虫歯を引き起こすものと言えば、砂糖が多く含まれた甘いお菓子を想像する方も多いかと思います。
もちろん、お菓子は虫歯の天敵ではありますが、それだけ控えていれば発症を防げるというわけではありません。
今回は、小麦粉製品が虫歯を引き起こす理由やその対策を中心に解説します。
小麦粉製品が虫歯を引き起こす理由3選
小麦粉製品を食べることで、虫歯のリスクが上がってしまう理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・糖質の多さ
・唾液による分解の早さ
・粘着性、付着のしやすさ
各項目について詳しく説明します。
糖質の多さ
小麦粉製品が虫歯を引き起こす理由としては、まず糖質の多さが挙げられます。
小麦粉はデンプン(炭水化物)の一種であり、咀嚼することでブドウ糖に分解されます。
またブドウ糖は、虫歯菌のエネルギー源となるため、活動を活発にしてしまう作用が働きます。
そのため、一切甘くない小麦粉製品であっても、甘いお菓子と同じように虫歯を引き起こす原因になり得ます。
唾液による分解の早さ
唾液による分解の早さも、小麦粉製品が虫歯を引き起こしやすい理由です。
精製された小麦粉製品は、唾液中の酵素によってブドウ糖(グルコース)への分解が早くなります。
そのため、虫歯菌が酸を産生しやすくなります。
虫歯を発症するのは、虫歯菌が出す酸で歯が溶かされることが原因であるため、虫歯を予防するにあたって分解が早いというのは大きなデメリットです。
粘着性、付着のしやすさ
小麦粉製品が虫歯を引き起こす理由としては、粘着性の高さや付着のしやすさも挙げられます。
小麦粉製品の多くは、粘着性が高く歯に残りやすいです。
そのため、ブラッシングをしても磨き残しが出るリスクが高いです。
またしっかり除去できなかった食べカスはやがてプラークに変化し、それが蓄積すると虫歯菌が繁殖しやすい環境をつくります。
小麦粉製品が虫歯を引き起こす流れ
先ほど少し触れましたが、あらためて小麦粉製品が虫歯を引き起こす際の流れをおさらいしておきましょう。
まず小麦粉製品を口にしたとき、小麦粉に含まれるデンプンが、唾液中の酵素によってグルコースなどの糖に分解されます。
その後、分解された糖を虫歯菌が摂取し、酸をつくり出します。
このとき産生された酸が、歯のエナメル質を溶かし、虫歯(脱灰)が発生します。
もちろん、すぐにブラッシングを行えば再石灰化が促進されるため、虫歯の発症は防止できる可能性があります。
しかし必ずしも食後すぐブラッシングができるとは限らず、小麦粉製品を食べてからブラッシングをするまでの時間が長くなるほど、虫歯のリスクは高まります。
注意が必要な小麦粉製品の例
虫歯のリスクを高める小麦粉製品の例としては、パンやクッキー、ケーキやせんべい、クラッカーなどが挙げられます。
パンは小麦粉を主原料としたものであり、やわらかく歯に付着しやすいです。
特に菓子パンなどは、小麦粉の糖質だけでなくチョコレートやあんこなどの砂糖も大量に含まれているため、虫歯のリスクを高めやすいです。
またクッキーやケーキも、小麦粉からつくられるもので、歯に残りやすく砂糖の含有量も多いです。
クッキーは食べる前の状態だと少しパサついていますが、唾液や飲み物と混ざるとやわらかくなり、口内に残る可能性が高くなります。
さらにせんべいやクラッカーは塩味系の小麦粉製品ですが、小麦や米が原料のため、虫歯のリスクが一切ないというわけではありません。
小麦粉製品による虫歯への対策について
小麦粉製品によって発症する虫歯を防ぐには、食後のうがいやブラッシング、歯間の清掃や口内のpHコントロールが大事になってきます。
小麦粉製品が虫歯を引き起こす流れでも少し触れましたが、食後すぐにうがいやブラッシングをすれば、口内に残りやすい小麦粉製品も除去できます。
またこのときには歯と歯の間も習慣的に清掃することで、虫歯菌の温床になるのを防止できます。
さらに食生活全体を通して、口内のpHコントロールを徹底することも大切です。
口内のpHは、口内の酸性度を表すものであり、飲食をすると酸性に傾きます。
酸性に傾き、pHが5.5以下になると、歯のエナメル質が溶け出す脱灰が始まります。
つまり虫歯を防ぐには、なるべく口内のpHを中性に近づけなければいけないということです。
ちなみにpHコントロールの方法としては、飲食の回数や時間を規則正しくし、間食を控えることが挙げられます。
その他、よく噛んで食べることで唾液の分泌を促したり、酸やネバネバ物質をつくらないキシリトールを食事に採り入れたりするのも有効です。
まとめ
小麦粉製品は、お米と同じくらい普段口にする機会が多いものです。
そのため、虫歯につながることについて、あまり意識していなかった方も多いかもしれません。
本記事で触れた通り、小麦粉製品は虫歯を引き起こす可能性があり、選ぶ製品によっては著しく発症リスクが高まるものもあります。
なるべく虫歯になりにくいものを選んだり、セルフケアを徹底したりすることが大切です。