皆さんもよくご存知の通り、虫歯は代表的な歯の疾患であり、場合によっては強い痛みを伴います。
また、同じように食事やブラッシングなどで痛みを伴う症状として、知覚過敏も挙げられます。
では、これらは具体的に何が違うのでしょうか?
今回は、虫歯と知覚過敏の主な違いについて解説します。
虫歯と知覚過敏の違い5選
歯の痛みが出ているものの、虫歯なのか知覚過敏なのかがわからないというケースもあるかと思います。
これらの症状には、主に以下の違いがあります。
・原因
・痛み方
・歯の見た目
・自然治癒の可能性
・治療法
各項目について詳しく説明します。
原因
虫歯と知覚過敏とでは、まず発症する原因が異なります。
虫歯を発症する原因は、虫歯菌が口内で酸をつくり出し、歯を溶かすことです。
食べカスは時間が経過するとプラークに変わり、こちらは虫歯菌を含む無数の細菌によって形成されています。
しっかりブラッシングで除去できていれば問題ありませんが、磨き残しがある場合はプラークもつくられやすく、虫歯のリスクが高まります。
“きちんと歯を磨かないと虫歯になる”という理由には、こういった仕組みがあります。
これに対し知覚過敏は、虫歯のように細菌によって引き起こされるものではありません。
歯の下部には象牙質というものがありますが、この部分が何らかの原因で露出し、刺激を受けやすくなることで知覚過敏を発症します。
また象牙質が露出する原因としては、歯周病の進行や加齢、歯ぎしりや食いしばり、外傷などが挙げられます。
痛み方
虫歯と知覚過敏は、どちらも痛みを伴うものですが、痛み方には違いがあります。
虫歯の痛みは、慢性的かつ持続的な痛みです。
つまり一度虫歯を発症し、ある程度進行すると、常に痛みが出続けるということです。
何もしていないときでも痛みが出るため、仕事や勉強、睡眠などに悪影響を及ぼす可能性もあります。
一方知覚過敏の痛みは、一時的な痛みです。
冷たいものなどが触れたときに、一瞬ズキッと痛みますが、刺激がなくなれば痛みを感じることもなくなります。
そのため、仕事や睡眠などを阻害することはありません。
歯の見た目
歯の見た目についても、虫歯と知覚過敏とでは大きく異なります。
虫歯を発症している歯は、表面が黒くなっていたり、穴が開いていたりします。
場合によっては、歯と歯茎の境目が白くなっていることもあります。
一方、知覚過敏の症状がある場合、歯茎が下がって歯の根元が見えているケースが多いです。
正面から見たとき、本来は歯の表面と歯茎しか見えませんが、知覚過敏の場合は根元も見えるため、歯が全体的に長くなったような印象になります。
そのため、患者さん自身でどちらの症状が見極めたいときは、これらのポイントをチェックすることをおすすめします。
自然治癒の可能性
自然治癒する可能性があるかどうかも、虫歯と知覚過敏の大きな違いです。
虫歯は基本的に、自然治癒することがありません。
一度歯に穴が開いてしまった場合、必ず歯科クリニックで治療を受け、歯を削る必要があります。
初期虫歯の場合、歯を削らずに検査やブラッシング指導のみを行う場合もありますが、こちらは正確には虫歯に含まれないこともあります。
これに対し、知覚過敏には自然治癒の可能性があります。
軽度の知覚過敏は、象牙質の再石灰化、歯磨き粉の成分による効果で自然に治ることが考えられます。
ただしエナメル質が擦り減ってしまった場合など、歯が直接的なダメージを受けている場合、自然治癒は極めて難しくなります。
治療法
虫歯と知覚過敏はまったく異なる症状であるため、当然治療法も変わってきます。
虫歯の治療法には、主に歯を削って詰め物を入れる方法と根管治療があります。
そこまで進行していない虫歯の場合、患部を削って穴が開いた部分に詰め物を装着すれば完了です。
進行している虫歯の場合は、根管治療により、歯内部の下部にある根管における汚れなどを除去します。
これに対し知覚過敏は、対症療法と原因療法のいずれかが用いられます。
対症療法は、主に神経に刺激が伝わるのを防ぐための施術です。
例えば知覚過敏用の歯磨き粉、薬剤やコーティング剤、詰め物による保護がこちらに該当します。
また原因療法は、知覚過敏を引き起こしている原因を改善するためのものです。
歯ぎしりや食いしばりが原因なのであれば、就寝中歯に負担がかかることを防ぐナイトガードというマウスピースを装着します。
その他、噛み合わせの悪さが原因の場合は矯正治療、歯周病が原因の場合は歯周病治療を受けることで、根本的に知覚過敏を治せます。
まとめ
虫歯と知覚過敏はそれぞれ異なる症状ですが、治療を受けなければいけないことはどちらも同じです。
知覚過敏は自然治癒の可能性があるとはいえ、痛みが出ているのであれば一度歯科クリニックを訪れるべきです。
また歯周病が重度にまで進行している場合、虫歯と知覚過敏を同時に発症することもあるため、注意が必要です。
定期的に歯科クリニックの検診に通っていれば、いずれの症状も早期発見できます。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。