ココアは、子どもから大人まで幅広い層に親しまれている飲み物です。
夏は冷たくアイスココアにして、冬はホットココアにして身体を芯から温めることができます。
またココアには、実は虫歯予防効果があることもわかっています。
今回は、具体的にどのような効果が期待できるのかについて解説します。
ココアの虫歯予防効果4選
ココアが持つ虫歯予防効果としては、主に以下のことが挙げられます。
・虫歯菌の増殖、酸産生抑制
・プラークの付着防止
・歯周病菌の抑制
・唾液分泌と再石灰化の促進
各項目について詳しく説明します。
虫歯菌の増殖、酸産生抑制
ココアの最大の強みは、原料であるカカオ豆に豊富に含まれるカカオポリフェノールです。
口の中で虫歯を引き起こす主な原因菌はミュータンス菌と呼ばれる細菌ですが、この菌は食べ物に含まれる糖分を餌にして増殖し、同時に強力な酸を作り出します。
この酸が、歯の表面を覆うエナメル質を溶かしていく現象が虫歯の始まりです。
カカオポリフェノールには優れた抗菌作用があり、ミュータンス菌の細胞壁に作用してその増殖を直接的に抑え込む働きがあります。
さらに、菌が酸を作り出す代謝活動そのものを阻害する効果も研究で明らかになっています。
ウーロン茶や緑茶の成分と比較しても同等以上の抗菌力を持つとされていて、口の中の虫歯菌の活動性を低下させることで、歯が酸にさらされる時間を圧倒的に短縮します。
日常的に砂糖の入っていないピュアココアを飲む習慣をつければ、口腔内の細菌バランスが改善され、虫歯が発生しにくい環境を維持するための強固な土台を作ることができます。
プラークの付着防止
虫歯や歯周病の温床となるのが、歯の表面に付着するネバネバとした塊であるプラークです。
ミュータンス菌は、口の中に入ってきた砂糖を分解し、グルコシルトランスフェラーゼという酵素を使って水に溶けない粘着性の高い物質である不溶性グルカン」を作り出します。
これが強力な糊の役割を果たし、無数の細菌を歯の表面に巻き込んでプラークを形成してしまいます。
ココアに含まれる特定のポリフェノール成分は、この不溶性グルカンを作り出す酵素の働きをピンポイントで邪魔する画期的な効果を持っています。
つまり、細菌がお互いに結びついて歯にこびりつくメカニズムそのものを根本から遮断するということです。
プラークの形成が妨げられると、歯の表面がツルツルした状態に保たれやすくなり、毎日のブラッシングだけでも汚れが格段に落としやすくなります。
磨き残しによる初期虫歯のリスクを大幅に下げ、毎日のオーラルケアの効果を何倍にも高めてくれる強力なサポート役として機能します。
歯周病菌の抑制
ココアがもたらす口の健康メリットは、歯そのものの虫歯予防だけに留まりません。
歯を支える土台である歯茎の健康、すなわち歯周病予防に対しても優れた効果を発揮します。
歯周病の原因となるジンジバリス菌などの嫌気性細菌に対しても、カカオ成分は強い抗菌・抗酸化作用を示し、その定着や増殖を抑えることが報告されています。
歯周病が進行すると歯茎が下がってしまい、普段はエナメル質で守られているデリケートな歯の根元が露出してしまいます。
この根元部分は非常に虫歯になりやすいため、歯茎を守ることは大人の虫歯予防において極めて重要な要素です。
さらに、ココアの抗菌作用は口臭の予防にも直結します。
口臭の主な原因は、口内の細菌がタンパク質を分解するときに発生させる揮発性硫黄化合物というガスです。
ココアを継続的に摂取することで細菌数そのものが減少し、不快なニオイ成分の発生が大幅に軽減されるというデータもあります。
唾液分泌と再石灰化の促進
温かく香りの良いココアをゆっくりと味わって飲む行為は、口の中にある唾液腺を心地良く刺激し、唾液の分泌を活発に促すという素晴らしいメリットを生み出します。
唾液は、人間の体に備わった天然の最強デンタルケア液です。
食事の後に酸性に傾いてしまった口の中を、虫歯になりにくい安全な中性の状態へと戻す緩衝能という重要な働きを持っています。
また、唾液には虫歯菌によって溶かされかけた歯のエナメル質に、カルシウムやリンといったミネラル成分を再び補給して修復する再石灰化の作用があります。
ココアに含まれるテオブロミンという成分にはリラックス効果があり、自律神経のバランスを整えてサラサラとした質の良い唾液の分泌を促します。
ココアが持つ菌への防御力と、分泌が盛んになった唾液による自浄作用がダブルで働くことで、口の中の循環が劇的に良くなります。
これにより、食後のダメージから歯の表面が素早く修復され、初期虫歯を未然に防ぐ理想的な口腔環境が整えられます。
まとめ
普段単純に好きでココアを飲んでいるという方は、知らず知らずのうちに虫歯予防効果を得られています。
しかし、砂糖が大量に含まれたココアは、前述した虫歯予防効果を簡単に打ち消してしまうほど虫歯リスクが高いものです。
そのため、虫歯予防の一環としてココアを摂取するのであれば、“甘いものを美味しく飲む”という発想は捨てるべきだと言えます。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。