二次虫歯は、虫歯を治療した際に装着した詰め物・被せ物の下で、再び虫歯を発症してしまうというものです。
二次カリエスとも呼ばれます。
また二次虫歯は、主にブラッシングや定期検診を怠ることで発症しますが、他にも意外な原因があります。
今回はこちらの内容について解説します。
二次虫歯の意外な原因4選
二次虫歯は、以下のような意外な原因によっても発症します。
・接着セメントの溶出と酸化
・ダラダラ食べと酸性飲料
・過去の治療における感染歯質の残存
・二次象牙質による痛みの麻痺
各項目について詳しく説明します。
接着セメントの溶出と酸化
銀歯などの詰め物を歯に固定しているのは歯科用セメントですが、これは単なる接着剤ではなく、実は過酷な口内環境で常に変化にさらされています。
特に保険診療で古くから使われているリン酸亜鉛セメントなどのタイプは、唾液に溶け出しやすいという弱点があります。
長年の使用により、歯と詰め物の間にあるセメントが少しずつ溶け出して消失すると、そこには巨大な空洞が形成されます。
外見上は銀歯がくっついているように見えても、中身はセメントがなくスカスカの状態になり、そこが細菌の格好の住処となります。
これを“セメントの崩壊”と呼び、二次虫歯の主要な原因となります。
また、金属そのものも酸化や腐食を起こします。
金属が劣化して表面が荒れると、汚れが付きやすくなるだけでなく、歯との密着性が損なわれ、封鎖性が失われます。
銀歯を外してみたら、中が真っ黒に溶けていたというケースの多くは、このセメントの溶出が発端です。
一方、最新のレジン系接着セメントは唾液に溶けにくく、歯と強固に一体化するためリスクを大幅に軽減できます。
しかし、これにも寿命はあります。
一般的に10年を経過した銀歯は、内部でセメントの崩壊が進んでいる可能性が高いと考えるべきです。
ダラダラ食べと酸性飲料
虫歯の原因は砂糖だけだと思われがちですが、二次虫歯においてより深刻なのは回数と酸性度です。
私たちの口内は、食事のたびに酸性に傾き歯が溶け始め、時間をかけて唾液が中性に戻すというサイクルを繰り返しています。
しかしアメを常に舐める、デスクワーク中に甘いコーヒーを少しずつ飲むといった“ダラダラ食べ・飲み”の習慣があると、口内は常に酸性のままになります。
特に近年注目されているのが、酸蝕症です。
健康意識の高い方が好むお酢の飲料、スポーツドリンク、炭酸水、さらにはワインやフルーツなどの酸性度の高い食品は、歯のエナメル質を直接溶かします。
詰め物や被せ物自体は酸で溶けませんが、それらを支えている周囲の自分の歯が溶けて薄くなることで、詰め物との間に物理的な段差や隙間が生じます。
この化学的な歯の消失によって生まれた隙間に、今度は細菌が住み着き、二次虫歯へと発展します。
対策としては、飲食の回数を決める、酸性のものを摂った後は水で口をゆすぐ、ストローを使って歯に触れないように飲むといった工夫が挙げられます。
過去の治療における感染歯質の残存
二次虫歯の切実な原因の一つが、前回の治療時に虫歯菌を完全に除去しきれていなかったというケースです。
虫歯は、黒く変色した部分だけが病巣ではありません。
細菌は、肉眼では見えないほど小さな象牙細管という管の中にまで深く侵入しています。
治療において、この感染した部分をどこまで削るかの判断は非常に難しく、歯科医師の技術と設備に依存します。
特に神経に近い虫歯の場合、神経を守るためにあえて削る量を最小限に抑えることがあります。
この際、わずかに残った細菌を殺菌・封鎖しきれないと、詰め物の下で菌が静かに増殖を再開します。
これを“残留虫歯”と呼び、詰め物をした直後から二次虫歯がスタートしているような状態です。
また短時間で多くの患者さんを診るような環境では、細部の除去が不十分になるリスクも否定できません。
現代の精密治療では、虫歯だけを赤く染めるう蝕検知液を使用し、マイクロスコープで拡大しながら、健康な歯を削らずに感染部だけを徹底的に除去することが可能です。
しかし古い時代の治療や、肉眼のみに頼った治療では、どうしても取り残しが生じる可能性がありました。
もし治療したばかりの歯がずっと違和感を持っていたり、数年でダメになったりするのであれば、この潜在的な感染歯質が原因かもしれません。
二次象牙質による痛みの麻痺
「痛くないから大丈夫」という思い込みが、二次虫歯を最悪の結末へと導くことがあります。
通常、虫歯が深くなると神経に刺激が伝わり痛みを感じますが、人間の体には防御反応が備わっています。
虫歯の進行が緩やかな場合、歯の神経は自分を守るために、内側に新しい壁である“二次象牙質”を作り出し、神経自体が中心部へと退避していきます。
この現象により、詰め物の下で虫歯がかなり深くまで進行し、本来なら激痛が走るはずの状態であっても、痛みを感じにくい麻痺状態が生じます。
これが二次虫歯の発見を著しく遅らせる要因です。
痛みがなく放置している間に、詰め物の下の土台はボロボロになり、突然詰め物が取れたり、歯が根元から真っ二つに割れたりして、初めて事の重大さに気づくことになります。
特に、過去に大きな詰め物をした歯ほど、この二次象牙質が厚く形成されている傾向があります。
痛みという機能が働かないため、患者さん自身が異変に気づくのはほぼ不可能です。
これを防ぐには、レントゲン写真による定期的な内部チェックや、電気的に歯の神経の反応を調べる検査が有効です。
まとめ
二次虫歯を100%防ぐというのは、通常の虫歯と同じくあまり現実的ではありません。
しかし上記のような原因を知り、さまざまな角度から対策を取ることで、発症を防げる可能性は高まります。
もちろん、そもそも虫歯がなければ二次虫歯も起こらないため、日頃から丁寧なブラッシングや定期検診の習慣はつけておかなければいけません。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。