虫歯を発症した歯は、進行度合いによっては食事などの際に強い痛みを伴います。
また虫歯は前歯や奥歯など、いずれの歯でも発症する可能性があり、中程度~重度の場合はまともに使用するのが困難になります。
今回は、虫歯で奥歯が使用できない場合のデメリットを中心に解説します。
奥歯の概要
そもそも奥歯とは、犬歯の後ろにある臼歯という歯を指しています。
具体的には小臼歯と大臼歯を合わせた歯を指し、上下左右にそれぞれ4本ずつ、計16本存在します。
そのため、奥にある大きい歯1本のことを指しているわけではありません。
また奥歯には食べ物を噛み砕き、すり潰すことで消化をサポートし、栄養を効率的に摂取できるようにする役割があります。
ちなみに奥歯のさらに奥にある歯は親知らずと呼ばれ、こちらも奥歯に含まれることがあります。
虫歯で奥歯が使用できなくなるデメリット5選
奥歯で虫歯が進行してしまい、通常通り使用できないと、以下のようなデメリットにつながります。
・噛み合わせの悪化
・食べ物の消化への影響
・発音への影響
・顔の印象の変化
・全身の不調
各デメリットについて詳しく説明します。
噛み合わせの悪化
虫歯を発症して奥歯が使用できない場合、噛み合わせのバランスが崩れ、顎関節や他の歯に過剰な負担がかかることがあります。
特に虫歯が重度にまで進行し、歯の形状が大きく変わってしまっているような場合、こちらの傾向が強くなります。
また顎関節への負担が継続的にかかることで、顎の痛みや口を開閉したときの異音にもつながります。
こちらは顎関節症の典型的な症状です。
食べ物の消化への影響
虫歯で奥歯が使用できない場合、食べ物の消化への悪影響が出ることも考えられます。
前述の通り、奥歯は食べ物を細かくすり潰す役割を持っています。
そのため、奥歯が使えないと咀嚼能力が低下し、消化しにくい食品を摂取しにくくなります。
また十分な栄養が摂取できず、筋肉量や筋力の低下などにつながることもあります。
発音への影響
発音への影響も、虫歯で奥歯を使用できない場合のデメリットです。
奥歯の虫歯が深刻化すると、噛み合わせが変化して舌や頬の位置まで変わってしまうことがあります。
このような変化が起こると、話しにくくなったり、隙間から空気が漏れて発音が不明瞭になったりすることがあります。
顔の印象の変化
虫歯で奥歯を使えない場合、顔の印象の変化につながることもあります。
虫歯で奥歯の痛みが生じている方は、そのまま治療を受けず、痛い方の奥歯で噛むのを避け続けることがあります。
このようなケースでは、徐々に虫歯が重症化し、ほぼ原形をとどめていない状態になり得ます。
また奥歯の形状が大きく変わると顎の骨が痩せ、頬がこけて顔の輪郭が変わり、老けて見える原因になります。
全身の不調
虫歯で奥歯が使用できない場合、全身の不調にもつながりかねません。
噛み合わせのバランスが崩れると、身体のバランスも崩れます。
そのため、肩こりや頭痛、腰痛など口内以外でもトラブルが生じるようになります。
また奥歯を使用できないことで栄養が偏ると、体調が悪化したり、集中力を保てなかったりする可能性も高いです。
奥歯は虫歯を発症しやすい?
奥歯で虫歯を発症すると非常に厄介ですが、さらに厄介なのは、他の歯と比べて奥歯は虫歯を発症しやすいという点です。
その理由は以下の通りです。
・構造が複雑
・奥まったところにある
・唾液の洗浄効果が届きにくい
奥歯の表面には、食べ物をすり潰すための複雑な溝や凹凸が存在します。
こちらには食べカスやプラークが残りやすいため、虫歯を発症するリスクも高くなります。
また奥歯は口の奥の方にあるため、どうしても歯ブラシの毛先が届かないことがあります。
そのため、デンタルフロスなど他のアイテムを併用していない場合、磨き残しや虫歯のリスクを軽減させるのは難しいです。
さらに、奥歯は唾液の恩恵を受けにくい部分です。
唾液には、口内の汚れを洗い流す自浄作用がありますが、奥歯はそれによって洗浄されにくいという特徴があります。
つまり奥歯の一部は、常に食べ物の酸に触れている状態であり、少しずつ溶けている可能性が高いということです。
ちなみに奥歯に形成される虫歯は、早期発見が難しいです。
鏡で歯を見たとき、奥まったところにある奥歯は変色などがあっても確認しにくいからです。
もちろん、歯が痛み出せば虫歯であることはわかりますが、痛みがある場合はすでに虫歯がある程度進んでいることを意味しています。
痛みが出る前に発見し、歯科クリニックを訪れれば、歯を削らずに治療できる可能性もありますが、奥歯はそのような早期対応が難しいです。
まとめ
奥歯は虫歯を発症しやすい上に、咀嚼や発音を行うにあたって非常に重要な役割を担っています。
そのため、特に意識してセルフケアを行わなければいけません。
また当然奥歯だけでなく、他の歯も虫歯の痛みで使用できないと不便になります。
セルフケアの方法がイマイチわからないという方は、一度歯科クリニックでブラッシング指導を受けてみましょう。