一人暮らしの方は、誰にも監視されず自由に生活できることから、ついついブラッシングをサボってしまいがちです。
また経済的な負担や食生活の偏りなど、虫歯予防をサボりやすい理由はいくつかありますが、中には意外なものもあります。
今回はこちらの内容について解説します。
一人暮らしが虫歯予防をサボりやすい意外な理由4選
一人暮らしの方が虫歯予防をサボりやすい意外な理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・“痛みがない=健康”という誤解と過信
・歯科クリニックの予約のハードルが高い
・ストレス
・正しい知識の欠如
各項目について詳しく説明します。
“痛みがない=健康”という誤解と過信
虫歯は、初期段階では痛みを感じません。
少々見た目が白く濁る程度です。
そのため、一人暮らしで自分の健康状態を客観的に指摘してくれる方がいないと、多くの方は「痛くないから大丈夫」と過信してしまいます。
実家であれば、家族が「最近冷たいものしみてない?」といった些細な変化に気づくこともありますが、一人の場合は自分の感覚がすべてです。
しかし、痛みが走る頃には虫歯はすでに象牙質まで達しており、手遅れに近い状態であることも少なくありません。
この自覚症状のなさが、予防の必要性を感じさせない最大の壁になります。
“今は何も困っていない”という現状が、面倒なブラッシングや検診から逃げるための言い訳として機能してしまいます。
つまり“自分の歯は一生持つ”という根拠のない自信が、日々のケアを疎かにさせる精神的な要因になるということです。
歯科クリニックの予約のハードルが高い
予防歯科のために歯科クリニックへ行くには、“予約をする”という能動的なステップが必要です。
仕事や勉強に追われる中で、自分のスケジュールを確認し、電話やネットで予約を取り、その時間に遅れずに行くという行為は、思いのほか心理的な負担がかかります。
特に一人暮らしで家事全般を担っていると、さまざまなタスクが積み重なり、“わざわざ異常がないのに行く”というアクションが非常に面倒に感じられます。
また一度予約をキャンセルしてしまうと、気まずさから再予約を躊躇し、そのまま数年が経過してしまうケースも多々あります。
学生の方などは、急な授業やアルバイト、友人からの誘いなどを理由に、歯科クリニックの予約をキャンセルしてしまうケースも少なくありません。
家族に背中を押されることもなく、自分の意思だけでこの面倒な手続きを完遂し続けないといけないことが、定期的なメンテナンスをサボる要因となっています。
ストレス
一人暮らしの孤独感や、社会生活でのストレスは、自律神経を乱します。
特に長い間実家暮らしを続けてきたような方は、このような状況に陥りやすいです。
このように過度なストレスがかかると、口の中を守る最強の味方である唾液の分泌量が減少します。
唾液には自浄作用や再石灰化を促す効果がありますが、ストレスで口が乾くドライマウスの状態になると、虫歯のリスクは飛躍的に高まります。
さらに、精神的な余裕がなくなるとセルフケア、つまり自分を大切にすることへの関心が薄れます。
こちらはいわゆる“セルフネグレクト”の初期症状であり、具体的にはブラッシングやお風呂などの衛生習慣が真っ先に崩れることがあります。
心が疲弊している状態では、未来の自分の歯を守ることよりも、今の苦しみから逃れるための怠惰が優先されてしまいます。
こういったメンタルヘルスの悪化が、間接的に口腔環境の崩壊を招きます。
正しい知識の欠如
学校を卒業し、一人で生活し始めると、口腔ケアに関する情報を更新する機会が激減します。
子どもの頃に教わった“3分磨けばいい”といった古い知識のまま止まっていることが多く、フロスの重要性やフッ素の効果的な使い方を知らないままの人も少なくありません。
また一人暮らしては、誰からも「その磨き方では汚れが落ちていないよ」と指摘されないため、自分では磨いているつもりでも、実際には磨き残しだらけという状態が定着します。
さらに、ネット上にはびこる“ブラッシングをしなくても大丈夫”といった極端な意見を都合よく信じてしまう心理も働きやすくなります。
ブラッシングは、老若男女問わず、半永久的に行わなければいけないセルフケアです。
現時点でどれだけ健康的な口内環境の方であっても、ブラッシングをしなくても良いということは絶対にありません。
このように正しい予防法を学ぶ機会を自分で作らなければならない孤独な環境が、結果として“やっているつもり”のサボり状態を引き起こしています。
まとめ
一人暮らしの方は、自身が虫歯予防をサボりやすい環境に置かれていることを自覚し、より強い意識を持ってセルフケアに取り組まなければいけません。
また学業や仕事に忙しかったり、経済的な余裕が少なかったりしても、必ず歯科クリニックの定期検診は受けることをおすすめします。
虫歯になってから対処していると、より通院や治療、支払いなどの負担は大きくなってしまいます。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。