
CAD/CAM冠は、歯科用のプラスチックにセラミックの粉末を混ぜたブロックを削り出してつくる、白い素材の被せ物です。
保険診療の中では色や形が自然であり、費用も悪化ですが、こちらはすべての患者さんに適用できるものではありません。
今回は、CAD/CAM冠を適用できないケースについて解説します。
CAD/CAM冠を適用できないケース
以下のケースでは、CAD/CAM冠を適用することができません。
・歯ぎしりや食いしばりがある
・歯の神経が残っている
各項目について詳しく説明します。
歯ぎしりや食いしばりがある
歯ぎしりや食いしばりの症状がある方は、基本的にCAD/CAM冠を適用することができません。
なぜなら、CAD/CAM冠の耐久性に不安があるからです。
CAD/CAM冠にはセラミックの粉末が含まれていますが、歯科用プラスチックのレジンも混合しているため、それほど強度は高くありません。
そのため、自由診療の補綴物などに比べて咬合のダメージがかかりやすく、割れたり欠けたりするリスクがあります。
また歯ぎしりや食いしばりは、体重以上の負荷をかける行為であるため、症状がある方はまずこちらを改善しなければいけません。
ちなみに単純に噛む力が強い方も、CAD/CAM冠の耐久性を考えると、別の治療法を選んだ方が良いと言えます。
歯の神経が残っている
CAD/CAM冠は、基本的に神経が残っている歯には適用されません。
こちらは、歯を削る量が多いことが理由です。
CAD/CAM冠は強度があまり高くないため、銀歯やセラミックなどに比べて厚みを持たせなければいけません。
そのため、どうしても歯を削る量は多くなってしまいます。
また神経が残っている歯でこのような治療を行うと、強い痛みが生じることがあります。
特に前歯や下の大臼歯は、CAD/CAM冠を装着するために十分な量を削れない可能性が高いため、別の治療法が適用されるケースが多いです。
CAD/CAM冠の保険適用条件について
CAD/CAM冠の治療を受けること自体は可能であっても、条件を満たさなければ保険が適用されず、費用が高額になることがあります。
前歯や小臼歯については、無条件で保険が適用されますが、第一大臼歯の場合は条件をクリアしなければいけません。
具体的には、第二大臼歯がすべて残っていることが条件です。
第二大臼歯は、親知らずの一つ前にある奥歯のことで、上下左右合わせて4本あります。
12歳頃に生えてくることから、12歳臼歯とも呼ばれています。
こちらが1本でも欠損している場合、第一大臼歯にCAD/CAM冠を入れることはできません。
また左右ともに噛み合わせが安定していることや、食いしばり時に咬合圧がかからない歯であることなども条件です。
つまり治療する歯によっては、保険適用のハードルが意外と高いということです。
CAD/CAM冠とセラミックの歯を比較します
CAD/CAM冠にはCAD/CAM冠のメリットがありますが、総合的に考えると、自由診療のセラミックの方がおすすめだと言えます。
ここからは、CAD/CAM冠とセラミックにおける以下の特徴について比較したいと思います。
・費用
・耐久性
・審美性
・素材
・その他
費用
CAD/CAM冠の治療費については、保険適用の場合で6,000円前後です。
一方、セラミックは全額自己負担であり、場合によっては10万円以上かかることもあります。
そのため、単純に費用を抑えたいと考えている方にとっては、CAD/CAM冠の方が手を出しやすいと言えます。
しかし前述の通り、必ずしもCAD/CAM冠に保険が適用されるとは限りません。
耐久性
CAD/CAM冠はセラミック単体ではなく、プラスチックも含まれているため、耐久性はお世辞にも高いとは言えません。
一方、セラミックは天然歯と同等の耐久性があるのが特徴です。
瞬間的な衝撃には弱い傾向にありますが、簡単にダメージを受けたり擦り減ったりする心配はないため、なるべく補綴物を長持ちさせたい方にはおすすめです。
審美性
審美性についても、CAD/CAM冠よりセラミックの方が優れていると言えます。
CAD/CAM冠も白い素材ではあるため、装着時には銀歯ほど目立つことはありません。
しかし透明感はそれほどないため、天然歯に近い見た目かというと疑問が残ります。
その点、セラミックは天然歯に近い透明感のある白さに仕上げることができます。
機能性だけでなく、審美性も重視したいという方はこちらを選ぶべきです。
素材
CAD/CAM冠は、プラスチックとセラミックを混ぜ合わせたハイブリッド構造です。
一方セラミックには、セラミックのみで構成されているものもあり、こちらが優れた審美性や耐久性などを実現しています。
その他
CAD/CAM冠は金属アレルギーのリスクが一切ありませんが、こちらはセラミックに関しても言えることです。
また二次カリエスのリスク、変色や劣化の程度などについては、すべてセラミックが上回っています。
まとめ
CAD/CAM冠は金属アレルギーのリスクがない白い人工歯であり、保険が適用されれば安価で治療を受けることができます。
しかし見た目の良さで言えばセラミックの方が上ですし、銀歯などと違い、必ずしも保険が適用されるとは限りません。
そのため、単純に白い歯や機能性の高い歯を求めているのであれば、自由診療のセラミックインレーやクラウンを選択した方が良いです。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。