虫歯予防は、日々の生活習慣の一部として、必ず採り入れなければいけないものです。
しかし、虫歯予防につながる行動を取っていると、度々口内から出血が見られることがあります。
今回は、虫歯予防時に出血が見られる主な場面について、対処法とあわせて解説したいと思います。
虫歯予防時に出血が見られる場面4選
虫歯予防時に出血が見られる場面としては、主に以下が挙げられます。
・ブラッシングしているとき
・フロスを通しているとき
・歯間ブラシを使用しているとき
・歯科クリニックで定期検診を受けているとき
各項目について詳しく説明します。
ブラッシングしているとき
虫歯予防の基本である毎日の歯ブラシによるブラッシングは、もっとも出血がみられやすい場面です。
「歯磨きをしたら歯ブラシに血がついていた」「うがいをしたら泡が赤くなっていた」という経験を持つ方は少なくありません。
虫歯を予防するためには、歯と歯茎の境目のプラークを落とすことが不可欠ですが、この部分にプラークが残っていると、歯茎が常に軽い炎症を起こした状態になります。
炎症を起こした歯茎は毛細血管がうっ血して膨らんでいるため、歯ブラシの毛先が軽く触れただけでも容易に破れて出血してしまいます。
この場面での誤った対処法は、「血が出るから」という理由でその場所を磨かなくなってしまうことです。
磨くのをやめるとさらにプラークが溜まり、炎症が悪化してさらに血が出やすくなるという悪循環に陥ります。
正しい対策は、毛先がやわらかめ、または普通の硬さの歯ブラシを選び、力を入れずに優しく小刻みに動かして磨くことです。
歯茎を傷つけないように軽い力で丁寧にプラークを落とし続けていると、通常は1〜2週間ほどで歯茎が引き締まり、ブラッシングをしても血が出なくなっていきます。
長期間出血が続く場合は、炎症が進行している可能性があるため歯科クリニックを受診しましょう。
フロスを通しているとき
虫歯の約9割は歯と歯の間から発生すると言われていて、歯間の虫歯予防にデンタルフロスは欠かせないアイテムです。
しかしフロスを使い始めたばかりの頃や、久しぶりに使ったときに激しく出血することがあります。
これには大きく分けて2つの原因があります。
1つ目は、フロスを歯間に挿入する際に力を入れすぎてしまい、勢いよく歯茎に叩きつけてしまう接触痛・負傷によるものです。
2つ目は、ブラッシングと同様に、歯と歯の間に溜まったプラークが原因で歯茎に炎症が起きているケースです。
特に歯間は歯ブラシの毛先が届きにくいためプラークが停滞しやすく、隠れた歯肉炎が進行していることがよくあります。
フロスでの出血を防ぎつつ効果的に虫歯を予防するには、フロスをノコギリの刃を動かすように前後させながら、ゆっくりと滑り込ませるように入れることがポイントです。
パチンと勢いよく入れてはいけません。
歯間に挿入できたら、歯の側面にフロスを沿わせるようにして、上下に優しく動かしてプラークを掻き出します。
最初は出血に驚くかもしれませんが、炎症が原因である場合は、毎日フロスを続けることで歯間のプラークが除去され、数日~1週間程度で出血は治まります。
ただしフロスが引っかかったり、毎回同じ場所から大量に出血したりする場合は、すでに虫歯ができていて歯の表面がザラザラしているか、詰め物が合っていない可能性があります。
歯間ブラシを使用しているとき
歯と歯の隙間が広い部分や、矯正器具がついている部分の虫歯・歯周病予防に有効なのが歯間ブラシです。
この歯間ブラシを挿入したときも、じわっとした出血や器具に血が付着する場面によく遭遇します。
主な原因は、自分の歯間の広さに合っていない歯間ブラシを無理に押し込んでいること、または歯間のプラークや歯石によって歯茎が慢性的な炎症を起こしていることです。
特に歯間ブラシが必要になるような隙間にはプラークが溜まりやすく、自覚症状がないまま歯肉炎や歯周炎が進行しているケースが多いため、少しの刺激で出血しやすくなっています。
対策としてもっとも重要なのは、自分の歯間のサイズに合った正しい太さのブラシを選ぶことです。
隙間に対して太すぎるものを選ぶと、ゴムやワイヤー部分が歯茎を直接傷つけて出血を誘発します。
歯科クリニックで、自分に合うサイズを診断してもらうのが一番確実です。
使用する際は、鏡を見ながらゆっくりと斜めに挿入し、水平にしてから前後に数回動かします。
炎症による出血であれば、正しいサイズで毎日ケアを続けるうちに健康な歯茎へと戻り、出血は自然と止まります。
痛みを伴う出血がある場合や、一番細いサイズを使っても入らない場所に無理に通している場合は、使用を中断して歯科医師に相談してください。
歯科クリニックで定期検診を受けているとき
自分で行うセルフケアだけでなく、歯科医院でのプロフェッショナルケアも虫歯予防には必須です。
このとき、歯科衛生士から「少しチクチクしますよ」「血が出ますね」と言われながら、専用の器具で歯石を取ってもらう際にドロッとした出血を経験することがあります。
これは、自分では落とせない頑固なプラークの塊である歯石や、その周囲にこびりついた細菌を取り除く際に起こるものです。
歯石の表面はザラザラしていて、虫歯菌や歯周病菌の格好の温床となるため、その周りの歯茎は非常に強い炎症を起こしています。
そのため、器具が少し触れただけで溜まっていた悪い血が排出されるのです。
この場面での出血は、虫歯や歯周病の原因菌を徹底的に除去する過程で起こる必要な出血であることがほとんどです。
歯科クリニックでのクリーニングによる出血は、体内の膿やうっ血した古い血液が外に出ている状態なので、怖がる必要はありません。
処置が終わってしばらくすれば出血は自然に止まり、数日後には見違えるほど歯茎がピンク色に引き締まります。
定期健診での出血を減らすためには、日頃からの丁寧なセルフケアでプラークを溜め込まないようにすることが一番の近道です。
予防歯科に通う頻度を3ヶ月〜半年に1回など定期的に保つことで、一度に除去する歯石の量が減り、健診時の出血や痛みも最小限に抑えることができます。
まとめ
虫歯予防時に見られる出血には、見過ごしても良いものと良くないものがあります。
歯周病治療に伴う歯科クリニックでのプロフェッショナルケア、ブラッシングなどの際に見られる出血は、そこまで心配する必要はありません。
逆に歯や歯茎が健康にもかかわらず出血が見られる場合、ケアの仕方などに問題があるため、早急に改善してください。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。