ブラッシングは毎日欠かさず行う必要がありますが、1回1回の時間にはある程度の目安があります。
しかし、中にはその時間を毎回オーバーしてしまうという方もいます。
長すぎるブラッシングは、あまり歯や歯茎にとって良いものではありません。
今回は、ブラッシングの時間の目安や長くなってしまう理由などを解説します。
1回のブラッシング時間の目安
1回のブラッシングにおける時間の目安は、2~3分が望ましいです。
この時間を聞いて、思ったより短いと思った方もいるでしょう。
またなぜ2~3分なのかというと、フッ素がしっかり口内に浸透するために必要な時間が2~3分だからです。
フッ素は歯磨き粉に含まれる虫歯予防成分の一つです。
歯の表面にあるエナメル質を強化し、虫歯になりにくい歯をつくってくれる役割があります。
さらに歯から溶け出したカルシウムやリンなどが再び歯に戻る現象を再石灰化といいますが、フッ素には再石灰化の促進効果もあります。
初期虫歯であれば、フッ素が持つ再石灰化の促進効果により、削らなくても自然に治ることが考えられます。
ちなみに、フッ素には虫歯菌の活動自体を弱めたり、すでに発症している虫歯の進行を食い止めたりする効果も期待できます。
ブラッシングの時間が長くなってしまう理由
1回のブラッシングの時間が、先ほど解説した目安の時間を過ぎてしまう理由はいくつかあります。
まず、歯並びが悪いことが挙げられます。
歯の表面は複雑な曲面であり、歯並びも人それぞれ異なります。
そのため、すべての面を均一に磨くのは時間がかかります。
特に歯並びが悪い方は、一部の歯だけ大きいもしくは小さいケースや、歯と歯が重なっているケースも多いです。
このような歯をしっかり磨くには、どうしてもキレイに歯が並んでいる方に比べると時間がかかりやすくなります。
またブラッシングの時間がかかるもう1つの理由としては、磨く順番が決まっていないことも挙げられます。
ブラッシングは、磨く順番を決めた上で行うとスムーズです。
例えば上の左から右に磨き、そのまま下りて下の右から左に磨くという順番を決めていれば、どこを磨いたのかがわかります。
一方、特に磨く順番を決めず適当に磨いていると、どこを磨いてどこを磨いていないのかが途中でわからなくなることがあります。
その結果、何度も同じところを磨いてしまい、ブラッシングの時間が長くなることが考えられます。
ブラッシングの時間が長くなることのデメリット
ブラッシングの時間を長くしすぎることのデメリットとしては、歯のエナメル質や歯茎のダメージが大きくなることが挙げられます。
ブラッシングをしすぎると、歯のエナメル質が削れて傷ついてしまうおそれがあります。
歯ブラシによる刺激自体は、そこまで強いものではありませんが、毎日のように行っていると少しずつダメージは蓄積します。
また長時間のブラッシングは、歯茎が下がってしまう歯肉退縮のリスクも高めます。
歯茎が下がると、エナメル質の内部にある象牙質が露出し、知覚過敏の症状が出ることも考えられます。
知覚過敏を発症すると、食事の温度でしみやすくなるだけでなく、ブラッシングの刺激にも耐えられなくなることがあります。
もちろん、刺激に耐えられない場合、徐々にブラッシングをしなくなることにつながります。
つまり長時間のブラッシングは、より虫歯や歯周病のリスクを高めてしまう可能性があるということです。
ブラッシングの時間が延びるとモチベーションも低下する
1回のブラッシングの時間が長くなると、徐々にブラッシングが面倒臭くなってしまうことも考えられます。
特に普段忙しく時間がない方は、時間がかかるブラッシングを避けがちになり、虫歯や歯周病のリスクは確実に上昇します。
かといって、歯並びが悪い方は急に歯並びをキレイにすることはできません。
矯正治療を受ける場合であっても、その間ブラッシングは継続する必要があります。
そのため、ブラッシングの時間が長くモチベーションが上がらないという方は、効率的に磨く方法を試してみましょう。
例えば電動歯ブラシを使用すれば、歯ブラシを当てるだけでプラークを除去できるため、手動の歯ブラシよりは面倒臭くありません。
ブラシを動かす必要はありますが、特に時間がない方にとってはピッタリの選択肢だと言えます。
また歯間ブラシやデンタルフロスを使用し、歯ブラシが届きにくい場所の汚れを落とすのもおすすめです。
さらに、好きな音楽を聴きながら磨いたり、磨き終わったら好きなことをするなどご褒美を用意したりすることでも、ブラッシングのモチベーションを維持しやすいです。
まとめ
ブラッシングは短すぎてもいけませんし、長すぎてもいけません。
口内環境がもっとも良くなるタイミングで切り上げることが大切です。
しかし、こちらはあくまでしっかりプラークを除去することが前提です。
もし磨き方がわからなかったり、キレイにプラークを除去できなかったりする場合は、一度歯科クリニックでブラッシング指導を受けることをおすすめします。