虫歯治療に苦手意識を持っている方の中には、特に歯科クリニックのニオイが苦手という方もいるかと思います。
近年は多少改善されつつありますが、歯科クリニックは薬品のような独特のニオイがすることがあります。
今回は、虫歯治療のニオイが苦手な場合の主な対処法について解説します。
虫歯治療のニオイが苦手な場合の対策4選
虫歯治療のニオイが苦手な方は、以下の対策を取ることをおすすめします。
・マスクやアロマを活用する
・イヤホンやアイマスクを活用する
・笑気麻酔や静脈内鎮静法を利用する
・事前のカウンセリングと丁寧なうがいの徹底
各項目について詳しく説明します。
マスクやアロマを活用する
歯科クリニックで感じる特有のニオイの多くは、呼吸を通じて鼻から脳へと伝わり、不快感や恐怖心を増幅させます。
治療中に口呼吸をしてしまうと、口の中に漂う削りカスのニオイや摩擦のにおいを直接吸い込んでしまうため、基本的には鼻呼吸を意識することが大切です。
しかし、鼻呼吸をしていても院内のニオイは入ってきてしまいます。
そこで有効なのが、マスクやアロマの活用です。
治療の直前までお気に入りの香りを染み込ませたマスクを着用したり、鼻の頭やマスクの内側にアロマオイルやワセリンを塗ったりすることで、ニオイを大幅に遮断できます。
柑橘系やペパーミントの香りは、リフレッシュ効果だけでなく、緊張を和らげる効果も期待できます。
また最近はリラックスできる空間づくりの一環として、待合室や診療室にアロマディフューザーを設置し、独特の薬品臭を感じさせない歯科クリニックも増えています。
ニオイが原因で通院が億劫になっている場合は、事前にアロマを導入しているクリニックを探して予約するのも賢い選択肢の一つです。
イヤホンやアイマスクを活用する
人間の脳は、ニオイだけでなく視覚や聴覚からの情報が合わさることで、過去の不快な記憶や恐怖心をより強く呼び起こす仕組みになっています。
キーンという鋭い切削音や、目の前に並ぶ鋭利な治療器具を見ることで、実際以上にニオイを敏感に感じ取ってしまうケースが少なくありません。
そのため、ニオイ対策と同時に視覚と聴覚を物理的に遮断することが非常に効果的です。
おすすめの対策は、治療中にノイズキャンセリング機能付きのイヤホンやヘッドホンを装着し、好きな音楽やラジオ、自然音などを聴くことです。
これにより、不快な機械音をかき消し、治療への意識を別のところへそらすことができます。
さらに、アイマスクや目元を覆うタオルを持参して目を閉じることで、目に入る刺激を完全にシャットアウトできます。
周囲の情報が遮断されると、自分の好きな世界やリラックスできる空間に集中できるため、結果としてニオイに対する過敏な反応を抑えることが可能です。
ただし音を完全に遮断してしまうと、歯科医師からの「痛かったら手を挙げてください」「口を大きく開けてください」といった重要な指示や声掛けが聞こえなくなってしまいます。
イヤホンを使用する際は、治療前に「ニオイや音が苦手なのでイヤホンをつけたい」と相談し、音量を調節するか、肩を叩いてもらうなどのルールを決めておきましょう。
笑気麻酔や静脈内鎮静法を利用する
歯科クリニックに入った瞬間に気分が悪くなってしまう方や、ニオイによる嘔吐反射が強い方には、歯科医療の力を借りる無痛治療・鎮静法が有効なアプローチになります。
これは、精神的な緊張や恐怖心を物理的に和らげることで、ニオイや音に対する感覚を鈍らせる方法です。
代表的なものとして、笑気麻酔があります。
これは、鼻からほんのり甘いニオイのする笑気ガスと高濃度の酸素を吸入する方法です。
吸入を始めると数分で体がポカポカと温かくなり、お酒を飲んでほろ酔いになったときのような、ふわふわとした心地良いリラックス状態になります。
意識ははっきりしていますが、恐怖心やニオイに対する不快感が劇的に軽減されます。
さらに恐怖心が強い場合には、腕の静脈から点滴で鎮静剤を注入する静脈内鎮静法という選択肢もあります。
これを行うと、ウトウトと眠っているような状態になり、治療中のニオイや音、痛みの記憶がほとんど残らないまま治療を終えることができます。
これらの鎮静法は、すべての歯科クリニックで対応しているわけではないため、事前に調べておくことを強くおすすめします。
事前のカウンセリングと丁寧なうがいの徹底
ニオイに対する苦手意識を克服するためのもっとも根本的で重要な対策は、歯科医師との事前のコミュニケーションと、治療中・治療後の適切なケアです。
多くの方は「ニオイが苦手」という理由だけでわがままだと思われないかと遠慮してしまいますが、歯科医師やスタッフにとっては非常に貴重な情報です。
事前に伝えておくことで、クリニック側もさまざまな配慮をしてくれます。
例えば薬品入りのボトルを患者さんの近くで開けないようにしたり、歯を削る際に発生するニオイの元をすぐバキュームで吸引し、ニオイが広がらないように対処してくれたりします。
また、水が口の中に溜まるとニオイを感じやすくなるため、こまめに吸引してもらうようお願いすることも可能です。
さらに、治療の合間や終了後に、しっかりと丁寧なうがいを行うことも不快感を長引かせないコツです。
診療台にある通常の水だけでなく、ニオイをマスキングしてくれるミント系の洗口液を用意している歯科クリニックもあります。
もし用意がなければ、自身で使い切りのマウスウォッシュを持参し、治療直前や治療直後にうがいをさせてもらうと口内がスッキリします。
まずは予約時や問診票の段階で「歯科特有の薬品臭や、歯を削るニオイが非常に苦手で気分が悪くなりやすい」と明確に書き、理解のある歯科医師のもとで治療を進めていきましょう。
まとめ
虫歯治療のニオイが苦手でも、上記のような対策を取ることで、ある程度スムーズに治療を進められる可能性があります。
もっとも避けたいのは、ニオイが苦手だからといって、歯科クリニックに行かないという選択肢を選ぶことです。
小さな虫歯であれば1回の治療で完治する可能性もあるため、対策を講じつつ早急に通院しなければいけません。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。