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2026.05.25

【川崎の歯医者】唾液が持つ4つの抗菌成分について

唾液の重要な作用の一つに、抗菌作用というものがあります。
抗菌作用は口内の細菌やウイルスの増殖を抑え、感染症や虫歯、歯周病から身体を守る生体防御機能で、こちらは4つの抗菌成分によって成り立っています。
今回は、唾液が持つ4つの抗菌成分について、それぞれ詳しく解説します。

唾液が持つ4つの抗菌成分

唾液には、以下の4つの抗菌成分が含まれています。

・リゾチーム
・ラクトフェリン
・ペルオキシダーゼ
・免疫グロブリンA

各項目について詳しく説明します。

リゾチーム

リゾチームは、唾液中に豊富に含まれる酵素であり、主に細菌の細胞壁を直接破壊することで強力な抗菌作用を発揮します。

細菌の周囲を包む細胞壁は、ペプチドグリカンという糖鎖が網の目のように結合した強固な構造をしていて、これにより細菌は一定の形状と浸透圧を維持しています。
リゾチームは、このペプチドグリカンを構成する多糖類の結合を特異的に加水分解する働きを持っています。
特に、細胞壁がむき出しになっているグラム陽性菌に対して高い効果を発揮します。

リゾチームによって細胞壁を寸断された細菌は、細胞内の高い浸透圧を維持できなくなり、周囲の水分が細胞内に一気に流入することで、最終的に細胞が破裂して死滅します。
一方、グラム陰性菌は細胞壁の外側にさらに外膜を持っているためリゾチームが到達しにくいですが、他の唾液成分と協調することで効果を及ぼします。

このように、リゾチームは口腔内に侵入した細菌が定着・増殖する前に物理的に破壊する初期防衛線として機能しています。

またこの成分は涙や鼻水などにも含まれていて、外気に触れる粘膜組織全体の共通した防御システムとして重要な役割を担っています。
毎日の食事や呼吸によって絶えず侵入する外来菌から、私たちの体を守るための必須の酵素です。

ラクトフェリン

ラクトフェリンは、糖タンパク質の一種であり、細菌の生存や増殖に不可欠な栄養素である鉄イオンを強力に捕捉することで抗菌作用を発揮します。

多くの細菌は、エネルギー代謝やDNA合成を行うために、環境中から鉄分を吸収する必要があります。
ラクトフェリンは鉄との結合能が非常に高く、唾液中に分泌されると、周囲に存在する遊離鉄イオンをまたたく間に吸い寄せて奪い去ってしまいます。

これにより、口腔内の細菌は深刻な鉄欠乏状態に陥り、代謝が停止して増殖できなくなります。
このメカニズムは細菌を直接殺すのではなく、増やすのを抑える“静菌作用”と呼ばれます。

さらにラクトフェリンには鉄を奪うだけでなく、細菌の細胞膜に直接結合して膜構造を不安定化させ、膜の透過性を変化させてダメージを与えます。
また細菌だけでなく、一部のウイルスが口腔粘膜の細胞に付着して侵入するのをブロックする抗ウイルス作用や、過剰な炎症を抑える抗炎症作用も報告されています。

このように、ラクトフェリンは鉄分遮断という巧妙な戦略と、細胞膜へのダイレクトな攻撃というアプローチを組み合わせることで、口腔内の衛生環境を高度に維持しています。

ペルオキシダーゼ

ペルオキシダーゼは、化学反応を利用して強力な殺菌物質を作り出す酵素システムです。

口腔内の細菌は、自身の代謝の過程で有害な過酸化水素を排出します。
ペルオキシダーゼはこの過酸化水素を感知すると、唾液中に含まれるチオシアン酸イオンを酸化させ、極めて強い抗菌力を持つヒポチオシアン酸イオンへと変化させます。

この生成されたヒポチオシアン酸イオンは、細菌の生存に不可欠な酵素やタンパク質の中にあるチオール基を特異的に酸化して破壊します。
タンパク質の構造を狂わされた細菌は、糖の代謝能力や物質の輸送機能が完全に麻痺し、死滅へと追い込まれます。

この一連の反応の素晴らしい点は、細菌自身が出した排泄物を原料にして、細菌を駆逐する武器を作り出すという効率的な防衛システムであることです。

さらに、このシステムは私たちの健康を守る二重のメリットを持っています。

細菌が放出する過酸化水素は、放置されると人間の口腔粘膜の細胞にもダメージを与え、口内炎や老化、組織の破壊を招く原因になります。
ペルオキシダーゼが過酸化水素を速やかに消費して別の物質に変えることで、強力な殺菌効果を得ると同時に、口腔組織を過酸化水素の害から守る抗酸化作用も果たします。

免疫グロブリンA

分泌型免疫グロブリンA(IgA)は、唾液中に含まれる主要な抗体であり、獲得免疫システムの一部として特定の病原体を狙い撃ちし、無力化する役割を担っています。

私たちが日常的に経験する感染症の多くは、細菌やウイルスが口腔や喉の粘膜細胞にある受容体に結合し、細胞内に侵入することから始まります。
IgAはこれらの病原体の表面にある突起を正確に見つけ出し、強力に結合する特性を持っています。

抗体が結合した病原体は、粘膜の細胞に物理的にタッチできなくなるため、感染の第一歩である細胞への吸着・侵入が完全に阻止されます。

さらに、IgAは分泌型と呼ばれる特殊な連結構造をしていて、一度に複数の病原体を捕まえることができます。
これにより、口腔内の細菌やウイルスを芋づる式に絡め取り、大きな塊をつくります。

塊となった病原体は運動性を失い、単独で行動できなくなります。
その後、唾液の自浄作用によって、飲み込まれて胃へと運ばれます。

胃に送られた病原体は、強力な胃酸によって完全に分解されるため、体内で悪さをすることはありません。

このようにIgAは病原体を無理にその場で殺すのではなく、結合して機能を奪い、安全に体外へ受け流すことで、粘膜感染を未然に防ぐ水際対策のリーダーとして機能しています。

まとめ

唾液の抗菌作用は、前述の通りさまざまな成分の働きによって成り立っています。
これらが機能しない場合、つまり唾液の量が減少した場合、うまく細菌に対する力を発揮できずに、虫歯を始めとする疾患のリスクが高まります。
そのため、咀嚼回数を増やすなど、普段から意識して唾液の量を増やすための工夫をしなければいけません。

この記事を監修した人

ふたば歯科クリニック 理事長 大木 烈

ふたば歯科クリニック 川崎本院 
理事長 大木 烈

昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。

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