
正常な歯はしっかりと歯茎に固定されていて、指で触ったときや咀嚼時もそれほど動くことはありません。
一方問題を抱える歯はグラグラと揺れやすく、少しの刺激で抜け落ちてしまいそうなほど不安定です。
今回は、歯がグラグラになってしまう主な原因について解説します。
歯がグラグラになる原因5選
歯が常にグラグラしてしまう原因としては、主に以下のことが挙げられます。
・重度の歯周病
・歯根破折
・クラウンや土台の接着剤の劣化
・歯ぎしり、食いしばり
・外傷
各項目について詳しく説明します。
重度の歯周病
歯がグラグラになる原因としてもっとも多いのが、歯周病が重度にまで進行することです。
歯周病は初期段階の場合、歯茎の腫れが見られる程度で済みますが、進行するにつれて徐々に歯周ポケットが深くなります。
やがて出血が見られるようになり、口臭や膿などの症状も出始めます。
さらに進行すると、歯茎は大きく膨らんで赤紫色になり、歯もグラグラになってしまいます。
ちなみに歯がグラグラになるのは、歯周病による炎症が歯茎の内側にある歯槽骨にまで広がり、歯槽骨が溶けるからです。
歯槽骨は歯を支える土台であることから、大きく溶けると歯がグラグラと動揺するようになります。
歯根破折
歯根破折も、歯がグラグラになる原因の一つです。
歯根破折は、簡単にいうと歯の根っこが割れてしまうというものです。
特に虫歯治療などにより、神経を除去した歯については、歯根破折が起こりやすくなります。
神経が存在しない歯は、健康な歯と違って血液が循環していません。
そのため、栄養が供給されず、必然的に強度が低下します。
またこのような状態の歯で毎日食事をしていると、少しずつダメージが蓄積し、ヒビが入ったり割れたりすることが考えられます。
もちろん歯の根っこが割れると、歯の咀嚼する面などをうまく支えられず、グラグラになってしまいます。
クラウンや土台の接着剤の劣化
過去に装着したクラウンや、その土台に使用される接着剤が劣化することでも、歯はグラグラと動くようになります。
特に歯根より上の部分がよく動く場合、こちらが原因の可能性が高いです。
クラウンやその土台に使用する接着剤は、時間の経過とともに少しずつ劣化していきます。
そのため、接着力が弱まると、クラウンや土台部分がグラグラになることが考えられます。
ちなみに、クラウンを装着してすぐに違和感があったり、上下の歯が噛み合わなかったりといった感覚を覚えることもあります。
このようなケースでは、単純にクラウンが合っていない可能性が高いです。
歯ぎしり、食いしばり
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、歯がグラグラになるおそれがあります。
歯ぎしりや食いしばりは、歯に想像以上の負荷をかける行動です。
体重の2~3倍の力がかかるとも言われているため、ダメージを受けた歯がグラグラ動くようになる可能性は十分にあります。
また歯ぎしりや食いしばりによって噛み合わせが悪くなると、一部の歯だけに集中的な力が加わります。
このとき力が加わった歯は、グラグラするだけでなく割れやすくなります。
外傷
単純に転倒したり、事故に遭ったりしたときに歯をぶつけた場合も、グラグラになることがあります。
このようなケースでよく見られるのは、前歯の動揺です。
顔から転倒したとき、もっとも早く地面につくのは前歯であるため、どうしても前歯がダメージを受けやすくなります。
また外傷を受けた歯は、パッと見た感じ問題がなかったとしても、よく見るとヒビが入っているというケースがよくあります。
そのため、思い切り口元をぶつけたときには、とりあえず歯科クリニックを受診しなければいけません。
歯がグラグラの状態を放置するとどうなる?
グラグラの歯をそのまま放置していると、当然抜け落ちるリスクは高まります。
特に歯周病が重度にまで進行している場合、顎の骨が溶かされ土台である歯茎が安定感を失うため、抜け落ちる可能性は非常に高いです。
また歯がグラグラの状態を放置すると、周囲の歯も次々にグラグラになり、やがてすべての歯を失う可能性もあります。
こちらも歯周病を発症している場合に言えることです。
歯周病は細菌が原因で発症するものであり、放置すると周囲の健康な天然歯にも感染が広がります。
そのため、1本歯を失ってしまう程度では済まなくなります。
もちろん、歯がグラグラのままだと食事も満足にできませんし、全身に悪影響を及ぼすこともあります。
例えば歯がグラグラでうまく咀嚼ができず、食べ物のサイズが大きいまま飲み込んでしまうと、誤嚥性肺炎や消化不良などにつながりやすくなります。
高齢の方などは、誤嚥性肺炎で死亡するリスクも高いです。
まとめ
歯がグラグラになっている方は、一度歯科クリニックを訪れ、その原因を突き止めましょう。
歯周病が原因であれば歯周病治療を受けなければいけませんし、それ以外の場合はクラウンなどを装着しなければいけません。
またクラウンを入れる場合、できるだけ長く使用するためには、セラミックなど品質の高い材料でつくられたものを選ぶべきです。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。