虫歯の応急処置として一般的なのものには、市販の痛み止めの服用や、痛む部分を外側から冷やす方法などが挙げられます。
また実践している方は多くないかもしれませんが、ツボを押すことでも虫歯の症状が和らぐことがあります。
しかしツボを押す際には注意点がいくつかあるため、今回はこちらの点を中心に解説します。
虫歯に効くツボについて
虫歯に効くツボを押すことにより、強い痛みが治まり、歯科クリニックに通うまでの時間を稼げる可能性があります。
具体的には合谷や歯痛点、頬車といったツボを押すことで、虫歯の症状緩和につながります。
合谷(ごうこく)は手の甲で、親指と人差し指の骨が交わる付け根のくぼみにあります。
もう片方の手の親指を使い、骨に向かって垂直に、やや強めに押し込むように押します。
また歯痛点(しつうてん)は、手のひらの中指と薬指の付け根にあります。
親指で強く押したり、もみほぐしたりすることで効果を発揮し、合谷で効果が感じられない場合に押すと良いとされています。
さらに頬車(きょうしゃ)については、歯を食いしばったときにエラの部分に浮き出る筋肉のもっとも盛り上がった部分です。
こちらは左右の頬を、それぞれ人差し指と中指で同時に押します。
虫歯の応急処置としてツボを押す場合の注意点4選
虫歯の応急処置としてツボを押す際は、以下の点に注意しなければいけません。
・応急処置であることを理解する
・強く押しすぎない
・食後や飲酒の直後を避ける
・ツボを押すべきではないケースがある
各項目について詳しく説明します。
応急処置であることを理解する
こちらは冒頭で触れた痛み止めの服用、痛む部分を冷やす方法にも同じことが言えますが、ツボを押すことはあくまで応急処置であることを理解しなければいけません。
ツボを押すことで痛みが和らいだとしても、それは一時的なものです。
虫歯自体が完治したわけではないため、放置するとさらに進行します。
具体的には、激しい痛みや抜歯、顎の骨への感染など重大なリスクにつながります。
そのため、ツボ押しを行うのは、歯科クリニックが休診日のときや診療時間外のときだけにしましょう。
またツボ押しを行った翌日には、歯科クリニックに通えるように予約を取っておくことをおすすめします。
強く押しすぎない
虫歯の応急処置としてツボを押す場合、ある程度力を入れて押す必要がありますが、あまりに力を入れすぎるのはNGです。
ツボを押すときの強さは、「痛気持ち良い」と感じる程度です。
強く押し込みすぎると、揉み返しを起こすことがあります。
揉み返しはツボを強く押すことで筋肉に過度な刺激が加わり、筋線維が損傷して痛みや炎症、だるさなどを引き起こす反応です。
ひどい場合には頭痛や吐き気など、ツボを押した場所以外でも症状が現れることがあります。
食後や飲酒の直後を避ける
虫歯の応急処置としてツボを押す場合、食後や飲酒の直後は避けなければいけません。
食後や飲酒後は、血行が促進されているため、ツボを押すことで身体に悪影響を与える可能性があります。
具体的には消化器官への血液が分散されてしまい、消化が遅れたり、胃に負担をかけたりすることが考えられます。
そのため、食後30分~1時間程度経過してからツボ押しを行うようにしましょう。
ちなみに、そもそも飲酒は歯が痛むときには避けるべき習慣です。
アルコールは痛みを増幅させるだけでなく、口内を乾燥させてより環境を悪くしてしまうリスクがあります。
ツボを押すべきではないケースがある
虫歯の応急処置として、ツボ押しは確かに効果的ですが、中にはツボを押すべきではない方もいます。
例えば妊娠中もしくは妊娠の可能性がある方は、特定のツボへの刺激が子宮の収縮を促すおそれがあるため、極力避けなければいけません。
また高血圧や糖尿病、心臓病や腎臓病などの持病がある方も、ツボ押しによって血行が過度に促進され、身体に負担をかける可能性があります。
さらにインフルエンザなどの感染症にかかっているときや、皮膚に炎症があるときも、別の方法で虫歯の応急処置を行うべきです。
もちろん捻挫や骨折、打撲などのケガをしている箇所、またはその周囲も押すべきではありません。
ちなみに日々の仕事や育児、学生生活などで疲労が溜まっている方は、ツボを押した後の体調の変化にも注意が必要です。
疲れが溜まっている場合、ツボ押し後にめまいや吐き気、だるさといった体調不良を感じることがあります。
このような症状が出た場合は、たとえ虫歯の痛みが強かったとしても、すぐにツボ押しを中断しなければいけません。
まとめ
虫歯の痛みがひどいとき、何も道具を使用せずにできるツボ押しは、まさに応急処置としてはピッタリです。
しかし、ツボ押しはあくまで応急処置であり、人によってはほとんど効果を発揮しないこともあります。
また妊娠中の方や持病がある方は、ツボ押しによって重大な身体のトラブルにつながることも考えられるため、なるべく早急に歯科クリニックに通うに越したことはありません。