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2026.08.27

【川崎の歯医者】虫歯治療中に痛みを感じたとき、手を挙げないとどうなる?

虫歯治療中は、麻酔を施すため強い痛みが生じることは基本的にありません。
しかし、場合によっては処置に伴って痛みが発生することはあります。
このとき、患者さんは手を挙げることで、痛みがあることを歯科医師に伝えるのが望ましいですが、もし手を挙げなかったらどうなるのでしょうか?

予期せぬ体の動きによる口内の裂傷やケガ

虫歯の治療では、毎分数十万回転という超高速で回転するタービンと呼ばれるドリルや、非常に鋭利な器具が使用されます。
痛みを限界まで我慢していると、突然襲ってきた強い痛みに対して、頭や体が無意識にビクッと動いてしまう逃避反射が起こります。

歯科医師はミリ単位の非常に精密な視野で作業しているため、患者さんが突然動くと、回転するドリルが歯を外れて舌や頬の粘膜、歯茎に接触してしまう危険性が高くなります。
これにより、口内を深く切ってしまい大量に出血したり、最悪の場合は縫合手術が必要なほどの大怪我につながったりすることがあります。

「先生の手を止めさせては申し訳ない」という気遣いや我慢が、かえって治療中の深刻な事故を引き起こす最大の原因になり得ます。
痛いときに手を挙げることは、不意な事故から自分の口内を守るためのもっとも確実な安全装置と考えましょう。

神経への過剰な刺激による術後の激しい痛み

痛みを我慢して治療を続けさせると、麻酔が十分に効いていない状態で歯の神経に強い刺激が加わり続けることになります。
歯の神経は非常に繊細で、過度な刺激や熱が加わると、可逆的な炎症を超えて、不可逆的な激しい炎症を引き起こすことがあります。

これにより、治療が終わって帰宅した後や、麻酔が切れた後に、ズキズキとした非常に激しい痛みが続く原因になります。

また神経を部分的に残す治療を行っている場合、我慢したせいで神経がダメージを受けすぎてしまい、最終的に神経をすべて除去せざるを得なくなるケースもあります。

さらに痛みを無理に耐えると脳が痛みの記憶を強く学習してしまい、治療後も慢性的な違和感や痛みが抜けにくくなるリスクも指摘されています。
痛くないのに痛い感覚が出ることほど、厄介なことはありません。

「痛い」というサインは、神経が限界を迎えている証拠であるため、すぐに伝えて麻酔を追加してもらう必要があります。

恐怖心の増幅による歯科恐怖症への発展

激しい痛みを無理に我慢して治療を終えると、脳に“歯医者=耐え難い苦痛を伴う場所”という強いトラウマが植え付けられます。
これが心理的な障壁となり、次に小さな虫歯が見つかったときや、定期健診の時期が来ても、通院を極度に恐れて忌避する歯科恐怖症を発展させてしまう原因になります。

歯科恐怖症になると、歯がボロボロになるまで放置してしまい、最終的に抜歯せざるを得ない状態になってからようやく受診するという悪循環に陥りやすくなります。
また歯科クリニックの椅子に座るだけで動悸がしたり、冷や汗が出たり、過換気症候群を起こしたりするなど、全身的な体調不良を引き起こすこともあります。

大人になってからの歯科クリニックへの通院で、歯科恐怖症を発症してしまうという方も決して少なくありません。

現代の歯科治療では、適切な麻酔技術によって痛みのない治療を行うことが可能です。
痛みを我慢することは、将来的な自分の口腔健康を維持するための通院習慣を自ら破壊してしまうことにつながるため、精神的な負担を減らす意味でも我慢は禁物です。

痛みのストレスによる血圧急上昇やショック症状

医療現場において、痛みは単なる感覚ではなく、全身に強いストレスを与える要因です。

強い痛みを我慢しているとき、体内では交感神経が過剰に興奮し、アドレナリンなどのストレスホルモンが大量に分泌されます。
これにより、血圧が急激に上昇したり、心拍数が跳ね上がったりします。

特に高血圧の持病がある方、心臓疾患を抱えている方、高齢の方などはこの急激な血圧上昇が引き金となって、脳血管障害や心不全などの偶発症を引き起こすリスクがあります。

また恐怖や痛みのストレスが限界を超えると、自律神経のバランスが崩れて血圧や心拍数が急降下する血管迷走神経反射を起こします。
こちらはめまいや吐き気を引き起こし、最悪の場合は意識を失って卒倒することもあります。

歯科医師は患者さんの表情や手の緊張度合いを観察していますが、痛みを完全に隠して我慢されると、全身状態の悪化を察知するのが遅れてしまいます。
命に関わるようなショック症状を防ぐためにも、痛みを感じたら遠慮なく手を挙げて知らせることが不可欠です。

まとめ

虫歯治療中に痛みで手を挙げることは、何も恥ずかしいことではありませんし、迷惑なことでもありません。
痛かったら治療を中断してもらいたくなるのは当然ですし、もちろん歯科医師や歯科衛生士もそれを熟知しています。
手を挙げたからといって怒られることも当然ありません。
そのため、わずかな痛みでも勇気を出してサインを出し、重大なトラブルにつながるのを防ぐことが大切です。

この記事を監修した人

ふたば歯科クリニック 理事長 大木 烈

ふたば歯科クリニック 川崎本院 
理事長 大木 烈

昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。

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