醤油は塩や砂糖などと同じく、日本人がもっとも多く口にする調味料といっても過言ではありません。
日本食以外でも、醤油を口にするシーンは多々あります。
また醤油を摂取することにより、口内環境に影響が及ぶことが考えられます。
今回は、醤油が口内に与えるメリット・デメリットについて解説します。
醤油が口内環境に与えるメリット
醤油を適度に摂取することにより、口内環境における以下のようなメリットが生まれます。
・プラークの形成を防ぐ
・口内フローラのバランス改善
・抗菌作用
各メリットについて詳しく説明します。
プラークの形成を防ぐ
醤油を摂取することにより、虫歯の原因となるプラークの形成が予防できる可能性があります。
こちらは、大豆に含まれるアミノ酸の一種であるアルギニンの働きによるものです。
アルギニンは、成長ホルモンの分泌促進や血流改善、疲労回復などに役立つアミノ酸の一種です。
アルギニンにはプラークを分解する効果以外にも、アルカリ性の生成に寄与するため、虫歯予防を行うにあたってはメリットの大きい成分です。
具体的な流れとしては、口内の特定の細菌によってアルギニンが代謝され、アンモニアを生成します。
このアンモニアが口内のpHをアルカリ性に傾け、酸性環境で増殖する虫歯菌の活動を抑制します。
口内フローラのバランス改善
醬油には、口内フローラのバランスを改善するというメリットもあります。
口内フローラとは、人間の口内に生息している多種多様な細菌の集まりのことをいいます。
顕微鏡で見たとき、お花畑(フローラ)のように見えることから、この名前が付けられました。
口内フローラのバランスが崩れ、悪玉菌ばかりが増えてしまうと、歯茎の炎症や歯周病の進行などにつながります。
ここでいう悪玉菌には、虫歯菌や歯周病菌が含まれています。
醤油は発酵食品の一種であり、こちらに含まれるプロバイオティクスが口内の善玉菌を増やし、虫歯や歯周病の原因菌の増殖を抑えます。
抗菌作用
抗菌作用を発揮することも、醤油が口内環境に与えるメリットの一つです。
醤油には塩分やアルコール、有機酸などが含まれていて、これらは大腸菌などの細菌の増殖を抑える抗菌作用があることで知られています。
これにより、特定の口腔内細菌の繁殖を抑制する可能性があります。
虫歯も歯周病も、口内の細菌の量が減少すれば発症・悪化のリスクは軽減されます。
醤油が口内環境に与えるデメリット
一方、醤油が口内環境に与えるデメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
・刺激の増加
・酸性への傾き
・歯の着色
各デメリットについて詳しく説明します。
刺激の増加
醤油は極めて塩分が高く、過剰な摂取は高血圧や心臓病のリスクを高めます。
また口内の健康という観点では、高塩分は口内の粘膜を過度に刺激し、口内炎がある場合は痛みを引き起こすことがあります。
さらに、すでに歯周病などで歯茎が下がり、歯の根元が露出している場合、醤油の塩分や酸味がしみることがあります。
こちらはいわゆる知覚過敏の症状です。
酸性への傾き
醤油には大豆由来のアルギニンが含まれていることから、口内のpHをアルカリ性に傾けるという話をしました。
しかし醤油自体は、pHが5.0程度の酸性です。
そのため、摂取する機会が多い場合、むしろ口内は酸性に傾きやすくなります。
口内が酸性状態になると、歯のエナメル質が溶け出す脱灰が起こりやすくなります。
歯は脱灰と再石灰化を繰り返していますが、酸性に傾いた状態が続くと再石灰化が追い付かず、虫歯のリスクが高まります。
歯の着色
歯の着色も、虫歯が口内環境に与えるデメリットの一つです。
醤油は濃い褐色であるため、歯の表面にあるごく小さな穴にクロモゲンという色素が入り込むと、着色の原因になります。
また醤油の酸がわずかに歯のエナメル質を溶かし、そこに色素が沈着することで歯が変色することもあります。
さらに、醤油の原料である大豆に含まれるイソフラボンは、着色の一因となるポリフェノールの一種です。
醤油を摂取するときのポイント
醬油を摂取する際は、なるべく口内環境に良い影響を与えられるように、適量を摂取しましょう。
摂取量が多すぎると、虫歯や歯周病、口内への刺激といったリスクが高まったり、歯が着色しやすくなったりします。
また醤油を使った料理を食べた後は、口を水ですすいだり、歯を磨いたりして口内に残った色素や塩分を洗い流すことが大切です。
さらに醤油だけでなく、大豆製品全般をバランス良く食事に採り入れることで、虫歯や歯周病予防につながる成分を摂取できます。
まとめ
冒頭で触れたように、醤油は普段口にする機会が非常に多い調味料です。
あまり意識していなくても、日々の食事で醤油を摂っているということは多々あります。
また醤油は発酵食品であり、なおかつ大豆が原料であることから、口内環境に良い影響をもたらすことがあります。
その反面、口内環境が悪化するリスクもあるため、過剰に摂取しすぎないように注意しなければいけません。