深酒とは、楽しい範囲ではなく、度を越えてお酒を飲んでしまうことをいいます。
お酒が好きで毎日飲んでいるという方は、つい深酒をしてしまう機会も多いかと思います。
しかし、予防歯科の観点でいうと、こちらは決して良い習慣ではありません。
今回は、深酒をすることによる歯への悪影響を中心に解説します。
深酒による歯への悪影響5選
毎晩夜遅くまで大量にお酒を飲んでしまうことにより、以下のような歯への悪影響が出る可能性があります。
・唾液の分泌量が減少する
・糖分の摂取量が増える
・酸蝕歯につながる
・食事によるプラークが付着しやすくなる
・ブラッシングが不十分になる
各項目について詳しく説明します。
唾液の分泌量が減少する
深酒をすることにより、唾液の分泌量は著しく減少します。
こちらは、アルコールに利尿作用があるからです。
長時間お酒を飲む場合、その間に何度も用を足すことになります。
その度に、体内の水分量が減少していきます。
また唾液の分泌には体内の水分が必要不可欠であるため、尿によって水分を失うと、口内も乾燥した状態が続くようになります。
唾液には口内を洗い流し、虫歯菌の活動を抑制する効果があるため、分泌量が減ると必然的に虫歯のリスクが高くなります。
糖分の摂取量が増える
深酒は、糖分の摂取量が大幅に増加することにもつながります。
特に醸造酒や果実酒、リキュールなどを好む方は、糖分の摂取量が増えて虫歯を発症しやすくなります。
虫歯は糖分が大好物です。
そのため、口内にとどまる糖分が多ければ多いほど、虫歯菌は活発に動きます。
ちなみに醸造酒には日本酒やビール、ワインなどが該当します。
また果実酒には梅酒、リキュールにはジュースを使用したカクテルなどが含まれます。
ちなみに糖質が低いウイスキーや焼酎、ブランデーやラムといった蒸留酒は、前述したお酒に比べると虫歯のリスクが低いです。
酸蝕歯につながる
毎日のように深酒をすることにより、酸蝕歯を引き起こす可能性が高まります。
酸蝕歯は、簡単にいうと酸によって歯が溶ける病気です。
食事をしたとき、歯は酸性に傾いて少しずつ溶けていきますが、唾液が中性に戻してくれます。
こちらを脱灰といいますが、脱灰が間に合わないほど酸性が強いものや、続けて酸性のものを摂取していると、歯が溶けてしまいます。
深酒の場合は、続けて酸性のものを摂取するケースに該当します。
また酸蝕歯の場合は歯全体を溶かしてしまうため、虫歯に比べてより深刻になりやすく、症状も出にくいです。
そのため、気付いたときには重症化していることも珍しくありません。
ちなみに、食べ物や飲み物は酸性かアルカリ性に分かれていますが、お酒のほとんどは酸性です。
特にチューハイや赤ワイン、ビールなどは酸性が強く、酸蝕歯を発症するリスクが高いです。
食事によるプラークが付着しやすくなる
頻繁に大量のお酒を飲む方は、必然的に食事の量も多くなります。
お酒を飲むときには、ほとんどの方がおつまみを食べるからです。
また食事の量が増えるということは、それだけ歯に食べカスやプラークが付着しやすくなるということを意味しています。
こちらは当然、虫歯のリスクを高めます。
ちなみに、おつまみの中には比較的虫歯のリスクが低いものもあります。
例えばよく噛む必要があるナッツやスルメ、小魚などについては、単体では虫歯を発症しにくいです。
しかし、こちらはあくまで単体で食べたときに言えることです。
深酒をしている以上、していない場合よりも虫歯のリスクが低くなるということはありません。
ブラッシングが不十分になる
深酒をしたときは、十分なブラッシングができなくなるケースがほとんどです。
泥酔している状態では、正しい磨き方を実践するのが難しいからです。
正しいブラッシングの方法は、歯ブラシを小刻みに動かし、1本1本丁寧に汚れを落とすというものです。
また歯の表面だけでなく、歯と歯の間や歯と歯茎の境目、歯の裏側などもしっかり磨く必要があります。
しかし、泥酔していると集中力が維持できませんし、歯ブラシの操作性も悪くなります。
そのため、磨き残しが多いにもかかわらず、気付かずにブラッシングを終了させてしまう可能性が高いです。
さらに深酒をしたときは、ブラッシングを一切行わず、そのまま寝てしまうリスクも高まります。
深酒におけるその他のデメリット
深酒は歯に悪いだけでなく、当然全身の健康を悪化させることにもつながります。
例えば短時間に大量のアルコールを摂取した場合、血中のアルコール濃度が急激に上昇し、意識障害や昏睡状態を引き起こす急性アルコール中毒のリスクが高まります。
また肝臓病や膵炎、心疾患や脳卒中、糖尿病など、さまざまな臓器に障害が及ぶことも考えられます。
まとめ
“酒は百薬の長”という言葉があるように、少量のお酒であれば、ストレスの緩和など多少身体に良い影響を与えることもあります。
しかし、度を越えた飲酒は歯の健康を損ないますし、さまざまな全身疾患を引き起こすことも考えられます。
そのため適量を守りつつ、場合によっては休肝日も設けながら、健康にお酒を楽しむことをおすすめします。