歯に痛みが出た場合、ほとんどの方は真っ先に虫歯を疑うでしょう。
しかし痛みがあるものの、歯科クリニックを訪れると「虫歯ではない」と言われることがあります。
このような場合、何が原因になっていることが考えられるのでしょうか?
今回はこちらの点について解説します。
虫歯ではないのに歯が痛む原因6選
間違いなく歯の痛みはあるものの、虫歯を発症していない場合、以下の原因が考えられます。
・歯周病
・親知らずの問題
・歯根膜の炎症
・歯ぎしり、食いしばり
・知覚過敏
・歯以外の疾患
各項目について詳しく説明します。
歯周病
意外かもしれませんが、虫歯ではないのに歯が痛む場合、歯周病が原因になっている可能性があります。
歯周病は、世界一感染者数が多い感染症です。
しかし、ほとんど自覚症状がないことから、静かなる病気(サイレント・ディジーズ)とも呼ばれています。
ここでいう自覚症状には痛みも含まれますが、歯周病が重度にまで進行したときは話が別です。
重度の歯周病の場合、歯周ポケットに膿が溜まり、歯茎が風船のように腫れて激しい痛みを感じます。
また歯を支える骨が溶けて歯がぐらつき、噛んだときに痛みを感じることもあります。
歯周病の自覚症状がないのは、あくまで初期段階の場合のみということを理解しておきましょう。
親知らずの問題
虫歯ではないにもかかわらず歯が痛い場合、親知らずに問題が起こっているかもしれません。
親知らずは、奥歯のさらに奥に生える歯です。
“親知らず=抜かなければいけない”というイメージが強いですが、実際はそのようなことはなく、真っ直ぐ生えている場合は抜歯をしなくても大丈夫です。
しかし問題が起こっていて痛みも生じている場合は、抜歯が必要になることもあります。
例えば、親知らずの周りの歯茎の隙間に細菌が溜まり、炎症を起こしている場合、強い痛みが生じます。
こちらは智歯周囲炎と呼ばれるもので、疲れているときや体調が悪いときなどに起こりやすいです。
また斜めに生えている親知らずが手前の歯を圧迫し、痛みや違和感の原因になることもあります。
さらに親知らずの生える方向が適切ではなく、歯茎や頬に当たって傷付け、痛みを生じることも考えられます。
歯根膜の炎症
歯根膜の炎症も、虫歯ではないのに歯が痛むときに考えられる症状です。
歯根膜は、歯の歯根と顎の骨の間にある厚さ約0.2~0.3mmの薄い膜です。
こちらは歯を顎骨に固定することや、噛む力を和らげること、歯応えなどの感覚を脳に伝えることなどの重要な役割を担っています。
歯根膜は一度失うと再生しませんが、場合によっては炎症が起こって痛みを引き起こすことがあります。
歯根膜炎の主な原因としては、虫歯や歯周病の進行などの他、過去の治療や物理的な衝撃も挙げられます。
根管治療を受けた歯の詰め物や被せ物の隙間から細菌が侵入すると、歯根膜に感染して炎症を起こすことがあります。
また打撲や転倒などにより、急に歯への強い力が加わると、歯根膜が損傷して炎症を起こします。
歯ぎしり、食いしばり
慢性的な歯ぎしりや食いしばりがある方も、虫歯を発症していないのに歯が痛むことがあります。
歯ぎしりや食いしばりのとき歯にかかる力は、100kgを超えると言われています。
そのような強い力がかかり続けると、歯根膜炎を引き起こす可能性が高まります。
また噛むための筋肉に負担がかかり、その痛みを歯の痛みと勘違いすることもあります。
このような症状は、筋・筋膜性歯痛と呼ばれます。
知覚過敏
知覚過敏も、虫歯ではないのに歯が痛むときに考えられる原因です。
知覚過敏は、歯の内部の象牙質が外気に触れることにより、ズキッとした痛みを感じるようになる状態です。
歯周病によって引き起こされることが多いですが、その他にも加齢や不適切なブラッシングが原因になることもあります。
年齢を重ねると、歯茎や歯が全体的に弱まり、象牙質が露出して知覚過敏を引き起こすことがあります。
また硬い歯ブラシの使用や強い力でのブラッシングにより、歯の根元が削れたり歯茎が下がったりして、知覚過敏につながることも考えられます。
歯以外の疾患
歯の痛みは、歯以外の疾患で起こることもあります。
例えば副鼻腔炎や頭痛・神経痛、心臓疾患などがこれに該当します。
副鼻腔炎は、鼻の横の空洞である上顎洞で炎症が起こる疾患です。
このとき、歯の神経が圧迫されることにより、痛みが生じるケースがあります。
また頭痛が歯痛として感じられることもあり、片頭痛や群発頭痛など、神経や脳の血管の炎症による痛みもこれに含まれます。
さらに狭心症や心筋梗塞など、心臓の疾患が原因で歯の痛みが現れる心臓性歯痛という者も存在します。
まとめ
歯の痛みを検査してもらった結果、虫歯ではないことがわかったとしても、そこで安心してはいけません。
歯科クリニックで別の原因が発覚した場合はまだ良いですが、原因がわからない場合は全身疾患を患っている可能性もあります。
また歯の痛み以外にも思い当たる症状がある場合は、歯科以外のクリニックも訪れることで原因を突き止められるかもしれません。