減し、後者は歯周病予防にも特化しています。
さらにデントヘルスについては、ライオンが販売する歯周病ケアのブランドです。
カリウムイオンが歯のしみを防ぐ『デントヘルス しみるブロック』などの製品は、歯茎の退縮による知覚過敏を適切にケアしてくれます。
ちなみに、これらの知覚過敏ケア歯磨き粉を1~2週間使用しても症状が改善されない場合は、一度歯科クリニックに相談することをおすすめします。
すでに重度の虫歯を発症している場合などは、歯磨き粉でケアしても痛みなどの症状が治まらない可能性が高いです。
まとめ
知覚過敏は、若い方でも発症する可能性が高いです。
食事やブラッシングなどさまざまな生活習慣の妨げとなるため、早めに改善しなければいけません。
また知覚過敏ケア歯磨き粉を継続して使用すれば、ある程度知覚過敏が起こりにくい口内環境が出来上がりますが、それだけでは不十分なこともあります。
すでに虫歯や歯周病で口内環境が大きく乱れている方は、早急に必要な検査や治療を受けましょう。