おからは豆腐や豆乳を作る工程で、大豆をすり潰して煮たものを絞ったときに残る搾りカスであり、代表的な料理に卯の花が挙げられます。
こちらは極めて栄養価の高い健康食品として知られていますが、実は虫歯予防効果も期待できます。
今回は、具体的にどのような虫歯予防効果があるのかについて解説します。
おからの虫歯予防効果4選
おからには、主に以下のような虫歯予防効果が期待できます。
・歯の再石灰化の促進
・唾液分泌の促進と自浄作用
・口内の酸性化の抑制
・抗菌作用と歯周病予防効果
各項目について詳しく説明します。
歯の再石灰化の促進
おからには、歯の健康を維持するために欠かせないカルシウムが豊富に含まれています。
私たちの歯の表面はエナメル質という非常に硬い組織で覆われていて、その主成分はカルシウムやリンなどのミネラルです。
食事をするたびに、口の中の細菌が作り出す酸によって歯のミネラルが溶け出す脱灰が起こりますが、通常は唾液の働きによってミネラルが歯に戻る再石灰化が行われます。
この再石灰化の際に、体内に十分なカルシウムが補給されていることは非常に重要です。
おからに含まれる植物性のカルシウムは、日々の食事の中で自然に摂取しやすく、骨だけでなく歯の健康を根本から支える土台になります。
さらに、おからにはカルシウムの吸収を助けるマグネシウムなどの他のミネラルもバランスよく含まれているため、効率良く体内に取り込まれます。
毎日の食生活におからを取り入れることで、酸に負けない強くて丈夫な歯の構造を維持し、初期虫歯の段階で修復を促す効果が期待できます。
特に成長期の子どもや、加齢に伴い歯が弱くなりがちな世代にとって、手軽にカルシウムを補給できるおからは非常に優秀な食材といえます。
唾液分泌の促進と自浄作用
おからの最大の特徴とも言えるのが、圧倒的な量の食物繊維です。
おからに含まれる食物繊維は、口に入れたときに自然とよく噛むことを必要とします。
現代の食事はやわらかく加工されたものが多く、噛む回数が減少しがちですが、おからを使った料理は適度な歯ごたえがあり、咀嚼回数を自然に増やすことができます。
よく噛むことは、唾液の分泌を強力に促すスイッチとなります。
唾液には、口の中の食べカスを洗い流す自浄作用、虫歯菌が作り出した酸を中和して口内を中性に保つ緩衝能、抗菌作用など、虫歯を予防するための多大なメリットがあります。
唾液が十分に分泌されることで、虫歯菌が活発に活動しにくい環境が作られます。
またおからの食物繊維そのものが、噛む過程で歯の表面を軽くこするような形になり、物理的に汚れを落とす手助けをすることもあります。
食後の口内環境を清潔に保ち、細菌の定着を防ぐためには、おからを食べてしっかりと顎を動かし、自前の防御液である唾液を出すことが自然なアプローチです。
口内の酸性化の抑制
虫歯が発生する直接的な原因は、口内の細菌が糖分をエサにして酸を作り出し、その酸が歯を溶かすことにあります。
そのため、砂糖を多く含むお菓子や炭水化物の多い食品を頻繁に摂取すると、口の中が長時間にわたって酸性に傾き、虫歯のリスクが跳ね上がります。
その点、おからは大豆の絞りカスであるため、非常に低糖質な食材です。
おからをお菓子や料理の主材料として置き換えることで、口の中に供給される糖質の量を劇的に減らすことができます。
例えば、小麦粉の一部をおからパウダーに置き換えてクッキーやケーキを作れば、甘さを楽しみつつも、虫歯菌にエサを与えないヘルシーな間食が実現します。
またおからは食後の血糖値の上昇が緩やかな低GI食品でもあり、体全体の健康維持にも寄与します。
口の中の酸性度を急激に下げず、虫歯菌の活動源を断つという意味で、おからは非常に安全性の高い食材です。
「甘いものが食べたいけど虫歯が気になる」という場合でも、おからを上手に活用したメニューを選ぶことで、満足感を得ながら虫歯を予防することができます。
抗菌作用と歯周病予防効果
おからには、大豆特有の成分である大豆イソフラボンや大豆サポニンがしっかりと残っています。
近年の研究では、大豆イソフラボンをはじめとする大豆由来の成分に、口内の悪玉菌の増殖を抑える一定の抗菌作用があることが注目されています。
虫歯の主な原因菌であるミュータンス菌などの活動を抑制することができれば、プラークの形成を抑え、虫歯の発症リスクを下げることが可能になります。
さらに大豆イソフラボンには高い抗酸化作用や抗炎症作用があり、これは歯を支える歯茎の健康、つまり歯周病の予防にも深く関係しています。
歯周病が進行すると歯茎が下がり、歯の根元が露出してしまいます。
この根元の部分はエナメル質よりもやわらかい象牙質でできているため、非常に虫歯になりやすいという特徴があります。
おからを食べることで大豆イソフラボンを摂取し、歯茎の炎症を抑えて健康な状態を保つことは、大人の深刻な虫歯予防において極めて重要な意味を持ちます。
歯そのものを強くするだけでなく、口内の細菌バランスを整え、歯を支える組織までトータルでケアできる点が、おからの持つ隠れた健康パワーです。
まとめ
近年は食の多様化が進み、古くから日本で食べられてきたおからのような食べ物を摂取する機会が減ってきています。
そのため、食生活の改善は、虫歯予防において重要な課題だと言えます。
もちろん自宅でのブラッシングを徹底することや、歯科クリニックでの定期検診を受けることも、虫歯予防の一環として忘れてはいけません。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。