スナック菓子は、芋や小麦などのデンプンが主成分であり、歯を溶かす直接的な原因になり得ます。
またダラダラと食べることも多く、その場合は常に口内が酸性に傾いてしまいます。
さらに、他にも虫歯予防に関する意外なデメリットがあります。
今回はこちらの内容について解説します。
スナック菓子における虫歯予防の意外なデメリット4選
スナック菓子の虫歯予防に関する意外なデメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
・人工甘味料による脳のバグ
・ヘルシー系スナックのプラーク形成力
・高タンパク菓子が引き起こす口内フローラの変化
・スナック菓子の硬さによる微細なヒビ
各デメリットについて詳しく説明します。
人工甘味料による脳のバグ
“シュガーレス”、“糖類ゼロ”と表示されたスナック菓子やタブレットは、虫歯菌の餌にならないため一見安全に思えます。
しかし、ここに意外な罠が隠されています。
人間は、舌で甘味を感知すると「これから糖分が体内に入ってくる」と脳が判断し、それを消化・代謝するための準備を始めます。
しかし、人工甘味料の場合は、いくら甘みを感じても実際に血糖値が上がりません。
このギャップが繰り返されると、脳の満腹中枢や代謝コントロールがバグを起こし、体が深刻なエネルギー不足だと誤認してしまいます。
その結果、脳は強力な飢餓シグナルを出し、無意識のうちに別の食事で本物の炭水化物や糖質を激しく欲するようになります。
つまり虫歯予防のためにノンシュガー菓子を選んでいる方ほど、別のタイミングでドカ食いをしてしまい、口内を糖まみれ環境にしてしまう悪循環に陥りやすいということです。
さらに、一部の人工甘味料は、自律神経のバランスを乱す可能性が指摘されています。
唾液の分泌は自律神経によってコントロールされているため、このバランスが崩れると、口内を殺菌して虫歯を防ぐための唾液の分泌量そのものが低下します。
ヘルシー系スナックのプラーク形成力
健康意識や虫歯予防への意識が高い方ほど、ポテトチップスの代わりに野菜チップス、玄米せんべい、全粒粉クラッカーといったヘルシーなスナック菓子を選びがちです。
これらは砂糖を使っていないため安心だと思われがちですが、実は未精製の炭水化物や食物繊維を多く含むスナックこそ、歯にとって非常に厄介な存在となります。
野菜や玄米をベースにしたスナックは、噛み砕いた際に非常に細かく、硬い微粒子になります。
これが唾液と混ざり合うと、セメントのように強固な粘り気を持つようになります。
特に全粒粉や玄米の繊維質は、歯と歯の間のわずかな隙間や、奥歯の複雑な溝ガッチリと挟まり、そのまま停滞します。
一般的な砂糖のお菓子であれば、唾液の力である程度洗い流されますが、これらの繊維質や未精製デンプンは唾液で溶けにくく、数時間以上も歯に付着し続けます。
口内に残ったこれらの微粒子は、時間が経つにつれて口内の酵素でじわじわと麦芽糖などに分解され、虫歯菌の格好の温床へと変わります。
さらに最悪なのは、その繊維質がプラークの骨組みの役割を果たしてしまうことです。
虫歯菌は、この強固に挟まった繊維の足場を利用して増殖し、歯ブラシの毛先さえ届かない奥深くで酸を出し続けます。
高タンパク菓子が引き起こす口内フローラの変化
近年、ダイエットや健康ブームで大人気のプロテインバーや高タンパク大豆スナックも、虫歯予防の視点からは意外なデメリットを持っています。
タンパク質自体は虫歯菌の餌になりにくいため、一見すると歯に良いおやつのように思えます。
確かに、タンパク質が口内で分解されるとアンモニアなどのアルカリ性物質が発生するため、一時的に口内は虫歯になりにくいアルカリ性へと傾きます。
しかし、問題はこの後起こる口内細菌叢(フローラ)の変化です。
口内が日常的にタンパク質優位の環境になると、それらを好むチオール産生菌や、特定の悪玉菌が異常増殖し始めます。
これらは強烈な口臭の原因になるだけでなく、歯茎に炎症を起こす物質を放出します。
これにより歯肉炎が進行すると、歯と歯茎の隙間が広がっていきます。
実は、虫歯菌がもっとも恐ろしい破壊力を発揮するのは、この広がった歯周ポケットの奥深くです。
歯の頭の部分は硬いエナメル質で守られていますが、根元の部分は酸に極めて弱い象牙質が露出しています。
高タンパクスナックによって歯茎が弱まると、わずかな食べカスの酸によって、エナメル質の数倍のスピードで歯の根元が溶ける根面う蝕が急激に進行します。
スナック菓子の硬さによる微細なヒビ
虫歯予防のために噛みごたえのある硬いスナック菓子を選び、咀嚼回数を増やして唾液を出そうとするアプローチがあります。
咀嚼によって唾液を出すこと自体は正しいのですが、現代人の歯にとって、この硬すぎるスナックは物理的な大ダメージを与える引き金になります。
スナック菓子の多くは乾燥しているため、噛んだ瞬間にガリッと強い衝撃が歯に加わります。
特に、すでに過去の虫歯治療で神経を抜いている歯や、大きな詰め物が入っている歯は、健康な歯に比べて強度が著しく低下しています。
このような硬いスナックを日常的にガリガリと噛み続けていると、歯の表面のエナメル質に、目に見えないレベルの微細なヒビが無数に入ってしまいます。
この微細なヒビは、どれだけ細い歯ブラシの毛先も、デンタルフロスも絶対に入り込むことができません。
しかし顕微鏡レベルのサイズである虫歯菌や、スナック菓子が溶けた糖分液は、毛細管現象によってこのヒビの奥深くへと簡単に吸い込まれていきます。
つまり、歯の表面はキレイでも、エナメル質のヒビの奥深くで虫歯が完全に密室化した状態で進行する隠れ虫歯を作り出すということです。
まとめ
スナック菓子は、数あるお菓子の中ではそこまで極端に虫歯リスクが高いものではありません。
しかし食べ方や摂取するものの内容によっては、著しく虫歯につながりやすくなるため、注意が必要です。
またどのようなお菓子を食べる場合でも、自宅でのブラッシングや歯科クリニックでの定期検診を徹底しなければ、当然虫歯を発症しやすくなります。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。