歯科クリニックでの定期検診に対し、「怖い」「痛いかもしれない」といったネガティブな感情を抱く方は多いです。
では、歯科クリニックでの定期検診は本当にそのようなものなのでしょうか?
今回は、定期検診を受けたことがない方に向けて、実際の検診内容などについて解説したいと思います。
定期検診で痛いことはあるのか?
定期検診の主な内容は、口の中のチェック、レントゲン撮影、そして歯石やプラークを取り除くクリーニングです。
虫歯の治療のように歯を削るドリルを使用しないため、激しい痛みを感じることは原則としてありません。
しかし、口内の状態によってはチクチクする、しみるといった不快感を覚えることがあります。
例えば、歯周病が進行して歯茎が炎症を起こしている場合、器具が触れると痛みを感じたり、出血したりすることがあります。
また超音波を使って歯石を弾き飛ばす超音波スケーラーという器具は、細かな振動と冷水を使用するため、知覚過敏がある方はキーンとしみることがあります。
もし痛みに敏感な場合や不快感が強いのであれば、我慢せずに歯科衛生士や歯科医師に伝えてください。
器具のパワーを弱めたり、手作業の器具であるハンドスケーラーに切り替えたり、場合によっては表面麻酔のジェルを塗ってから進めるなど、柔軟な対応をしてもらうことができます。
なぜ怖いと感じてしまうのか?
歯科クリニックに対して恐怖心を抱く現象は歯科恐怖症とも呼ばれ、心理的な要因が大きく関係しています。
主な原因の一つは、過去のトラウマです。
子どもの頃に無理やり治療をされた経験や、麻酔が効かないまま削られて痛かった記憶が強く残っていると、大人になっても“歯医者=痛くて怖い場所”という条件反射が起きます。
また診察台に仰向けに寝かされ、何をされているか自分の目で確認できない“見えない恐怖”や、何をされるか分からない“予測不能な恐怖”も不安を増幅させます。
さらに、キーンという独特の器具の削る音、消毒液の特有のニオイ、治療器具が擦れ合う金属音といった五感への刺激が、過去の不快な記憶を呼び起こすことも少なくありません。
さらに、「定期検診に行くだけで怒られるかもしれない」という心理的ハードルを感じる方もいます。
こちらは、「なぜこんなになるまで放っておいたのかと責められるのではないか」という不安です。
しかし、現在の歯科クリニックは患者さんの心理的ケアを重視していて、優しく寄り添ってくれるクリニックがほとんどです。
定期検診の内容と受けるメリット
定期検診は、美容院に髪を整えに行くような口内のメンテナンスの場です。
具体的な流れとしては、まず歯科医師が虫歯の有無や噛み合わせ、粘膜の異常をチェックします。
その後、歯科衛生士が専用の器具を使って、毎日のブラッシンでは落とせない頑固な汚れを徹底的に除去します。
最後に、歯の表面をツルツルに磨き上げ、虫歯を予防するフッ素を塗布するのが一般的です。
定期検診を受ける最大のメリットは、虫歯や歯周病を超早期に発見・予防できることです。
初期の虫歯は削らずに観察やフッ素塗布だけで済むことが多く、治療が必要な場合でも、小さいうちに見つかれば麻酔も治療中の痛みもほとんどありません。
また定期的に歯石を取り除くことで、歯を失う最大の原因である歯周病の進行を食い止めることができます。
検診が終わった後の口の中は、ツルツルとして非常に爽快感があり、口臭の予防にも直結します。
結果として、自分の大切な歯を長く健康に保ち続けることができます。
恐怖心を和らげるための対策と選び方
歯科クリニックが怖いと感じる方は、受診前にいくつかの対策を講じることで、リラックスして検診に臨むことができます。
もっとも大切なのは、“自分は歯医者がとても怖い、痛みに弱い”ということを、予約時や問診票で事前にハッキリと伝えることです。
あらかじめ伝えておくことで、スタッフが声をかけながらゆっくり進めるなど、特別な配慮をしてくれます。
またクリニックを選ぶ際は、ウェブサイト等で“無痛治療”、“予防歯科”、“歯科恐怖症歓迎”といったキーワードを掲げているところを探すと良いでしょう。
近年はカウンセリング専用の個室がある、院内がアロマの香りで満たされている、BGMが工夫されているなど、五感のストレスを減らす工夫をしているクリニックが増えています。
さらにクリーニング中にどうしても緊張してしまう場合は、痛かったらすぐに左手を挙げるという約束をスタッフと交わしておくだけで、心理的な安心感が大きく変わります。
他にも、自分の好きな音楽をイヤホンで聴きながら検診を受けさせてくれるクリニックもあるため、まずはカウンセリング感覚で気軽に相談してみるのがおすすめです。
まとめ
歯科クリニックでの定期検診に対して恐怖心を持つ方は多いですが、実際は決して怖いものではありません。
それよりも定期検診に通わず、虫歯や歯周病が重度にまで悪化し、歯周組織が崩壊してしまう方がよっぽど怖いです。
歯科恐怖症の自覚がある方は、いきなり検診を受けるのではなく、まずは相談するところから始めてみましょう。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。