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2026.07.21

【川崎の歯医者】歯周病と塩分の関係性について

歯周病を発症すると、口内環境が著しく悪化するだけでなく、命を脅かすような全身疾患のリスクも高まります。
また歯周病の発症には、虫歯と同様に糖分が深く関与していますが、実は塩分も歯周病とは切っても切れない関係にあります。
今回は、具体的にどのような関係があるのかについて解説します。

高血圧による歯茎の血流障害

塩分を摂りすぎると、体内の水分バランスを維持するために血液量が増え、血管に強い圧力がかかる高血圧を招きます。
高血圧の状態が長く続くと、全身の細い血管が硬くなる動脈硬化が進行します。
この影響は、口の中にある歯肉の微細な毛細血管にもダイレクトに及びます。

歯茎の血管が狭くなって血流が悪化すると、酸素や健康維持に必要な栄養素が歯周組織へ十分に届かなくなります。
同時に、白血球などの免疫細胞も炎症が起きている部位に集まりにくくなるため、歯周病菌の侵入や増殖を許す原因となります。

さらに、血行不良は傷ついた歯肉の修復力を低下させるため、歯周ポケットの悪化や歯槽骨の吸収といった歯周病の進行を大きく加速させてしまいます。

日頃からの減塩は、全身の血圧を管理するだけでなく、歯茎の隅々まで新鮮な血液を巡らせて歯周病に負けない組織を維持するために必要不可欠な取り組みと言えます。

口腔内細菌叢(フローラ)の悪化

近年の研究により、連日の塩分過剰摂取が口腔内の細菌バランス(口腔フローラ)を直接的に変化させることが分かってきました。

健康な口の中には、乳酸菌の仲間であるラクトバチルス菌などの善玉菌が存在し、悪質な細菌の繁殖を抑えるバリアのような役割を果たしています。
しかし、高塩分の食事が続くと、これらの口腔内善玉菌が大幅に減少してしまうことが確認されています。

善玉菌の勢力が衰えると、口の中は日和見菌や悪玉菌にとって非常に住みやすい環境へと様変わりします。
その結果、歯周病の最大の原因菌である“ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)”をはじめとする嫌気性菌が爆発的に増殖しやすくなります。

つまり、塩分の多い食事は、プラークの質そのものをタフで攻撃性の高いものへと変質させてしまうリスクをはらんでいるのです。

口内の衛生状態をいくら綺麗に保とうとしても、食生活が塩分過多であれば、細菌レベルで歯周病を発症しやすい体質が作られてしまいます。

全身の免疫機能の低下と炎症の増幅

塩分の過剰摂取は、体内の免疫システムを狂わせ、炎症反応を過剰に引き起こす引き金になります。

塩分が慢性的に多い状態では、体に侵入した異物と戦うための免疫細胞のバランスが崩れ、炎症を促進させる物質である炎症性サイトカインが分泌されやすくなります。

歯周病は、歯周病菌という細菌の感染に対して、体が激しい拒絶反応を起こして歯茎や骨を破壊していく病気です。
そのため、全身の炎症傾向が強まっていると、歯肉のわずかな細菌感染に対しても過剰に反応してしまい、腫れや出血が著しく悪化します。

また加工食品やスナック菓子に代表される高塩分の食事は、ミネラルやビタミンの不足を伴うことが多く、歯肉を支えるコラーゲン代謝や細胞の修復力を二重に低下させます。
免疫力が下がれば、細菌の毒素に対する防御壁が崩壊するため、歯周ポケットの奥深くへと病状が進行するのを食い止めることができなくなってしまいます。

塩歯磨きや粗塩による物理的リスク

食生活としての塩分摂取だけでなく、良かれと思って行う塩を用いたセルフケアが歯周病を悪化させるケースがあります。

昔ながらの健康法として、塩を直接歯ブラシにつけて磨いたり、粗塩で歯茎をマッサージしたりする習慣を持つ方が一定数存在します。
しかし、日本歯周病学会などの見解において、塩そのものに歯周病を治療するような科学的根拠や特別な効能は認められていません。

それどころか、粒子が粗い塩の結晶を使って歯や歯茎を強く擦ってしまうと、デリケートな歯肉の表面や、歯の根元にあるエナメル質・セメント質を物理的に傷つけてしまうリスクが高くなります。

すでに歯周病で炎症を起こして弱っている歯茎に塩が擦り付けられると、細かな傷口から細菌がさらに奥へと侵入し、腫れや激しい痛みを引き起こす原因になります。
また、粘膜から高濃度の塩分が吸収されることで局部的な負担になる可能性もあり、自己流の塩を用いたデンタルケアには細心の注意が必要です。

ちなみに、歯科クリニックにおいて治療後のケアとして、口内に塩水を注入しながら洗浄するようなケースもあります。
ただしこちらは歯科医師や歯科衛生士が正しい知識や技術の元行う処置であり、セルフケアで塩を用いるケースとは別物であるため、注意してください。

まとめ

前述の通り、歯周病と塩分には実は深い関係があります。
そのため、歯周病予防を徹底するのであれば、普段の食事でいかに摂取する塩分を減らせるかがポイントになります。
また単純に塩分を減らすだけでなく、減塩しょうゆや味噌を使用するなど工夫すれば、無理せずに美味しく食事をしながら口内の健康を維持することができます。

この記事を監修した人

ふたば歯科クリニック 理事長 大木 烈

ふたば歯科クリニック 川崎本院 
理事長 大木 烈

昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。

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