虫歯があることを知りながらも、なかなか通院する勇気が出ないという方は、日々痛みを我慢していることでしょう。
またこのときの痛みは、特に夜の時間帯に強くなりやすく、場合によっては一切眠れないほどの痛みになります。
今回は、虫歯が夜に痛みやすい主な理由について解説します。
虫歯が夜に痛みやすい理由6選
以下の理由により、虫歯がある部分は夜に強く痛むようになります。
・副交感神経の働き
・頭部への血流
・唾液の分泌量の減少
・歯ぎしり、食いしばり
・入浴、飲酒
・気が紛れない
各項目について詳しく説明します。
副交感神経の働き
夜は副交感神経の働きにより、虫歯が痛みやすいです。
副交感神経は、自律神経の一つです。
自律神経は交感神経と副交感神経に分かれていて、その働きはそれぞれ対照的です。
交感神経は活動時に活発になり、心拍数を上げたり血管を収縮させたりすることで身体を活発化させます。
これに対し副交感神経はリラックス時に優位になり、心拍数を下げたり血管を拡張させたりすることで、身体を休息状態にします。
また夜寝ているときは、副交感神経の働きによる血管が拡張するため、歯の神経が圧迫されやすいです。
このときの圧迫により、虫歯を発症している部分の痛みが強くなるケースが多いです。
頭部への血流
夜寝るとき、ほとんどの方は布団に横になって寝ます。
しかしこの横になるという行為は、虫歯の痛みを増幅させる原因になり得ます。
普段起きているときは、基本的に立っているか座っていることが多いです。
一方、寝るときは横になりますが、横になると頭部への血流が増加します。
また歯の神経は頭部から近い位置にあるため、頭部の血流が増えることで刺激されやすくなることがあります。
歯の神経が刺激されると、当然虫歯を発症している部分は強い痛みを発します。
唾液の分泌量の減少
唾液の分泌量が減少することも、夜に虫歯が痛みやすい理由の一つです。
特に夜寝ている時間帯は、唾液の分泌量が減少し、口内が乾きやすくなります。
中でも慢性的な鼻炎がある方などは、常に口呼吸の状態で睡眠を取ることになるため、なおさら口内が乾燥します。
また唾液には、口内を洗浄してくれる自浄作用、殺菌作用があります。
つまり唾液が少なくなると、細菌が繁殖しやすくなるということです。
ここでいう細菌には当然虫歯菌も含まれ、虫歯菌が活発に動くことで痛みが増したり、さらに虫歯の症状が進行したりすることが考えられます。
歯ぎしり、食いしばり
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方も、夜の時間帯に虫歯が痛みやすくなります。
なぜなら、歯ぎしりや食いしばりは、寝ている間無意識のうちに行っているケースがほとんどだからです。
歯ぎしりや食いしばりを行ったとき、歯には非常に強い負荷がかかります。
普段食べ物を咀嚼する際の力が数十kg程度であるのに対し、歯ぎしりや食いしばりのときは数百kg単位になることもあります。
そのため、特に問題のない天然歯であっても痛みを感じることがあります。
虫歯がある程度進行している場合、何もしなくてもズキズキと痛むことがあるため、これだけ歯ぎしりや食いしばりで力がかかれば痛むのは当然です。
入浴、飲酒
入浴したり飲酒したりするのは、大体夜の時間帯であることが多いです。
こちらも、夜に虫歯が痛みやすい原因だと言えます。
入浴は、1日の疲れを癒すための大事な習慣ですが、身体が温まって血管が拡張する原因になります。
血管が拡張すると血流が増えるため、必然的に寝る前や就寝中には虫歯が痛みやすくなります。
また飲酒についても、疲れた身体を癒す習慣として欠かせない方が多いかと思いますが、アルコールにも同じように血管の拡張作用があります。
そのため、虫歯の程度がひどければひどいほど、痛みが強くなります。
アルコールについては、体内の水分が抜けて唾液の分泌量が減少する作用もあります。
ちなみに、飲酒をする方はお酒を飲んだりおつまみを食べたりした後、十分にブラッシングをしないまま寝てしまうことも多いです。
このとき患部に食べカスが詰まったままだと、就寝中の痛みはさらに強くなります。
気が紛れない
日中は仕事をしていたり、趣味の時間を過ごしていたりするため、虫歯が痛む方でもある程度気を紛らわすことができます。
しかし、夜は静かな環境になるため、なかなか気が紛れません。
その結果、痛みに集中してしまい、虫歯の痛みが強くなったように感じることがあります。
特に一人暮らしの方などは、寝る直前まで静かな環境であるケースが多く、虫歯の痛みが気になってなかなか寝付けないことも考えられます。
まとめ
すでに虫歯を発症している方は、前述したような理由により、夜の時間帯には激しい歯の痛みにおそわれていることでしょう。
このような状態で我慢し続けていると、虫歯の進行が加速するだけでなく、睡眠不足などにより体調にも悪影響を及ぼす可能性があります。
中程度の虫歯であれば、患者さんが思っているほど大掛かりな治療にならないことも考えられます。
そのため、勇気を出して歯科クリニックに相談しましょう。