マウスウォッシュは、虫歯予防を行うにあたって欠かせないサポートアイテムの一つです。
しかし、マウスウォッシュの1日の使用回数は、2~3回くらいが限度です。
これ以上使用してしまうと、さまざまなデメリットが生まれます。
今回は、具体的にどのようなデメリットがあるのかについて解説します。
マウスウォッシュを1日に何回も使うことのデメリット4選
1日に何度もマウスウォッシュを使用した場合、以下のようなデメリットが生まれます。
・常在菌の減少と口臭の悪化
・粘膜への刺激と口内炎のリスク
・歯の着色や変色
・味覚障害のリスク
各デメリットについて詳しく説明します。
常在菌の減少と口臭の悪化
マウスウォッシュを1日に何回も使用すると、唾液本来の殺菌作用や保護作用が低下し、かえって口臭が悪化する原因になります。
口の中には、健康を維持するために必要な常在菌と呼ばれる善玉菌が存在しています。
しかし、多くのマウスウォッシュに配合されている強い殺菌成分を過剰に摂取すると、これら身体に良い働きをする善玉菌まで徹底的に死滅させてしまいます。
その結果、口の中の細菌バランスが崩れ、かえって臭いの原因となる悪玉菌や真菌が繁殖しやすい環境が作られてしまいます。
さらに、頻繁な洗口によって口の粘膜を覆うべき必要な唾液まで洗い流されてしまうため、口腔内が深刻な乾燥状態に陥ります。
唾液には自浄作用があり、細菌の増殖を抑える役割を持っていますが、乾燥によってその機能が完全にストップします。
乾いた口内では細菌が爆発的に増殖し、揮発性硫黄化合物を大量に産生するため、結果として使う前よりも強い口臭を放つようになるという悪循環に陥ります。
粘膜への刺激と口内炎のリスク
多くのマウスウォッシュ、特に爽快感を売りにしている製品には、高い割合でアルコールが配合されています。
これを1日に何度も使用すると、アルコールの強い揮発性と刺激性によって、口の中のデリケートな粘膜が常にダメージを受けることになります。
アルコールは粘膜の水分を奪い去るため、口腔内が慢性的に乾燥し、組織が非常に傷つきやすく脆弱な状態に変化します。
この状態が続くと、刺激の強い食べ物やブラッシング時の摩擦など、日常のわずかな刺激によって粘膜に微小な傷がつき、それが炎症を起こして口内炎が多発する原因となります。
重症化すると、粘膜の表面が白く剥がれ落ちる粘膜剥離を引き起こすこともあります。
またノンアルコールタイプであっても、殺菌剤や香料などの化学物質が何度も粘膜に触れることで、アレルギー反応や慢性的なただれを誘発するリスクは十分にあります。
口の粘膜を健やかに保つためには適切な休息が必要であり、過度な薬剤の投与は修復機能を妨げ、治りかけた口内炎をさらに悪化・長期化させる原因になります。
歯の着色や変色
特定の薬用成分が含まれるマウスウォッシュを過剰に使い続けると、歯の表面が茶褐色に変色するリスクが高まります。
特に注意が必要なのは、高い殺菌効果を持つグルコン酸クロルヘキシジンや、塩化セチルピリジニウムといった成分です。
これらの成分は、口の中の細菌を殺すだけでなく、細菌の死骸や食べカス、または口の中のタンパク質と化学反応を起こしやすい性質を持っています。
1日に何度もこれらの成分で口をゆすぐと、成分が歯の表面にある外皮に強く結合し、お茶やコーヒー、赤ワイン、カレーなどに含まれる色素を引き寄せて固着させてしまいます。
その結果、普通に生活しているだけでも通常より遥かに早く、頑固な着色汚れが歯に付着するようになります。
このタイプの変色は、毎日の通常の歯磨きだけではキレイに落とすことが難しく、歯科クリニックでの専門的なクリーニングを行わなければ除去できないケースがほとんどです。
白い歯を保つために良かれと思って熱心に行っていたマウスウォッシュが、皮肉にも歯を黄ばませる原因になるということです。
味覚障害のリスク
マウスウォッシュの過剰な使用は、食べ物の味を正しく感じられなくなる味覚障害を引き起こすおそれがあります。
私たちの舌の表面には、味蕾という味を感知するための非常に繊細な感覚器官が無数に存在しています。
マウスウォッシュに高頻度で含まれる強力な殺菌成分やアルコール、合成界面活性剤などは、この味蕾の細胞に対して強い化学的刺激を与えます。
1日に何度もこれらの刺激に晒され続けると、味蕾の表面がダメージを受け、一時的に麻痺したり、細胞そのものが破壊されて機能しなくなったりします。
特に、使用した直後に顕著なピリピリ感やしびれを感じる製品を乱用している場合は注意が必要です。
さらに、殺菌成分が舌の表面を覆うことで、味物質が味蕾に届くのを物理的に阻害することもあります。
味覚が鈍くなると、料理の味が薄く感じられるようになり、無意識のうちに塩分や糖分の多い濃い味付けを好むようになるため、二次的な健康被害にもつながりかねません。
適度な使用であれば問題ありませんが、度を越した回数は感覚を狂わせます。
まとめ
虫歯予防を徹底するためにマウスウォッシュを使用している方は多いかと思いますが、使いすぎは良くありません。
またマウスウォッシュを使いすぎてしまう方の中には、ブラッシングの代わりとして使用している方も多いです。
マウスウォッシュはあくまでもサポートアイテムであり、丁寧なブラッシングを行った後の仕上げとして効果を発揮するため、注意してください。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。