普段のブラッシングにおいて、私たちは基本的に歯ブラシと歯磨き粉を使用します。
これらのアイテムは多種多様であり、特に歯磨き粉選びに悩むという患者さんも多いかと思います。
また歯磨き粉は、大きく薬用歯磨き粉と通常の歯磨き粉の2つに分けられます。
今回はこれらの歯磨き粉の主な違いについて解説します。
薬用歯磨き粉と歯磨き粉の主な違い4選
薬用歯磨き粉と歯磨き粉とでは、主に以下のような点に違いがあります。
・分類と配合成分
・期待できる効果、効能
・メリット、デメリット
・選び方とおすすめの人
各項目について詳しく説明します。
分類と配合成分
歯磨き粉は、医薬品医療機器等法によって化粧品と医薬部外品の2つに明確に分類されています。
いわゆる普通の歯磨き粉は、化粧品に分類されます。
配合されているのは、歯の表面の汚れを落とす清掃剤、泡立ちを良くする発泡剤、爽快感を与える香味料など、基本機能のための成分のみです。
これらは商品の汚れを落とすサポートをしますが、特定の病気を予防する薬効はありません。
一方、薬用歯磨き粉は医薬部外品に分類されます。
化粧品と同じ基本成分に加えて、厚生労働省が承認した有効成分が規定量ブレンドされているのが最大の特徴です。
例えば、虫歯を予防するフッ素、歯周病の炎症を抑えるグリチルリチン酸ジカリウム、殺菌作用のある塩化セチルピリジニウムなどがこれに該当します。
パッケージに“医薬部外品”や“薬用”と表記されているため、店頭でも簡単に見分けることができます。
つまり、単に汚れを落とすだけでなく、科学的な根拠に基づいた成分で一歩進んだデンタルケアができるのが薬用歯磨き粉ということです。
期待できる効果、効能
通常の歯磨き粉と薬用歯磨き粉の最大の違いは、使用することでどのような効果が期待できるかという目的にあります。
普通の歯磨き粉の目的は、あくまで口の中を清潔にし、爽快感を得ることです。
ブラッシングによる物理的な効果を補佐し、歯の表面のステインやプラークを落としやすくする、口臭を一時的にスッキリさせるといった、日常的な衛生管理の範囲にとどまります。
これに対して薬用歯磨き粉の目的は、特定の口腔トラブルを具体的に予防することです。
配合されている有効成分の種類によって、その効果は多岐にわたります。
フッ素入りであれば、歯の再石灰化を促進して虫歯の発生と進行を防ぎます。
殺菌剤や抗炎症剤入りであれば、歯肉炎や歯周炎を予防し、気になる歯茎の腫れや出血を抑えます。
他にも、知覚過敏による歯のシミを防ぐ成分や、タバコのヤニを除去する成分、口臭の原因菌を殺菌して根本から防ぐ成分などがあります。
自分の口内の悩みに合わせたピンポイントの予防対策ができるのが、薬用歯磨き粉を選ぶ大きなメリットです。
メリット、デメリット
通常の歯磨き粉と薬用歯磨き粉、どちらのタイプにも、使用する上で知っておくべき長所ト)と短所が存在します。
普通の歯磨き粉のメリットは、価格が手頃で種類が豊富、かつ誰でも安心して毎日使える点です。
有効成分が含まれていないため、成分によるアレルギーや刺激のリスクが極めて低く、敏感肌の人や小さな子どもでも使いやすい傾向にあります。
デメリットは、虫歯や歯周病を予防・抑制する強い力は期待できない点です。
トラブルを未然に防ぐには、より丁寧なブラッシング技術が必要になります。
薬用歯磨き粉のメリットは、口内の悩みに合わせて高い予防効果を得られる点です。
毎日のブラッシングがそのまま虫歯や歯周病のケアにつながるため、効率的に口の健康を維持できます。
デメリットは、有効成分が配合されている分、一般的な化粧品タイプに比べて価格が高めになる点です。
また殺菌剤や香味料などの成分が人によっては刺激に感じられたり、アレルギー反応を引き起こしたりする可能性がゼロではありません。
さらに薬用だからといって雑に磨いてしまっては意味がなく、正しいブラッシングと組み合わせることで初めてその効果が発揮されます。
選び方とおすすめの人
口内の環境や求めるゴールによって、どちらを選ぶべきかの基準は明確に変わってきます。
普通の歯磨き粉がおすすめなのは、現在口の中にこれといったトラブルがなく、健康な状態を維持できている方です。
また歯磨き粉には余計な成分を求めず、ブラッシング中心で丁寧に汚れを落としたい方や、家族みんなで使える高コスパなものを探している方にも向いています。
子ども用で、まずはブラッシングの習慣をつけることを目的とする場合も、シンプルな化粧品タイプで十分なケースがあります。
一方で薬用歯磨き粉がおすすめなのは、虫歯になりやすい、歯茎から血が出る、冷たいものがしみるなど、具体的な悩みや予防したい目標がある方です。
年齢を重ねて歯周病リスクが高まってきた大人や、大人の永久歯を虫歯から守りたい学童期以降の子どもにも薬用が推奨されます。
選ぶ際は、パッケージの裏面を見て有効成分の欄を確認しましょう。
虫歯予防ならフッ素、歯周病ケアならCPCやグリチルリチン酸、知覚過敏なら硝酸カリウムなど、自分の目的に合致した成分が入っているものを選ぶことが大切です。
まとめ
普段使用している歯磨き粉について、通常の歯磨き粉なのか薬用歯磨き粉なのか、あまり意識していなかったという方もいるかと思います。
しかし、基本的には薬用歯磨き粉を選び、口内のトラブルをピンポイントで解決することが理想的です。
また丁寧なセルフケアを実現するにあたっては、歯磨き粉だけでなく歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなども自身に適したものを選ぶことが大切です。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。