虫歯予防効果については、毎日のセルフケアが正しくできているかだけでなく、どのような食品を摂取しているかによっても変わってきます。
また虫歯予防を行うには当然歯に良い食べ物を摂取すべきですが、中には虫歯予防を妨げるものもあります。
今回は、お酢が虫歯予防の妨げになる理由について解説します。
お酢が虫歯予防の妨げになる理由4選
虫歯予防を意識する際、お酢をあまり摂取すべきではない理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・酸蝕症のリスクが高まる
・虫歯を悪化させる可能性がある
・歯の着色を促す
・詰め物や被せ物の劣化
各項目について詳しく説明します。
酸蝕症のリスクが高まる
お酢を頻繁に摂取することで、酸蝕症のリスクが高まります。
こちらは間接的に虫歯のリスクも高めることになります。
お酢は強い酸性であるため、摂取量が多かったり長時間口に含んだりすると、歯の表面にあるエナメル質が溶けてしまいます。
またエナメル質が失われると、その下にある象牙質という組織が剥き出しになり、虫歯がしみやすくなったり、知覚過敏を引き起こしたりします。
特に健康志向の方の中には、毎日のようにお酢ドリンクを飲んでいる方も多いかと思います。
このような方は、必然的に酸蝕症のリスクが高まります。
虫歯を悪化させる可能性がある
お酢を摂取する機会が多いと、虫歯を悪化させてしまうおそれがあります。
先ほど、お酢は酸蝕症のリスクを高めるという話をしました。
このようにエナメル質が溶かされた歯は、虫歯菌がつくり出す酸にも弱くなります。
つまり酸蝕症によって歯が脆くなると、通常の虫歯が進行しやすい状態になるということです。
虫歯を予防するにあたって、歯のエナメル質を強化することは必須であるため、その逆を行くお酢は虫歯予防を妨げると言って差し支えありません。
歯の着色を促す
お酢の強い酸によって歯の表面が溶けることにより、飲食物の色素が沈着しやすくなります。
特に醤油やソースなどが加わると、着色が進む可能性が高まります。
また歯の着色については、直接虫歯とは関係ありませんが、着色によって歯の見た目が悪くなると、周りの人のイメージが悪くなります。
具体的には「不潔」「だらしない」というイメージを与えてしまいがちです。
こちらは、虫歯で歯が欠けたり、歯の色が黒くなったりした方と同じような印象だと言えます。
詰め物や被せ物の劣化
詰め物や被せ物の劣化につながることも、虫歯予防の観点から見たお酢のデメリットです。
銀歯などの金属製の詰め物や被せ物は、酸性の飲食物に触れることで金属イオンが溶け出し、劣化が早まることがあります。
つまり虫歯を治療した後も、極力お酢は摂取しない方が良いということです。
ちなみに、口内で金属イオンが溶け出した場合、金属アレルギーのリスクが高まります。
金属アレルギーは、口内だけでなく身体中の皮膚に湿疹などの症状をもたらすことがあります。
また歯茎に金属イオンが溶け出した場合、それが着色して歯茎が黒くなってしまうことも考えられます。
こちらはメタルタトゥーと呼ばれるもので、本物のタトゥーのように簡単には除去できません。
お酢には虫歯予防に関するメリットがあるのか?
お酢は健康食品として摂取されることも多いですが、虫歯予防に関してはデメリットしかないのでしょうか?
結論を言うとメリットもありますが、デメリットを上回るほどではありません。
お酢に含まれる酢酸には抗菌作用があり、短期的には口内細菌の増殖を抑える可能性が示されています。
しかしこちらの効果を期待して安易に使用することは、前述したようなデメリットにつながるため、注意しなければいけません。
またお酢には、歯の表面に付着するネバネバした細菌の塊であるバイオフィルムの形成を阻害する可能性も報告されています。
ただし、成熟したバイオフィルムへの効果については、さらなる研究が必要と結論付けられています。
お酢の健康効果について
お酢は虫歯予防を妨げる可能性があるものですが、健康効果については非常に多くのものを持っています。
例えば血糖値と血中脂質を改善したり、肥満や生活習慣病の予防をしたりすることができます。
酢酸には炭水化物の消化酵素の働きを妨げ、糖の吸収を穏やかにする作用があります。
これにより、食後の急激な血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。
また継続して摂取することで、内臓脂肪が減少したという研究結果が報告されている上に、満腹感が増して摂取カロリーを抑えられる効果もあります。
その他腸内環境の改善や疲労回復、肝機能のサポートなどにおいても、お酢は優れた効果を発揮します。
まとめ
勘違いをしないでいただきたいのは、お酢は決して健康に良くないものではないという点です。
むしろ健康的な身体づくりには、お酢の摂取が必須だと言えます。
しかし虫歯予防を行うにあたっては、お酢がその妨げになることは事実です。
そのため、摂取量を抑えて別の食材などで虫歯予防効果を補うか、もしくはブラッシングなどのセルフケアを徹底してお酢のデメリットを減らすことが望ましいです。
