虫歯予防効果が高い食品は色々ありますが、その中の一つにチーズが挙げられます。
実は、チーズはWHO(世界保健機関)が推奨するほど、強力な歯の保護作用を持っているものです。
今回は、そんな虫歯予防に効くチーズついて、より虫歯予防効果を高めるための方法について解説します。
虫歯予防効果を高めるチーズの使い方4選
虫歯予防効果を高めるチーズの使い方としては、主に以下のことが挙げられます。
・食事や間食の締めとして食べる
・ハードチーズを選ぶ
・外出先のケアとして活用する
・摂取後10分空けてからブラッシングをする
各項目について詳しく説明します。
食事や間食の締めとして食べる
もっとも手軽で効果的な使い方は、普段の食事やおやつの最後にチーズを2~3口食べることです。
私たちが食事をすると、口内の細菌が食べカスを分解して酸を作り出し、通常は中性に保たれている口内が酸性へと傾きます。
この酸性の状態が続くと歯のエナメル質が溶け始め、虫歯の第一歩である脱灰が引き起こされます。
ここで食事の最後にチーズを摂取すると、チーズに含まれる成分が酸性に傾いた口内環境を素早く中和し、アルカリ性へと近づける働きをします。
虫歯菌は酸性の環境を好むため、口内を素早く中性〜アルカリ性に戻すことは、菌の活動を物理的に抑え込むために極めて重要です。
日本の食卓では食後に甘いデザートやフルーツを食べることが多いですが、それらは口内をさらに酸性化させてしまいます。
デザートを食べる代わりに、あるいはデザートを食べた後に、1.5センチ角ほどのチーズを意識して最後に口に含む習慣をつけましょう。
これだけで、特別な道具を使うことなく食後の虫歯リスクを劇的に下げることができます。
ハードチーズを選ぶ
虫歯予防を目的としてチーズを選ぶ際は、水分が少なくミネラルが凝縮されたハードタイプやセミハードタイプをよく噛んで使うのがベストです。
代表的なものとして、チェダーチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノ、ゴーダチーズなどが挙げられます。
これらの硬質チーズは製造の過程で水分を極限まで絞り出しているため、歯の主成分となるカルシウムやリンが非常に高い密度で凝縮されています。
しっかりと何度も噛んで食べることで、濃厚な旨味成分が天然のマウスウォッシュとも呼ばれる唾液の分泌を強力に促します。
大量に分泌された唾液は、口内の酸を薄めて洗い流すだけでなく、溶けかけたエナメル質にカルシウムなどのミネラルを再び補給する再石灰化のスピードを劇的に加速させます。
アメリカの研究機関の実験でも、チェダーチーズを食べた子供は食後に口内のアルカリ性が強まり、歯を守る効果が証明されています。
やわらかいクリームチーズや、砂糖が含まれたデザートチーズは予防効果が低いため、噛み応えのある本物のハードチーズをセレクトしましょう。
外出先のケアとして活用する
仕事中のランチタイムや旅行先、あるいは夜遅い晩酌の席など、食後にすぐブラッシングができない場面の緊急ケアとして、チーズを使う方法も非常に有効です。
本来であれば食後速やかに歯を磨くのが理想ですが、環境によっては不可能なことも珍しくありません。
そのまま放置すると口内は酸性のままとなり、虫歯菌が繁殖しやすい危険な状態が何時間も続いてしまいます。
そのような時にポケットやカバンに一口サイズの個包装チーズを忍ばせておき、食後に口に含みます。
チーズに含まれる主要な乳タンパク質であるカゼインには、歯の表面に吸着して薄い保護バリア膜を形成するという独自の性質があります。
このバリア膜は、細菌が吐き出す酸の攻撃から歯を直接ガードするだけでなく、虫歯菌そのものがプラークとして歯の表面に付着するのを物理的に阻害する役割を果たします。
このカゼインの膜による保護作用は、同じ乳製品であっても牛乳やヨーグルトには見られないチーズ特有の強みです。
ブラッシングができないときの身代わりバリアとして、ぜひチーズを活用してください。
摂取後10分空けてからブラッシングをする
チーズが持つ予防効果をさらに高めるための仕上げとして、チーズを食べた後あえて10分〜15分ほど時間を置いてから歯磨きをするというテクニックがあります。
食後の歯の表面は、酸の働きによってエナメル質が一時的にやわらかく、非常にデリケートな状態になっています。
この状態で目の粗い歯ブラシでゴシゴシと強く磨いてしまうと、かえって歯の表面を微細に傷つけてしまうおそれがあります。
そこで、食後にまずチーズをよく噛んで食べたら、すぐに磨かずに少しの間そのままキープします。
この10分ほどの間に、チーズから溶け出した豊富なカルシウムイオンとリン酸イオンが唾液と混ざり合い、ダメージを受けた歯の表面にじっくりと浸透していきます。
この初期虫歯の一歩手前を修復する再石灰化を確保した後にブラッシングを行うことで、エナメル質を傷つけることなく、食べかすやプラークだけを落とすことが可能になります。
このように、食べた後の時間差をコントロールすることで、チーズの持つ歯の修復能力を100%引き出し、毎日のデンタルケアの質を向上させることができます。
まとめ
チーズは普段の食事で食べる機会も多く、さまざまな料理に使用できます。
またチーズそのものの種類も豊富であり、ローテーションさせることで飽きずに続けやすいというメリットもあります。
もちろん苦手な方は無理に食べる必要はありませんが、少し採り入れるだけで虫歯予防効果がアップするため、興味がある方はぜひ食べることをおすすめします。
この記事を監修した人
ふたば歯科クリニック 川崎本院
理事長 大木 烈
昭和大学歯学部卒業後、昭和大学附属病院での臨床研修を経て歯科医師としてのキャリアをスタート。現在は医療法人社団雙葉会ふたば歯科クリニックの理事長として、医院を統括する。
インプラント治療においては国際インプラント学会専門医の資格を持ち、米インディアナ大学インプラント科客員講師として海外での学術活動にも従事。矯正・補綴など多岐にわたる分野の認定資格を有し、さらに歯学博士の学位を取得するなど、臨床・研究の両面で高い専門性を発揮している。また、厚生労働省認定の臨床研修医指導医として後進の育成にも力を入れており、昭和大学歯科病院および歯学部解剖学教室にも所属し、大学との連携も継続している。
患者一人ひとりに最善の医療を届けるため、年中無休・通し診療という体制を実践。「患者様の生活の質の向上を使命とする」という姿勢のもと、予防から高度な専門治療まで幅広く対応している。