歯周病が重度にまで進行している場合、著しく口内環境が乱れることから、まともに食事を摂るのは難しくなります。
また歯周病の悪化により、日々の会話にも支障が出るケースがあるため、放置しておくのは非常に危険です。
今回は、重度の歯周病が会話に与える悪影響について解説します。
重度の歯周病が会話に与える悪影響5選
重度の歯周病を患っている方は、以下のような理由によってスムーズな会話ができなくなるおそれがあります。
・口臭
・発音のしづらさ
・歯の喪失
・誤解を生む発言
・とっさに言葉が出ない
各項目について詳しく説明します。
口臭
末期とも言えるほど歯周病が進行している場合、発せられる口臭はかなり強いものになっていると予想できます。
そのため、会話には多大な悪影響を及ぼします。
例えば親しい友人などと会話をするときの距離は個体距離と呼ばれ、こちらは45cm~120cm程度とされています。
会社の同僚などと話す際の社会距離も、短い場合は120cm程度です。
歯周病によって生じる口臭は、1mほど離れていても伝わる可能性があるため、個体距離や社会距離での会話では相手に不快な思いをさせてしまいます。
また一度“口臭がある”というイメージを持たれると、少しずつ会話の際には距離を取られるようになります。
最終的に会話を避けられることもあり、そうなると交友関係にも影響が出てきます。
ちなみに家族や恋人など、極めて近しい関係性の人と会話をするときは、45cm以下の密接距離になるケースが多いです。
密接距離の場合も、当然歯周病が原因の口臭には気付かれやすくなります。
発音のしづらさ
歯周病が進行していることにより、発音がしづらくなり、会話に悪影響を及ぼすこともあります。
歯周病は虫歯と違い、歯の痛みが出ることは基本的にありません。
しかし歯茎に関しては、腫れや炎症などを伴うため、ズキズキとした痛みを覚えることがあります。
またこのような痛みがある場合、発音をうまくコントロールできないことが考えられます。
さらに、歯茎が腫れてしまい、口が開きにくくなることも考えられます。
もちろんこのような状況が続くと、円滑なコミュニケーションは取れなくなります。
歯の喪失
重度にまで進行した歯周病は、歯の喪失につながることもあります。
こちらも会話に与える悪影響の一つです。
歯周病で歯が溶ける仕組みは、歯を支える歯槽骨という顎の骨が破壊され、吸収されてしまうというものです。
歯は歯槽骨があることによってしっかり歯茎に固定されていますが、それが破壊されると動揺したり抜け落ちたりしてしまうことがあります。
また歯を失うと、歯があった場所から空気が漏れ出てしまい、正しい発音をするのが難しくなります。
そのため、なかなか自身の言葉が相手に伝わらず、歯がゆい思いをすることがあります。
さらに、歯を失うと顔貌にも変化が出てしまい、これまでのようにうまく笑顔がつくれなくなることもあります。
会話をするときは、言葉だけでなく表情も使うものであるため、笑顔がつくれないというのは大きなデメリットです。
誤解を生む発言
歯周病が悪化した状態で会話をすると、誤解を生む発言をしてしまう可能性が高まります。
なぜなら、口内の気持ち悪さや歯茎の痛みにより、会話に集中できない可能性があるからです。
歯周病の方は、常に歯茎が痛かったり、口内がネバネバの状態になっていたりします。
そのため、どこか頭の片隅で口内の状態が気になっているものです。
このような状態で会話をしたとき、会話に集中できず、返した言葉の使い方が不適切になってしまい、相手に嫌な思いをさせてしまうことがあります。
ちなみに複数人で会話をするときには、歯周病の痛みや違和感が気になり、積極的に参加できなくなることが予想されます。
その結果“口数が少ない”、“暗い”といった印象を与えかねません。
とっさに言葉が出ない
歯周病の違和感や痛みがある場合、会話に集中しづらくなるという話をしました。
またこちらは誤解を生む発言を誘発するだけでなく、とっさに言葉が出ないことにもつながります。
例えば、複数人で会話をしているとき、歯周病の症状が気になって周りの会話を聞いていなかったとします。
このようなケースで、急に自身が話さなければいけない状況になると、言葉が出て来なくなり、会話が途切れる可能性があります。
もちろん、複数人の会話であれば、まだ他の人物がフォローしてくれることが考えられます。
しかし1対1の会話でこのようなことが起こると、“話を聞いていない”というイメージがついてしまい、会話を避けられてしまうことがあります。
まとめ
重度の歯周病だという自覚がある方は、日常生活において不便さを感じることも多いでしょう。
また前述したような会話のデメリットについても、すでに体験しているかもしれません。
歯周病は、一度進行したらセルフケアで治すことはできないため、まず歯科クリニックに通院しましょう。
重度の歯周病であっても、段階を踏めば症状を改善させ、会話の悪影響も取り除ける可能性があります。