ドライマウスは口腔乾燥症とも呼ばれるもので、発症すると口の中が乾くだけでなく、口臭や虫歯歯周病といった疾患にもつながります。
また場合によっては、舌が乾いてひび割れたり、乾いた食べ物が飲み込みにくかったりします。
今回は、そんなドライマウスを改善するために採り入れたいことについて解説します。
ドライマウスを改善するために採り入れたいこと4選
ドライマウスを改善するには、以下の方法を採り入れることをおすすめします。
・あいうべ体操
・保湿グッズの活用
・ストレス管理とリラックス
・薬の副作用の確認と専門医への相談
各項目について詳しく説明します。
あいうべ体操
口呼吸を予防し、唾液腺を刺激するためには、口のまわりや舌の筋肉を鍛えることが大切です。
そのためのもっとも簡単で効果的なトレーニングが、“あいうべ体操”です。
この体操は、顔の筋肉を大きく動かすことで口呼吸を鼻呼吸へと導き、ドライマウスを改善します。
やり方は非常にシンプルで、次の4つの動作を1回ずつ、大げさなくらい大きく動かして行います。
① 「あー」と口を大きく開ける
② 「いー」と口を横に大きく広げる
③ 「うー」と唇を前に強く突き出す
④ 「べー」と舌を顎の先に向かって突き出し、下に伸ばす
これら4つの動作を1セットとし、1日に30セットを目安に毎日続けます。
声は出しても出さなくても効果は変わりません。
ポイントは、顔全体の筋肉がストレッチされるのを意識しながら、1動作につき1秒ほどキープすることです。
この体操を続けることで、舌の筋力がアップして自然と口が閉じるようになり、就寝中の口呼吸も減少します。
さらに顔の血流が良くなることで唾液腺が刺激され、唾液の分泌量が自然と増加します。
器具も不要で手軽にできるため、毎日の入浴時やトイレの中など、時間を決めて習慣にすることをおすすめします。
保湿グッズの活用
セルフケアによる唾液分泌の促進と並行して、市販の口腔保湿グッズや環境調整を採り入れることで、ドライマウスの不快な症状を即座に和らげることができます。
特に症状が重い方や、夜間の乾燥に悩む方には必須のアイテムです。
口腔ケア用の保湿グッズには、主にジェルタイプやスプレータイプ、マウスウォッシュタイプがあります。
外出先や仕事中に乾燥が気になったときは、シュッとひと吹きで口内を潤せるスプレータイプが便利です。
一方就寝前や乾燥が深刻な場合は、持続性の高いジェルタイプが適しています。
清潔な指や綿棒にジェルを適量とり、舌や頬の内側、上顎などに薄く伸ばして塗ることで、数時間にわたって口内の潤いをキープし、粘膜を保護してくれます。
これらの製品を選ぶ際は、アルコールを含まないノンアルコール処方のものを選びましょう。
アルコール成分は揮発する際に周囲の水分を奪うため、かえって乾燥を悪化させることがあります。
また、室内環境の乾燥を防ぐことも重要です。
特に冬場やエアコンを使用する季節は、加湿器を使って室内の湿度を50〜60%に保つようにしてください。
就寝時に濡れマスクを着用して寝ることも、呼気に含まれる水分で口内や喉の乾燥を防ぐための非常に有効な手段です。
ストレス管理とリラックス
唾液の分泌は、私たちの意志とは無関係に働く自律神経によって完全にコントロールされています。
自律神経には、心身が活発な時に優位になる交感神経と、リラックスしている時に優位になる副交感神経の2つがあります。
ドライマウスとストレスには、この自律神経が深く関係しています。
強いストレスや緊張、不安、疲労などを感じているときは、交感神経が優位になります。
交感神経が働くと、唾液腺の血管が収縮し、水分が少なくネバネバとした泡状の唾液が少量しか出なくなります。
緊張した時に口がカラカラになるのは、この仕組みによるものです。
逆に心身がリラックスしているときは副交感神経が優位になり、サラサラとした質の良い唾液がたっぷりと分泌されます。
そのため、日常的なストレスを上手に発散し、リラックスできる時間を意識的に作ることが、ドライマウス改善の重要な鍵になります。
具体的な対策としては十分な睡眠をとること、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かること、深呼吸を意識して行うことなどが挙げられます。
また、ウォーキングなどの軽めの有酸素運動は、自律神経のバランスを整えるのに効果的です。
自分の好きな趣味に没頭する時間を作り、脳と体を休ませてあげることで、副交感神経を刺激し、口内の潤いを呼び戻しましょう。
薬の副作用の確認と専門医への相談
セルフケアを徹底してもドライマウスが改善しない場合や、症状が急激に悪化している場合は、医療機関を受診して原因を特定する必要があります。
ドライマウスは、単なる体質や乾燥だけでなく、服用している薬の副作用や全身の疾患のサインである可能性が考えられるからです。
特に高齢者の方に多いのが、薬の副作用による口腔乾燥です。
抗ヒスタミン薬や抗うつ薬、降圧剤や利尿薬、睡眠薬など、日常的に処方される多くの薬剤に口渇の副作用があります。
もし新しい薬を飲み始めてから口が渇くようになったら、自己判断で服用を止めず、主治医や薬剤師に相談して、薬の種類を変更したり量を調整したりできないか確認しましょう。
またドライマウスの背景には、涙や唾液が出なくなる自己免疫疾患であるシェーグレン症候群や糖尿病、腎臓病などの重大な病気が隠れていることもあります。
そのため受診する際は、まずは歯科・口腔外科やドライマウス外来を掲げているクリニックが適しています。
全身疾患が疑われる場合は、内科や膠原病内科と連携して治療を進めることになります。
まとめ
ドライマウスは口内の乾燥や口臭、虫歯や歯周病などさまざまな症状を引き起こす疾患です。
しかし、それほど気付きやすいというわけでもないため、早期発見のためにはやはり歯科クリニックへ定期的に通院する必要があります。
特にストレスが溜まっている方や、持病の薬を飲んでいる方などは、自身がドライマウスを発症しやすいことを自覚しておかなければいけません。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。