虫歯を発症すると、生活の質は著しく低下します。
もちろん、食事をするたびに患部には痛みが走りますし、仕事なども手に着かないことが考えられます。
仕事で言うと、特に力仕事をする方にとってはデメリットが大きいです。
今回はこちらのデメリットについて解説します。
虫歯がある状態で力仕事をすることのデメリット4選
虫歯がある状態で、身体を動かしたり力を使ったりする仕事を行うことには、以下のようなデメリットがあります。
・瞬発的な筋力の出力の低下
・顎骨骨髄炎の激化
・労働災害と安全管理のリスク
・慢性的な腰痛と関節症
各デメリットについて詳しく説明します。
瞬発的な筋力の出力の低下
力仕事において重い荷物を持ち上げる、あるいは踏ん張る瞬間に奥歯を噛み締める行為は、生理学的に極めて重要です。
これを歯の食いしばり効果と呼び、下顎を固定することで頭部を安定させ、体幹の筋肉を連動させて全身の出力を最大化させます。
しかし、虫歯があるとこのメカニズムが崩壊します。
患部に響く痛みを脳が察知すると、防御本能が働き、無意識に噛み締める力をセーブしてしまうのです。
結果として本来100%出せるはずの筋力が80%、70%と低下し、普段持てていた重量が重く感じられたり、作業スピードが落ちたりします。
また痛みを避けるために左右どちらか片側の歯だけで噛む癖がつくと、首から肩にかけての筋肉の動員バランスが不均等になります。
これにより身体の軸がぶれ、効率的な力の伝達ができなくなるため、同じ作業をしていても人一倍疲れやすくなるというデメリットが生じます。
顎骨骨髄炎の激化
力仕事は全身の血流を激しく促進させます。
心拍数が上がり、血行が良くなることは健康には良いことですが、神経まで達した深い虫歯を抱えている場合は話が別です。
血流が良くなることで、虫歯菌やその毒素が血管を通じて顎の骨の内部へと一気に拡散しやすくなります。
これが顎骨骨髄炎を引き起こすリスクを高めます。
特に力仕事で身体を酷使し、免疫力が低下している状態では、細菌の増殖スピードに身体の抵抗力が追いつきません。
そのため通常なら患部にとどまっている炎症が、血流に乗って顎の骨全体に広がり、激しい腫れや高熱、さらには顎の骨が一部腐敗するといった事態に発展することもあります。
こうなると、単なる歯科治療では済まず、入院して抗生剤の点滴を受けたり、外科的な手術が必要になったりします。
労働災害と安全管理のリスク
現場作業においてもっとも恐ろしいのは、不注意による事故です。
虫歯による慢性的な痛みや、拍動に合わせてズキズキと響く違和感は、人間の脳のワーキングメモリを著しく占領します。
また痛みという不快な信号が常に脳に送られ続けることで、集中力が削がれ、本来向けるべき周囲への安全確認や重機の操作、足元の確認といった危機管理能力が低下します。
さらに虫歯の痛みで夜間の睡眠の質が落ちれば、日中の判断力や反射神経はさらに鈍ります。
重い資材を運ぶ最中に激痛が走り荷物を落下させる、あるいは高所作業中に足元への注意が散漫になるといった事態は、自分だけでなく同僚の命をも脅かす労働災害に直結します。
現場では少しの体調不良が命取りになりますが、虫歯はその少しの不調を24時間継続させる要因となります。
痛み止めで一時的に誤魔化していても、薬の効果が切れるタイミングや副作用による眠気なども含め、安全な労働環境を維持する上での大きな不安定要素であることは確かです。
慢性的な腰痛と関節症
歯は単に食べ物を噛む道具ではなく、全身の姿勢を制御するバランサーとしての役割を担っています。
虫歯を避けるために不自然な噛み合わせを続けていると、顎の筋肉のバランスが崩れ、それが側頭部や首、肩の筋肉の緊張へと連鎖していきます。
力仕事に従事する人にとって、この筋肉の連鎖的な緊張は致命的なダメージとなります。
首や肩の筋肉が左右非対称に緊張すると、背骨のカーブに歪みが生じ、その歪みは最終的に腰へと集中します。
重い物を持ち上げる際、理想的な姿勢であれば荷重は全身に分散されますが、噛み合わせの不備で姿勢が崩れていると、特定の腰椎や関節に過度な負担が集中します。
これが原因でぎっくり腰や慢性的な腰痛、膝の痛みなどを引き起こすケースは非常に多いのです。
多くの作業員が「腰痛は仕事のせいだ」と思い込んでいますが、実はその根本原因が放置した虫歯による噛み合わせの悪化にあることも珍しくありません。
土台である歯がガタつくことで、全身の骨格・筋肉系にガタが来始め、結果として力仕事を続けられる職業寿命そのものを大幅に縮めてしまうことになります。
まとめ
普段力仕事をしている方は、虫歯が業務に与える影響がとても大きいです。
業務のパフォーマンスが落ちるだけでなく、場合によってはケガや命に関わる事故をも引き起こしかねません。
そのため、虫歯を発症したときは、仕事を休んだり早退したりしてでも早めに治療を受けることをおすすめします。
もちろん、デスクワークなど力仕事が少ない職業であっても、虫歯は早期治療しなければいけません。