虫歯という疾患に対しては、“歯が痛くなる病気”という認識を持っている方がほとんどだと思います。
こちらは当然正しい認識ですが、中には虫歯に対して間違った認識を持っていたり、勘違いをしていたりする方もいます。
今回は、よくある虫歯に関する勘違いについて解説します。
よくある虫歯に関する勘違い5選
虫歯に対し以下のような勘違いをしている方は多いため、思い当たる節がある方は注意してください。
・虫歯は必ず歯が黒くなる
・痛みがなくなったから治った
・虫歯治療では必ず歯を削る
・虫歯治療は1回で終わる
・ブラッシングをしていれば虫歯を予防できる
各項目について詳しく説明します。
虫歯は必ず歯が黒くなる
虫歯に対し、“歯が黒くなるもの”と考えている方は多いかと思います。
しかし、実際はそうとは限りません。
確かに、ある程度進行した虫歯は歯が黒くなったり、穴が開いたりします。
一方初期の虫歯については、白っぽかったり茶色っぽかったりすることもあります。
つまり、“黒くないから虫歯ではない”と考えていると、治療が遅れてしまうということです。
ちなみに白もしくは茶色をしている初期症状の虫歯は、変色以外に目立った症状がありません。
痛みがなくなったから治った
虫歯の痛みに悩まされていた方が、ある日急に痛みがなくなったことにより、「治った」と勘違いするケースは多いです。
残念ながら、痛みが消えたからといって虫歯が治ったわけではありません。
虫歯は中程度にまで進行すると、必ず痛みが出ます。
特に冷たいものや熱いものが触れたとき、ブラッシングで歯ブラシが触れたときの痛みが強くなります。
また重度にまで進行すると、何もしていなくてもズキズキとした痛みにおそわれます。
さらにその段階も超えると、パッタリと痛みが消えることがありますが、こちらは神経が死滅しただけです。
神経は痛みを感じ取る組織であるため、死滅すれば当然痛みは感じなくなります。
ちなみに、神経が死滅した状態でも、虫歯そのものはまだ完治していません。
痛みがなくなっただけで、治療をしなければその後も歯根部を侵食し続けます。
最終的に、歯の見える部分は完全に溶かされてしまい、全身症状を引き起こす可能性もあります。
虫歯治療では必ず歯を削る
虫歯治療に嫌悪感や恐怖心を抱いている方の中には、「必ず歯を削らなければいけない」と思っている方もいるでしょう。
しかし、こちらは大きな勘違いです。
治療のとき削らなければいけないのは、穴が開く程度まで進行した中程度の虫歯だけです。
まだ穴が開いていない状態の場合、削らなくても済む場合があります。
例えば初期症状の虫歯は、少し色が変わっているだけで、歯に穴が開いていません。
このような虫歯については、キレイにクリーニングをしたり、患者さんが自宅でセルフケアをしたりして様子を見ます。
また歯科医師の指示通り、毎日正しいセルフケアをしていれば、初期虫歯は自然に治ることがあります。
このようなことを考えても、いかに虫歯を早期発見することが重要なのかわかります。
虫歯治療は1回で終わる
虫歯治療について、「1回で終わるからいつ受けても良い」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、実際虫歯治療が1回で完了するケースは極めて稀です。
虫歯治療の回数は、虫歯の進行度によって大きく変わってきます。
それこそ初期虫歯であれば、簡単な検査やブラッシング指導などを1回だけ行って完了することもあります。
一方、重度の虫歯は何回も通院しなければいけません。
特に根管治療の場合、歯の奥深くにある汚れや神経を除去しなければいけないため、治療だけでも複数回通う必要があります。
さらに、根管治療後は被せ物の作成も行うため、完全に治療が終わるまでにはかなりの時間を要します。
そのため、治療回数が増える前に虫歯治療は受けなければいけません。
ブラッシングをしていれば虫歯を予防できる
虫歯を予防するための習慣といえばブラッシングですが、ブラッシングさえしていれば虫歯を予防できるわけではありません。
虫歯予防を行うには、食生活の改善も必要です。
毎日どれだけ丁寧にブラッシングをしていたとしても、甘いものばかり食べている方は口内に糖分が残りやすく、虫歯のリスクが高まります。
逆に甘いものをほとんど食べない方は、ブラッシングによる虫歯の予防効果がさらにアップします。
またブラッシングを徹底している方でも、食事を摂る回数が多かったり、食事の時間が長かったりすると虫歯につながりやすいです。
食事を摂っている間、人の口内は酸性に傾き、その間は常に少しずつ歯が溶かされています。
まとめ
虫歯に関する勘違いは、時に虫歯治療が遅れてしまう原因になります。
また虫歯治療に過度な恐怖心を抱いてしまう原因にも、虫歯に対する勘違いが関係しています。
そのため、まだ虫歯を発症していない方であっても、まずは正しい知識を持つことが大切です。
もちろんすでに発症しているという自覚がある方は、1日でも早く歯科クリニックに相談すべきです。